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RYO the SKYWALKER
LOVE-A-DUB SHOWCASE
 
Text by Hozumi Kaneko / Photo by Hirano Takashi (P.14), Daisuke Kajiyama (P.16)
 


 
●アルバムのテーマは"ラヴ"
 "現場をいつも忘れないぞ"っていう意味で『Love-a-Dub Showcase』というタイトルを付けつつも、テーマは"ラヴ"で、今までの中で一番コンセプト立ったアルバムになりましたね。(アーティストとして活動し始めた)初期の頃は、日本のヒット・チャート見てもラヴ・ソングばっかりで、レゲエはコンシャスなことやアホなことや、なんでもひっくるめて歌うし、タブーもなくて、そこが魅力やったんですよね。だから昔は、"歌手ちゃうねんDeeJayやねん、そんな惚れた腫れたばっかり歌うんちゃうねん"って、いわゆるラヴ・ソングを避けてきたんです。でも、ここ2〜3年、「晴れわたる丘」や「忘れておしまい」だったり、『Come Home』収録の「To The Future」ぐらいからなんとなくそういうのも出せるようになった。"これがレゲエ"、"これがDeeJayスタイル"っていうのをやりきった上で、"こんなこともできます"、"あんなこともできます"と僕も表現の幅を広げてきたつもりなんですけど、その部分でいうと結構、究極型に来たかなと。
 
 始めは90年代ダンスホール・レゲエっていうのが自分の中で裏テーマとしてあって、それがRub-a-Dubっていう所に繋がっていって。けど、単純に"90年代ダンスホールです"みたいなことをやっても、"そりゃちゃうやろ"っていうのは分かっていたんで、それは裏テーマってことにして。それで、あくまで2009年のスタイルで、Ryo the Skywalkerのスタイルで、何かを伝えなければあかん、そりゃなんやろ?というのを探すようになったんです。それで、5枚目のアルバムってところで、"フィフスエレメント"という言葉を思い出して、同名の映画も好きだったんで調べたら、キリスト教的な世界観の中の話なんですけども、この世の中を作っている風、水、火、土という4元素の他に、目に見えない5元素目があって、それが"愛"やっていう話で。それが、5枚目のアルバムっていうところとシンクロして、"ラヴ"になったんです。"愛が足りへん"とかは、いつもアーティストが言ってることだけど、今こそ必要だなと思って。自分自身もある意味すさんでて、なんかラヴが欲しいな、と。新作を聞き直しても、自分が癒されるというか。いつもは、こっちから伝えるという意識が強いんですけど、自分も言って欲しかったことかなと、今は思いますね。
 
●「Ever Green」から「ここにある今を 共に歩き出そう」へ
 この2年間は、いろんなことが重なりすぎて、そっから立ち直って、"じゃぁ次に何を書こう"といった具合に復活していくのが大変だったんですよね。"俺のレゲエ、大丈夫かな? ちゃんと出来ているかな?"みたいなことも自問自答して。それを乗り越えて、今ここに来れたっていう感じなんですよ。"自分がやってきたことは、絶対レゲエやし、ジャマイカが全てというわけではないけど、レゲエと言う以上、そこ見てやって来たし、それは間違っていない"と辿りついて。去年出したシングルの「Ever Green」は、僕の友達のTerry The Aki-06が亡くなった時に作った曲で、思い入れが強すぎてちょっと毛色が違うというか、他の自分の曲と存在が違うような感じで、シングルだけでアルバムには入れんとこうと思ってたんです。でも、ヴィデオの賞をいただいたり、曲自体もみんながいいねと言ってくれて広まり、これを入れへんわけにはちょっといけへんなとなって。そこから、じゃあ、「Ever Green」をどうやったら逆に入れられんねん?と考えた時に、それ以外の曲が今まで通りに並べられるように、「Ever Green」とバランスをとれるような曲を作ろうと思って。それが、「ここにある今を 共に歩き出そう」で、この曲は、アルバムの最初から終わりまで他の曲を作りながら、ずうっと悩みながら作った曲なんですよ。
 
 このタイトル、"お-お-い-あ-う-い-あ-お"で韻踏めているんです。こんな長いのに韻が揃っていて意味も通るんで、大事に使おうとずっと温めていたフレーズなんですけど、「Ever Green」の答えを出す時に、この二言で済んでいるなと気がついて。大事な人やものを失っても、過去になにがあっても、結局、ここからじゃないですか? 去年や一昨年、レゲエが一人歩きして、自分を含めて"どやねん?"と悩んだけどれも、"もうええわ。じゃぁどうしよう。みんなそれぞれもがいているし、変な話、どれだけ敵やと思っていても、そいつらももがいている"と思えるようになって。だから、"何があっても同じ仲間さ"という歌詞があるんですけど、そこも思いが強いんですよね。
 

 
●裏テーマの90年代のレゲエとは?
 「ここにある今を 共に生きよう」も、実は90年代のレゲエを意識している部分があるんですよ。90年代のインナー・サークル、シャギー、アッパッチ・インディアンなど、ジャマイカの現場では、そんなにかかったわけではないけれども、なんか世界的にレゲエを盛り上げたチューンってあるじゃないですか? 昔、セレクターをやっていた時は、"リアル・ジャマイカちゃうやん"と思ってかけたくなかったれども、土曜日の営業とかではかけざるをえなかったりしましたけど(笑)、でも、思い出したら好きやし、どれもいい歌だし、思い出もいっぱいある。やっぱツッパっていたんですよね、当時は、レゲエが広まっていない状況だから。でも、それらをひっくるめて自分のレゲエやったし青春だったわけなんで、今やからこそ、そこに対するオマージュをと思って。それで、"好きやったよ、実は(笑)"っていう部分を、日本語のレゲエで、今の若い子にも楽しんでもらいつつ、アルバムの核でありまた、みんなに一番届けなかあかん歌として作ろうと臨んで。
 
で、その頃の空気感を知っていて、現場目線なことも分かっていて、今の音楽業界に食い込むスキルのある人ということで、上代(学)君に曲をお願いしたんです。だから、曲だけ聴いたら、何が90年代で、何がレゲエなのかは、"はぁ?"って思われるかもしれないけれども、こういう話をすると分かる人には分かってもらえるかなと。そういう意味で、裏テーマなんですけど、90年代は、自分がハマった時代じゃないですか。そこから始まって、ここまで来れたんで、そんな90年代に対するラヴなんですよね。NG Headとやった「The Bommer」なんかも、NGはいわゆる自分の中でDeeJayの師匠なんで、その頃を思い出して、単純な言葉遊びを楽しもうかなという勢いで作ったんです。遊びに対するラヴというか。だから、僕の土台じゃないですけど、これまでやってきた部分に対してのリスペクトもあるんで、ゲスト陣も音面も含めて、今までやってきた中で自分が信用できるメンツで固めたかったというのもありますね。
 
 とまぁ、いろいろと言いましたけど、聴く人は自由に楽しんでもらえれば、と。ホンマに。ただ、僕はこういう気持ちで作ったんで、あぁ、そうなんかと楽しんでもらえたらば、より楽しいかなと。それと、10月下旬からスタートするワン・マン・ライヴに来て欲しいなっていうのが特に強いかな。今回のアルバムは、"俺のレゲエ大丈夫か?"と思っていた答えを、"大丈夫やろ?"って意味で出したんで。"このレゲエ間違ってないぞ会"を一緒に盛り上がって行えればなと。


 

"Love-A-Dub Showcase"
Ryo the Skywalker
[Riddim Zone / RZCD-46281/B (DVD付)]
 

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