SUNSET the platinum Sound
Interview by Nobuhiko Mabuchi / Photo by Hiroto "Photowarrior" Sakaguchi
●制作に関して、何かテーマみたいなものはあったんですか?
Bam Bam(以下B):前作は(リディム・)トラック数が少なかったので、今回は時間をかけていろんなタイプのトラックを作りました。それによってアルバムとしての音楽の幅が広がったので、掲げた課題はクリアできたと思います。
●セグメントもありつつ、全9リディムで合計14曲を収録。ダンスホールからミディアムまで、確かに前作よりも幅が広がってますよね。中盤にはMoomin & H-Man、NG Head、Papa B & Sing J Roy、Takafinのセグメントがありますが、このリディムも印象的でした。
Dizzy(以下D):去年の11月にジャマイカ行ったときに、Kirk Bennettと作ってきたトラックですね。
B:最近のダンスホールはダークなトラックが多いから、今年の夏を視野に入れて明るいトラックが作りたかったんですよ。Kirkとは相性がいいんで今回もKirkに頼みました。最近はレーベルの色を出す意味でもKirkと組むことが多いですね。
●このセグメントでは、それぞれのアーティストに何か指示を出したんですか?
B:Papa BとSing J Royのコンビが一番最初に完成して、その後Takafinと NG Headには80年代〜90年代っぽいラガなフロウな感じがいいなってお願いして、Moomin & H-Manに関しては王道のコンビネイション・スタイルで、去年からはじめた野外ダンス「おくたま☆星空レゲエバッシュ」のテーマ・ソングみたいなのを作ってもらおうと。
●今年は8/29に去年と同じ玉川キャンプ村で開催されますね。あのロケーションは本当最高ですよね。道中ちゃんと辿り着けるのかっていう不安感もあって(笑)。
B:その不安感って、ジャマイカで田舎のダンスに行くときもあるじゃないですか? あのダンスを企画するキッカケのひとつに、ジャマイカの田舎ダンスの雰囲気を再現したいっていう想いもあって。
D:都内から向うと、ちょうどキングストンからマンデビルの山奥に行くくらいの距離だし。
B:あんなロケーションはなかなか見つからないんで、これからゆっくり温めて質のいいダンスにしていきたいですね。
●作品の話をもう少し。Rankin(Taxi)さんの「誇り高く生きる為に Pt.1」は、作品の中で最もコンシャスな曲ですね。
B:この曲に落ち着くまでには色々とあって、実は最初に作ってもらった曲が今の時代にものすごく挑戦的な内容だったんで、もう1曲点作ってもらったのがこの曲です。これも日米関係を見直せっていう反社会的なメッセージの強い曲になってますけどね。で、その最初に作った曲はいつか別の形でリリースできると思います。それが今の予定だと「誇り高く生きる為に Pt.2」になるそうです。そういった意味も込めての今作での「Pt.1」なんですよ。
●今作はトラック・ダウンもミックスも自分たちでやってるんですか?
B:ほとんどの曲を自分らでミックスまでやってます。今まで培った技術を駆使してって感じですね。
●音へのこだわりを挙げるとしたら?
D:一番はバランス。どうしてもレゲエってベースの音が強いイメージがあるけど、実際は高音・中音・低音のバランスがよくないと輪郭が出て来ないし。
B:音のバランスを勉強することはサウンドとして必要なことなので、何か発見がある度に前進しているなって実感してます。
D:あと今回の制作を通して、持ってる機材を最大限に使うことが大事なんだって気づきましたね。ジャマイカのスタジオでもそうだけど、いい機材を使ってるからいい音が作れるわけじゃないし。
●今あるもので作るのがレゲエであると?
D:そうだと思います。
B:Dasecaみたいなビッグ・レーベルでも未だに小さいスタジオで音を作ってて、ヴォイシング・ルームは隣のスタジオと共同だし。そこからビッグ・チューンが生まれていることを考えると、レゲエってすげえなって勇気づけられますね。
D:日本はモノが溢れているからすぐ新しい機材が欲しくなっちゃうけど、そういう発想じゃダメだってことを、ジャマイカのスタジオを見て改めて考えさせられましたね。
"Platinum Compilation Vol.2"
SUNSET the platinum sound
[Victor / SSMX-016]