HOME > 318 > ISLAND EXPRESS from No.318

topics


""Only Ting A True Mi Waan...""
Text by Reiko NAGASE SMITH
 
前号で、ジャマイカが「世界でしあわせ度数の高い国」の三位に選ばれた話を書いたが、そのほんの数日後にはジャマイカが、グローバルな不景気の煽りをモロに受けている、世界でも困窮している10国のひとつであると発表されてしまった。生き方を示唆した哲学チューンがこのごろはとくに目立って、トニー・レベル「アローン」、リッチー・スパイス「ストリート・ライフ」、G Whizz「ライフ」、Bugleの「Don't Blame Life」など、新人からベテランまで幅広いアーティストたちの本気なチューンがしみわたる。
 
Queen Ifricaの「Far Away」「Lioness On The Rise」につづいて「Mek Mi Grow」がラジオでヘヴィ・プレイ中。幼かったころのエピソードを織り込みながら、自分を育ててくれたことへの感謝と、いま育っている子供たちや大人へ発信するメッセージ。このジャメーカ女の子たるもの、強く逞しく育ってほしい、という明確なメッセージのルーツなチューン。ヴァイブス・カーテル「Virginity」への抵抗チューンと捉える向きもあったが、Ifricaは否定している。
 
 ......子供のころ、まだマーリーをときどき見かけたころの話よ。
No bwoy caan draw mi round no corner, fi go show mi no iguana, allow mi mek me grow(ガキ大将にイグアナ見せられて泣くような柔な女の子じゃないもんね)
 ......男にやりこめられるようなことは許さない、これぞジャマイカおんな道。
Yuh caan tek my virginity cause that a God precious gift to me(ヴァージンはたいせつにするわ。ゴッドから授けられた贈り物だもの)
If it makes you feel good to sleep wid children in yuh rampin' shop
 ......ここではっきり「Rampin' Shop」を言及してますね。
Leave the pickney dem alone go look yuh age nuh man(年端もいかない子供を相手にするのはやめて、ふさわしい女性を相手になさいよ)
Yuh better think twice before yuh tek another one(行動する前に、よーく考えなさい)
 ......と、両手を挙げて同調したくなるファイアー・ママ、Ifricaのリリック、強し。
 
ところが! 当のカーテルがティーンエイジャー妊娠問題に真っ向から取り組んだ。タイトルもずばり、「Teenage Pregnancy(十代の妊娠)」。カーテルとガザ・キムの掛け合いソング。ワン・ドロップなレゲエのビートにのせて、ティーンエイジャーのフェイバリットDJ、カーテル自らが発信。Da song yah serious you know。
 
Wha mi a go tell my mother? Wha mi a go do,(お母さんにどう言ったらいいの? どうしよう)
Baby why yuh neva use a condom(どうしてコンドーム使わなかったの)
Remember me go a school, mi nuh want fi drop out(私まだ学生なのに。学校ドロップ・アウトしたくないよ)
 「モーニング・シックネス(つわり)まで始まってるわ」と、なんとも生々しいこのチューン。相手役の男の子は、「愛してるよ、愛してるから心配しないで」と、まあ現実味のないなぐさめ方しかできないティーンエイジャー。困ったわねぇと腕組みして聞いちゃうチューンである。
 
 ガザ・キムはポートモア・エンパイアの新人。ありきたりなメイティー・チューンを歌わせるにはもったいないと、カーテルにその才能を認められた17歳で、高校を卒業したばかりの女の子だ。
 このチューンのポスターがRampin' Shopの写真とは違う意味で衝撃的。カーテルとガザ・キムがスクール・ユニフォームで問題提起をしている図。
 カーテルとガザ・キムの同コンビネーションは、シャバ・ランクスの'90年代ダンスホール・クラシック「Twice My Age」のリメイクもリリースしている。こちらはご存知、年齢が倍ほど離れた、ジャマイカでいうシュガー・ダディー、援助交際をネタにしたチューン。
 
ジャマイカは、いまも法律で中絶を認めていない。今年にはいって女性庇護団体がジャマイカ国会に法案見直しを主張。国会内でジャマイカの伝統的な即席芝居を見せるというユニークな方法で、中絶の合法化を訴えた。
 
★ricoのジャマイカArt Life → www.ricoart.com
★ricoのスケッチ・ダイアリ→ http://ricoart.exblog.jp

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation