DEEP THUNDERING SOUNDS
Text by Kazumi Kamada
Jam Massive
Yellow Chice
Infinity 16
3rdアルバム『The Trinity』から早4年、既に新曲「So Fine」がチャートを賑わせているが、この曲を含む4thアルバム『Imperial Blaze』が遂にリリース。「So Fine」同様、スティーブン・マクレガーが多くの曲をプロデュースした本作は、ダンスホール・レゲエの未来像を映し出しているかのよう。早速、彼に電話インタビュー。
日本のレゲエ・シーンも随分と定着してきたが、ここまでになる間には途方もないエネルギーと計り知れない時間が必要だった。当然、しっかりと根を張っていく者があり、その陰で淘汰されて行く者もあり...。そんな中、個性や手法は違えど太い根をしっかりと張り続けているJam Massive、Yellow Choice、Infinity 16の3つのサウンドがこの夏プロデュース作品をリリース。順に紹介していこう。
まずは、広島を拠点に全国区に名を響かすヴェテラン・サウンド、Jam Massive主宰のSetouchi Music Factoryによる、意外にも初のコンピ『Ragga Life』。本作に対し「サウンドマンは現場ありきだと思うので、ノリや楽しさももちろん大事だけど、曲に詰まっている熱いメッセージと現場的な圧倒的ヴァイブスが肝心。そして自分達らしさ」とコメントをもらったが、実際、この太いヴァイブスに満ちたチューンは正に現場向けだろう。今後も「音の入口から出口まで」をテーマに若手のフック・アップもやって行きたいとの事。
そして次は大阪から全国区、更に現在ではジャマイカと日本を股にかけて活動するヴェテラン・サウンド、Yellow Choice主宰のPeople's Choice Recordsからのコンピ『People's Choice Records 壱』。ハードコアなYellow Choiceらしく「(音はもちろん)リリックの内容も大事にしている。参加してもらった皆には、嘘の無い内容を心掛けてもらった」という本作も現場感覚が強く出た作品で、今後も「現場で生きる作品を常に意識して作って行きたい。やはり現場でかかる事に意味があると思うんでね」というコメント通り、リアルかつ現場重視の作品だ。
最後は横浜の人気サウンドInfinity 16の無限十六名義による1ウェイ作品『無限十六 Vol.4 BADDAZ Riddim』。Infinity 16としてはWelcomezシリーズで湘南乃風の若旦那とJay'edとの「伝えたい事がこんなあるのに」をリリースしたばかりだが、こちらは現場向けのシリーズ。「1ウェイってスタイル自体サウンドならではスタイルだと思うし、自分がプレイする事も想像しながら作っているので、自分自身面白がって作って行く事は大事にしています」とTela-C。「今後もサウンドならではの1ウェイ・スタイルをもっとたくさんの人達に広まるようにしたい」と付け加えてくれた。
いずれもサウンドマンがプロデュースした作品だから「まず、現場ありき」というこだわりはどの作品からもみなぎっているし、こうしたある種の人々からは拒絶されるほどハードな感覚こそ日本のレゲエには抜け落ちてはならないものだと思う。こうしたハードコアな作品からもレゲエがますます広がって行くことを強く願う。
"Setouchi Music Factory Compilation Album Vol.1: Ragga Life"
Jam Massive with V.A.
[Setouchi Music Factory / SMF001]
"People's Choice Records 壱"
Yellow Chice with V.A.
[People's Choice / PCR-001]
"無限十六 Vol.4 BADDAZ riddim"
無限十六 with V.A.
[無限Recordings / SIZC-115]