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【ザ・サンダルズの巻】
サンダルズはデレク・デルヴス、ジョン・ハリス、ワイルド・キャット・ウィル、そしてイアン・シモンズの4人からなる。彼らは80年代半ばから、90年代半ばまで、音楽を中心とした奇妙な活動を続けていた。その事を僕のように......そして、今回の幻のセカンド・アルバム、リリースの実現に大きな役割を果たしたDJ Sahib a.k.a. Yamaのように高く評価する者もいれば、重視しない者も多い。彼らが、ヴェジタブル・ヴィジョンに視覚的な部分を担当させて日本でのギグを行った際、音楽評論家の渡辺享氏は「異色のアーティスト集団」と彼らを説明した後、その音楽について「未整理のあるものの」と前置きをつけ「時代の流れに対応しており、可能性を感じさせる」(『ミュージック・マガジン』1994年11月号)と書いた。『ロッキング・オン』では、同誌の山崎洋一郎氏がファースト・アルバムを酷評した、と記憶する。これは日本だけではなく、彼らの国UKでも同じで、アルバムがリリースされる前のシングル「Nothing」は、『NME』というロック新聞で"Single Of The Week"に選ばれるが、それ以上の評価はなかった。当時、アシッド・ジャズという用語とレーベルがあり、彼らの2枚のシングルはそこからリリースされているが、アシッド・ジャズのプロパガンダ的な側面もあった雑誌『Straight No Chaser』1994年春、25号では、ベン・ウィルコックスが彼らのファースト・アルバムを「パッションと風変わりさの詩に刻まれたダブ、ジャズ、ハウスの間の空間を占拠しようとした知的かつ現代的試み」だと書き、彼らのファースト・アルバムを「今年のランドマーク」であると断定した。が、それは例外的な話である。当時のジャーナリズムの話がもう聞きたくなければ、止めてもいい。では、僕自身はなぜ高く評価するのか?
 
「10年前に、DJ Sahib a.k.a. Yamaに(今回のセカンド・アルバムの)ラフ、MiniDiscをあげたんだ。で、Yamaはずーっとそれを聞いてくれていて、『イアン、これはリリースするべきだよ』って折にふれては言ってくれていた。でも、僕はそれに説得されなかった。よくある政治的な問題(契約的なものと思われる)もあるし、他のメンバーにもそれほど度々会っていた訳じゃなかったし、ねぇ、僕は彼らとまだ友人だが、でも、(サンダルズは解散してしまっていて)それぞれ別の生活を送っているんだからね。ところが、Yamaが去年の夏に連絡をまたくれた。『レーベルを見つけたよ、僕の友人、弦太がやってるRudimentsっていうレーベルだよ』って言うんだ。僕は『それは興味深い』って思った。それでジョンに連絡したら、ジョンも興味を持って、ジョンが連絡したウィルもデレクも同じ意見だった。そこで去年の夏を、トラックのエディティングとリマスタリングに費やした。なぜかって言うと、幾つかのトラックはダメージを受けていて、それをプロトゥールズを使って、救いあげなくてはいけない音もあったから。トラックは全部DATテープに残っていたんだけど、今では誰もDATテープを使わない(笑)。トラック全部を救って、編集して、あとは知ってる通りさ。元々はYamaが持ってくれていたMiniDiscがあって、それを弦太が気にいってくれたところから始まったんだ」(イアン・シモンズ)
 
僕はこのアルバム『Yesterday's Tomorrow』を1990年代の音楽とは考えてない(実際のレコーディングはファースト・アルバムのリリースのツアーの後)その理由の一つとしては、本作が非常によく出来たダブ・アルバムとも聞く事が出来るからだ。そして、このフリー・ペーパーの読者ならご存知の通り、非常によく出来たダブ・アルバムはタイムレスな可能性を孕む。なぜなら、ダブは通常の線的な時間経験を撹乱するという点でコンテンポラリーであるのに他ならないからだ。作曲とは、結局、ポップ・ミュージックでは市場調査の結果と切っても切り離せない。ラジオでプレイされ易いように曲の長さは3分程度になったのであり、思春期の少年/少女の欲望の投影としてラヴ・ソングが多く、しかも日本の場合はサード・パーティの介入の例を許さない構造にして、そこで現実離脱化が行われ、その空虚が売り物にされる。まるで不動産だ。どんなにいびつな建物であっても、いや、いびつで歪んでいるからこそ、自分個人の所有だという誤解の投影が容易になるだけに過ぎない。少なくとも、そうした間違った解釈が拡大される余地がある。つけくわえておけば、ジャマイカの社会自体を意味なく理想化する気は僕にはない。ジャマイカの社会がどのような構造において支えられているかは、ライターの池城美菜子氏が公開時にプッシュしていたドキュメンタリー『ジャマイカ 楽園の真実』がその部分を描いていたし、また、先月号の本誌のナガセ・スミス氏の記事のセレクタたちの"Money Pull Up"のような現象がどのような場所に行き着くかは、東京にいる僕の想像を超えている。だが、優れた音楽は否定出来ない。ポップ・ミュージックが当初からセックスといっしょくたにされて二束三文で売られていようと、されまいと、そんな事とは別に、音楽に真実が宿る瞬間がある。その瞬間がタイムレスなのか? いや、それは受容の問題だ。
 
「僕にとってもこのセカンド・アルバムの方が、もっと自分たちらしく思える。4人、5人のプロデューサーが行き来しているのではない、『あれをやれ、これはやっちゃいけない、こういう風にやるべきだ、こういう風にやれ』とか、実はファースト・アルバムはそういう風に作られたんだ。ビッグ・コーポレーションと共同で働くという事はそういう事なんだ。そして、レコード会社は、セカンド・アルバムを作る自由を僕たちにくれたわけだが、僕は胸のうちでは、彼らがそれを好きではないだろうな、と僕には分かっていた」(イアン)
 
「作られた時代は90年代だよ。レフトフィールド(変わったもの程度の意味)なものがもてはやされ、みんながドラッグをやり、覚えてるだろう? みんな大儲けをしていた......僕たち以外はね(笑)」(イアン)
 
イアンは現在Wise In Timeというバンドでの活動をしている。このダブ・アルバムを最後にして、サンダルズが解散して後の、彼の音楽家として出した結論が、バンドであり、ライヴ・パフォーマンス、より複雑な、ワン・タイム・デモンストレーションとしての音楽、それを複製再生可能にしないやり方として、僕は彼の選択を支持する。
 
アートに正解はない。多分それが昔の作家がボクシングを好んだ理由と聞いたことがある。ボクシングは勝ち負けがはっきりしているから。

 
荏開津広(One Hand Clappin')
イアンさん! 本出すなら声ぐらいかけてね!! 会ったのずいぶん前じゃんよ。プーチンに合わせて妹と会って、久しぶりに密談! テヘランからウォーター・パイプ空輸で到着!

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