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卍LINE
 
Interview by Yusaku Toriiminami
 

 卍Lineである。恐らく日本のDee Jayの中でも指折りの異質な存在。昨年1stアルバムを出してからの1年間で100本近くにも及ぶ現場を重ねてきた彼が、この夏世間に送り出した2ndアルバム『Vortex』は、そのDeejayとして歩みだしてからの濃密な日々を感じさせる作品だ。
 
●前作『卍Line』と比べ、よりとらわれていない印象を受けました。
卍Line(以下卍):1枚目はレゲエっていうシーンに対してのリスペクトを裏返した気負いみたいなのもあって、足並みをそろえて行かなくては、っていうプレッシャーがあったんですけど、1枚目を出してライヴを回ってみて思ったのが、自分の音楽を追求していく、自分のレゲエを極めていくってことが一番大事だってことで。
 
●周囲の反応などが気になることはありませんでしたか?
卍:前に雑誌の対談でプロレスラーの前田日明さんに、「30代は走りまくれ。止まって考えんな。走ってれば見えてくることがあるし、ぬかるみとかにも足を取られない。とにかく走り続けろ」って言われて。ほんとにそうだな、って結構ぐっときて。始めの気負いなんかも、走ってるうちに払拭されてきて。
 
●先日ライヴを観させて頂きましたが、確かにその濃密な時間の中でのスキル・アップを感じました。
卍:ライヴに出始めた時はもう出オチみたいな感じだったんで。出た時が一番盛り上がって、しりすぼんでいく(笑)。もう、現場から学ぶしかないって思って。昔、K Dub Shineに、「お前は一定の成長しきるまで表に出ない方がいい。もったいない。みんなお前のこと知ってんだから。恥かきたくねーべ?」って言われたことがあるんですけど、でも、そのスキルを付けるのは現場しかないと思って。現場にまみれて恥かいて。どんだけ恥かいても、取り返せないミスとかなんて、そうそうないと思うんですよね。得るモノの方が多い。
 
●収録曲「Ikiro」は転落事故の経験をもとに作られた曲ですよね。
卍:あの時、ほんともう、どん底になって。精神的にも経済的にも、しんどくて。家族とか仲間の声も、もううっとい、みたいなくらいへこんで。なんで落っこっちゃったかもわからないし。でもまぁ回復したし、元気にやっていかなきゃって時に、這い上がるために自分が好きだったものをもう一回見つめなおそうって思って。そしたらやっぱ家族好きだし、友達大事だし、映画の仕事も大事だし、あとやっぱり音楽が好きだわ、ってすごい思って、その時。元々V.I.Pのコンピの『Dazzlin'Gold』のVol.1に入る予定で、初めて曲録ってる時で。それがその最中に落っこっちゃって流れて、それでも当時V.I.PだったKang Dong君が「生きててほんとによかったよ! やろうよ、また!」ってVol.2に入れてくれて。それがすごくありがたくて、救われて。こんな俺ですけど...。みたいな感じで。本気でやろうと思って。
 
●この出来事が、卍Lineとしての現在へのきっかけでもあるわけですね。このタイミングで曲にされたのは、歌にすることで昇華する、というような意味があるんでしょうか?
卍:そうっすね。それが大きいっすね。言ったら今も、どん底だったとこからまだ這い上がってる最中で。その中でこの「Ikiro」っていうのは避けて通れないテーマだったし。ほんとは1枚目でやるべきことだったと思うんですよ。でも1枚目を出して、ライヴをこんだけ回って、恥かいて、いい思いして、まみれて、で、そっから出てきた自信で歌えるようになった歌っていう気もするんですよ。

 ずっと不思議だったのだ。なんでそこまで現場なのか。ともすれば飛び級だってできそうなのに。どうやら考え違いをしていたのかもしれない。今の卍Lineにとって、必要だったのは"その先"ではなく、"それ事体"だったんだな。

 

"Vortex"
卍Line
[Amato / XQHM-1001]

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