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FIGHT MUSIC FOR YOUR LIFE
YOU THE ROCK★
 
Interview by Takashi Futsugi / Phot by Tany
 


 
 真っ赤な眼をしたフクロウ=YTR★が、今年"ラッパー生活20周年"の時を迎えた。その略歴=Legendary's はざっとこんな感じだ...。1971年、神奈川県は平塚で生まれ、信州信濃国は長野市で育ち、86年、15歳の時に偶然TVで観たRun DMCからイナズマ級の衝撃を食らい、"ヒップホップという無敵のカルチャー"の洗礼を受ける。そしてBDPが『By All Means Necessary』を発表した88年には"ヒップホップ探究心"を抑えきれずに単身上京。やがて出会った盟友DJ Ben(The Ace)と共にBattle Of Hiphop Entertainmentを興し、92年にはDJ Doc. Holidayこと須永辰雄のレーベル=RhythmよりYou The Rock And DJ Ben名義での初アルバム『Never Die』を発表。93年1月1日には、2nd『Tight But Fat』で、コンシャス・ラップとファットな音を武器にメジャー・デビュー。
 
活火山そのもののリアルな現場で日本語ラップ・シーンのコアが固まった95年頃からはスーパー・グループ=雷でも活動する一方、「日本にはFab 5 Fredyみたいなヤツがいない」という事実に気付き、そのキャラクターの濃さとアツさを生かした司会としてのMC業や、ラジオ、TV界にも進出(Tokyo FM『ユウザロックのヒップホップ・ナイト・フライト』他)、ぶっとんだマイクマスターぶりを見せ付けた。Lamp Eyeのクラシック「証言」に参加した96年にはカッティング・エッジより『The Soundtrack '96』をリリースし、その年の7月7日にECDが企画した『さんピンCAMP』のステージで「雨が降ってもマイクでロック」し続けたその姿はそのDVDにも記録されている。
 
その後のリリース(『The ★Graffiti Rock'98』からオールUSメイドの前作『BIG VIP HOP』まで)、また『ダイナモ』から『Ameba番長』までのパーソナリティ歴、SSTV企画のショウケース・ライヴ『Hiphop Royal』の発起人などの"ヒップホップをここ日本でよりメジャーなものにするため"のアクティヴィストとしての動きは最早説明不要かと。
 
 そんな比類なきHipHopアーティスト=YTR★が大きな節目となる今年、The Legend$のLegendary Inc.に電撃移籍、10枚目を数える新作を完成させた。彼が"今この瞬間やりたいこと"と、新旧ヘッズ目線で"今望まれているもの"をベスト・バランスで表現した、現時点での集大成的な仕上がりの本作は 東京最前線イヴェント『A+』のMCを共に務める"トータル・プロデューサー"Denの客観的な意見を取り入れたことで生まれたもの、だとか。何はともあれ、リザレクションの火の手は上がった...。
 
●この20年を振り返って、特に忘れがたいエピソードを幾つか挙げてください。
You The Rock★(以下Y):雷をやったこと。ラジオをやったこと(Tokyo FM『ユウザロックのヒップホップ・ナイト・フライト』他)、「さんピンCAMP」をやったこと、20年以上HipHopをやり続けられたこと。そして数多くの作品でHipHopの可能性を伝えられたこと。
 
●『ザ・ロック』は、色んな方向に振り切った感じがありながらも、とてもバランスのいい作品ですよね。自身で過去の作品と比べてどうですか?
Y:振り切ったというか、突き抜けつつも今の音で制作できたことも踏まえて10枚目という節目にふさわしい、ニュー・スタンダードを完成できたと思います。
 
●Legendary Inc.へ移籍しよう!と思ったキッカケはなんですか?
Y:とにかく、今はHipHop しかやりたくない!と考えて、渋谷生まれ渋谷育ちのDenと565がやっている「A+」「渋谷クラブジャンクション」に影響を受けて、ストリートに根付いたアーティストと本気のHipHop をやるために移籍した。これを"業界に対してのアクション"というメッセージとして提示したい。
 
●アルバムの中で最も苦労した曲は? またその理由を教えてください。またゲストの中で印象深かったのは?
Y:苦労した曲は別にないかな。20年以上HipHop をやっているので、制作中の苦しみは別になかった。むしろ、一番ノンストレスで創れたアルバムかも。ゲストの中で印象深いのはマイメンTwigy。R&Bシンガーばりに歌に挑戦したその録音作業が凄かった...。改めてリスペクト!!!
 
●以前、「こんな世知辛い時代だからこそ、いいヒップホップ(作品)が生まれるハズ!」と断言してましたが、このアルバムにも「病んでる気分を救ってくれる」何かがしっかり感じられます。自分ではどう思いますか?
Y:その通りだと思います。今の時代に暗い曲を創ってもしょうがないので前向きに生きて戦い続けられるFight Musicを創ろう、ということを一番意識しましたね。DisやギャングスタラップやHater的な事よりも、エデュテイメント・娯楽と教育の共有作品になるように。そして、その通りのアルバムになったと胸を張って言えますよ。

「(日本語)RAPは死なない。俺もくじけない」(from 「Never Die」'92)


 

"ザ・ロック"
You The Rock★
[Legendary / LEGEY-0004]
※初回盤のみDVD付2枚組

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