HOME > 318 > UK REPORT from No.318

topics

318    COLUMN    UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
 
Greetings Friends,
 
●先月は4日間で2つのフェスティヴァルを観るという、近年稀にみる忙しい日々を過ごした。以前、このコラムで約束した通り"Buckland屋敷"(!?)と呼ばれる僕の自宅から車で40分程の場所で行われた、フランス西部で唯一のFreddie McGregorのショーを観てきた。その後に、北部のSt.Maloという港町から車で10分程の場所で開催された「Supereggaefest」にも行ってきたのだ。Freddieは声に一段と深みが加わり、20年前と変らないエネルギーと存在感で僕の期待に十分応えるパフォーマンスを見せてくれた。最近の彼のセットリストはMcGregorファミリーと彼のBig Shipレーベルのアーティストをフューチャーしたものとなっている。オープニングは彼の息子のChino(Danie)。他にはLaden、彼のギタリストを長年務めているDalton Browne、またバッキング・ヴォーカルとしてFreddieの娘、Shemaと以前パートナーだったJudy Mowattも参加。甘いハーモニーで彩りを添えていた。このライヴで唯一残念だったのはFreddieがトリではなく、彼の名曲全てを披露する時間がなかったことだ。トリを務めたのはフランスのレゲエ・スター、Pierpoljakだった。僕はこのことを本当に残念だと思っている。Freddieのプロフェッショナルで素晴らしいステージの後に登場したこの男は、単にカッコをつけて威張り散らしているだけに見えた。Pierpoljakのオープニング・アクトとして登場した2人組のDJさえも、典型的な一般受けするレゲエ・ソングを1曲歌っただけで退散してしまった。彼のバック・バンドはまともな演奏をしているのだが、ステージにおいての彼の存在感がゼロなので元も子もない。フランスにおいての彼の人気は凄いらしいが、彼は母国以外で全く通用しないだろう。僕や一緒に来ていた友人を含めたレゲエ好きな観客は、2〜3曲聴いただけで帰り支度を始めた。だが、僕らは帰る前にFreddieと彼のバンド・メンバーと話すことができたので、満足して会場を後にすることができたのだった。

General Levy, Shinehead and Daddy Freddy in Action 
●この「Supereggaefest」は古い要塞跡で開催された大規模フェスで、Matty Dread率いるLegal Shots Sound Systemが旗振り役を務めた。比較的小型なテントのサウンドシステム・ステージと巨大な屋根付の舞台があるライヴ・ステージの2ヶ所のステージで構成され、午後から深夜にかけて大変な賑わいをみせていた。サウンドシステム・ステージはポジティヴなダンスホールをメインに鳴らしたLegal Shotsの他に、近くのNantesからはルーツ系のZion Gateが参加していた。このサウンドのDJ達は久しぶりに見る顔ばかりだった。しゃがれ声のDaddy Freddy(最初に会ったのは87年だったはず)、General Levy(20年程前から活躍し、フランスでコアなファンを獲得)、Levyと同じ位剛健なWinston Irie、UK出身のMurray Man、最初誰だか分からない程変わっていたShinehead、そして元XterminatorのシンガーPrince Malachiだ。僕はこの"若きヴェテラン"達と旧交を温め、彼らのセットを楽しんだ。また、それらと同等に情熱的なフランス人DJのプレイも聴いた。それを聴きながら、80年代の中頃に初めてフランス人の演奏するレゲエを体験して以来、フレンチ・レゲエはつくづく進化したものだと感心したのだった。ライヴ・ステージでは、Sister Nancy、安定した実力を誇るSister Carol、Shinehead(サウンドシステム・ステージとは別の衣装で登場しシンガーであることを強調していた)、Mr. Vegasらビッグネームが次々と登場した。だが、Michael Prophetの出演が実現しなかったのが残念だった。恐らく彼を観るのが初めての人が多かったに違いない。しかし、主催者は直前にBuju Bantonをトリに出演させることに成功した。Bujuの出演は同フェスからそれ程遠くない場所で彼のショーがキャンセルされたために可能になったようだ。ヨーロッパ各地を廻るツアーの最中のBujuのショーは、上手くステージングされたカッコイイものだったが、91〜93年頃(僕はOld Style Bantonと呼んでいる)のチューンはイマイチ観客の反応がよくなかった。これはツアーの過密スケジュールによる疲労に起因するのかもしれない。また、ダンスホールのラフなテイストと彼の最近のアルバムにみられるややポップな"インターナショナル路線"をミックスする試みも機能していないように思える。だが、酔っ払った観衆には(彼は夜中の1時過ぎにステージに登場したのだ)特にそんなことに関心はなかっただろう。大規模なだけに相当な費用がかかったはずで、収益を上げることができたのかは疑問だが、このイヴェントは成功したと言っていいだろう。どうやら主催者はこの「Supereggaefest」を毎年開催して有名なフェスに育てたいと考えているらしい。彼らに是非がんばって欲しいと思っている。

Prince Malachi
●正統派好きなレゲエ・ファンが見逃してはならないアーティストの筆頭といえばPat Kellyだ。レゲエの黄金時代に活躍していたアーティストが次々とこの世を去ってしまう中、彼の美声とその素晴らしいレパートリーは一見&一聴の価値があるだろう。彼の短いUKツアーは些細な計画ミスが響き、公演が危うく中止になるところだった。しかし、Kent出身のバンド、Intensifiedがリハ無しで見事にPatのバックを務め、その危機からPatを救ったのだ。彼らが東部の海岸沿いの町、Margateで行ったライヴは大成功を収めた。そしてPatが披露したセットはこれ以上ないものだった(彼がもっと長く歌えば話は別だが)。彼は「Run Come Celebrate」「You Don't Care」「If It Don't Work Out」「I Wish It Would Rain」「In The Mood For Love」「Since You Were Gone」「Little Boy Blue」「There Comes a Time」「Queen Majesty」「Talk About Love」などを披露。僕にとっては忘れられないショーになった。レコードのみからこれらの曲を学びそれらにフレッシュな息吹を吹き込んだIntensifiedの活躍も賞賛に値するだろう。因みにIntensifiedは、Pat KellyのバックやチェコのPragueで開催される巨大フェスに出演する前に、Chris Ellis(Altonの息子で、Altonの名曲を父親と同じようなスタイルで歌った)やDave Barkerのサポートもこなしていた。また、彼らとPatはBBCラジオのMaida Vale StudiosでMark Lamaarの全国ネット番組のためにセッション録音も行った。Patがラジオ番組のホストに彼の長いキャリアについて語ったトークも実に興味深いものだった。
 
●08年末に発売されたサウンドシステムと黒人カルチャーに関するカルト映画『Babylon』のDVDについて、新たな事実が判明したので短くまとめよう。実はこのDVD、イタリアのRaro Filmsが07年に非公式ヴァージョンとして発売してしまっていたのだ。この際にRaro Filmsがこの作品のFranco Rosso監督(偶然だが彼自身もイタリア移民2世)にコンタクトをとったのだが、なかなか本人の所在をつかめず、ついには同社のウェブサイトに「監督はすでに死亡してしまったかもしれない」とまで掲載される始末だった。しかし、RossoはCanterbury(Englandの観光地で僕も何回も訪れたことがある)で元気に暮らしていることが後で分かった。その後Rossoは長い間の沈黙を破り、同作の公式リマスター版をIcon Entertainmentよりリリースしたのだった。このように"海賊盤"のおかげで正規盤が発売された映画と言えるだろう。なお、この"公式"DVDはAmazon UKで購入可能だ。

Till Next Time, Take Care...............
(訳/Masaaki Otsuka)

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation