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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
ALBUM 
 
1. Wu-Tang / Chamber Music (Victor)
あの傑作『The 8 Diagrams』以来の新作?しかしこれは総合監督のRZA曰く「クランのアルバムではないが、同じぐらい重要なもの」で、本隊からは、GとMの字2名が欠席してるものの、聴く限りWuそのもの。逆に客演で、AZ、Kool G Rap 、Master Ace、Sadat X、M.O.P.、と豪華なリレーが楽しめる。ライヴ・バンド=Revelationsのサウンドをリプログラミングしたドープなビートがいちいち秀逸で、MC陣の立ち回りも原点回帰を想わせる。日本盤にはRZAも認めた存在=Muroの危険なリミックス入り!
 
2. Alchemist / Chemical Warfare (Koch)
Mobb Deep、Snoop、Eminem、Fat Joe、Nas、Jadakiss、そして『Tokyo Tribe 2』でのMuro、と数々のサウンド・プロダクションに関わってきたプロデューサー/DJアーティスト=Alchemist、約5年ぶりのリーダー作(ミニ・アルバム『The Alchemist's Cookbook』を除く)。気になる参加面子は、タイトル曲担当のEminemを始め、Kool G Rap、Snoop Dogg、Jadakiss、KRS-One、Evidence、Kid Cudi、Three 6 Mafia、Twista、Maxwell、Juvenile、Fabolous、Dogg Pound、Lady Of Rageなど、エリア、世代も様々な"DJらしい視点"が活きたものに。それにしても、ビートのタイトなこと!
 
3. Ace Hood / Ruthless (Def Jam)
所属する"We The Best"のボスDJ Khaledの「スゲー奴が現れたぜ!」というフレコミとともにブレイクしたフロリダ出身のAce Hoodが、デビューから1年も待たずに2ndを発表。Akon、T-Pain入りのリード曲「Overtime」やリークされたJazmine Sullivan参加の「Champion」の完成度も驚きだったが、アルバムもまさに捨て曲なし! Rick Ross、Ludacris、The Dreamら、サウス勢が気を吐き、最早鉄板クラスのThe RunnersとDJ Khaledがエグゼクティヴ・プロデューサーを務めるだけあって仕掛けも万全。そして、なにより主役のラップ! これが癖になるヤバさ...。
 
4. Poison Pen / The Money Shot (Gold Dust)
数々のフリースタイル・バトルで伝説を作った"ベッドスタイのベスト・バイ"の2nd。まずはQuincy Jones「鬼警部アイアンサイド」使いの冒頭曲、Audio Twoネタの地元ブルックリン・アンセム「Brooklyn Party」、そして新作は久々にPrimoも参加で熱いらしいM.O.P.との「Magnifique」の3曲でK.O必至。ゲストには他にも彼を含むImmortal Techniqueに、Silkk Da Shockerなども参加。盟友DJ Statikらが繰り出すビートもアングラ臭くなく、全てにおいてハイ・クオリテイな1枚。酔いどれキャラのフロウも凄い。
 
5. DJ Spinna / Sonic Smash (High Water / Traffic)
自身のグループJigmastasから、Phonte、Elzhi、Trae、J-Treds、Dynas、John Robinson、Tiye Phoenixなど、Spinnaならではゲスト・ラインナップによる3年ぶりの新作。その日本人好みのきめ細かさと、ファットな音像はさらに小気味よく進化。そのDJイングの上手さがトラックに表出したSpinnaサウンドの元祖(当たり前だ!)だけに、その気持ちよさの向こう側が見える音はまさに鉄板。久々のヒップホップ・プロダクションにも関わらず、このタッパン・ズィーばりの安定感(?)はサスガ。余談だがDynasの新作もいい。
 
6. dj honda / dj honda IV (dj honda RECORDINGS)
ワーカホリックなことで有名なdj hondaのライフワークの1つであるシグネチャー・プロジェクトが8年ぶりに復活。驚異的なチャート・アクションを見せた「Travellin' Man」の衝撃再び、ということでMos Defとの再タッグや、Kool G Rap、EPMD、Group Home、Rakka、Fred Durstといったゲストたちのパフォーマンスからも伝わってくる通り、世界を相手にたった一人で闘い続ける真のサムライである彼のビートに漂うリリシズムは、MCとして全ての感覚を揺さぶられるのだろう。余程タイトな関係じゃないと打ち出せない濃密な男の世界がここにある。
 
7. DS455 / Check Tha Number (Hood Sound)
遂に20周年の時を迎えた極東ウェッサイ・シーンの導き星にして最強タッグ=DS455の、約2年ぶりとなるオリジナル・アルバム。PMXらしいリプレイが冴えた先行シングル「Into You feat. Say」に代表されるメロウ・グルーヴから、DSC〜Hood Soundの仲間やMacchoらを交えて展開されるフロアバンガーまで、シーン屈指のゲトー&ラグジュアリー・サウンドに、歌心に富むオリジナルなリリックが冴えまくるKayzabroのラップが木霊する力作。久々にDazの声も聞ける!
 
8. Mr.OZ / neXXX episode (Bigg Mac)
名古屋シーンのベースを担う"要塞"Bigg Macの指揮官= Mr.OZが、これまでの軌跡を総括したベストに続き、次の世代、次の目標へ向けて贈る"外部客演ベスト"を発表。またも3枚組のビッグマック・ヴァリューで提示された本作は、客演、リミックスのコンピと、DJ BreazによるMix-CD、そしてPV監督としても知られる彼だけに新曲「neXXX episode」のPV(これがまた良い!)が入ったDVD、という豪華内容の3枚に。アート=残るもの/残さないといけないもの、という基本を後世に伝えるべく立ち上がった彼の"運動"の理由はここにも。
 
9. DJ Baku / The 12Japs (Popgroup)
以前、本誌のインタビューでも語られていた"12人のヤバいMCたち"をフィーチュアした、ガチなラップ/ヒップホップ・アルバム。ILL Bosstinoから、B.I.G. Joe、Ini、Shing02、漢、般若、Nipps、K-Bomb、Norikiyo、Bron-K、Hidaddy、Freezと、北から南からと顔を揃えた猛者たちと、ジャンルレスでいて芯は通ったサウンドとDJイングで、独自の道を切り開くDJ Bakuがどう絡んだのか、それは、まずその音に触れてもらうことで感じてもらえれば。ここに出てきた名前に反応した人ならば間違いない。いや、気持ちいい裏切りが待ってILL!?
 
10. 太華 / 顔面着地 (Libra)
日本で最も太い音を操る人間ドラム、と呼ばれるブレス式太鼓界のヘヴィー級チャンプで、バンド・セッションやサイファーの中心に司会など多方面で活躍中の重要人物=太華の初アルバムが遂に完成。資料には「正統派Beat Boxerのアルバム」でありながら「最もBeat Boxer的アルバムからかけ離れた楽曲」作りに成功した...とあるが、まさにその通りで、あなたの既成概念は木っ端微塵に吹っ飛ばされる?そんな、音楽性重視の珠玉の全9曲入りCDと、ヴィジュアルでもライヴさながらにその凄さを体感出来るDVDとのセットというのも嬉しい。
 
11. Coe-La-Canth / Change (C-L-C)
紹介漏れだが、Inside Workersや遊戯、Gebo他、大阪発の良作が続く中、浪速深海より古代魚型潜水艦CLC号も3年ぶりに再浮上(?)。サイファー大好きなスキルフルな4MCに、これまたそれぞれに個性的なDJ、トラックメイカー陣からなる彼らは、上方の堅くもフリーキーな集団スタイルで、既に自分たちの土壌を築いているのだが、この2ndでは、決意も新たにした模様。Incredible Beatbox Bandでも活躍中のK-Moonを中心に、その盟友=啓、DJ Soomaのビートもあったかくてグッとくる。
   
12. V.A. / Mellow Madness〜日本語ラップ黄金期セレクションズ〜Compiled by Bobo James a.k.a. D.L. (Bad News)
DJ Bobo James完全監修で日本語ラップのオーパーツを"第3の眼"視点でパッケージした『Hard To The Core』に続く黄金期シリーズ第2弾。今回は"Mellow"かつ"Madness"な浸れるバックトラックにフォーカスした、今の季節にもピッタリなセレクションで、もちろんチリンな名曲「ブッダの休日」や、「Summer Madness」、「サマージャム '95」といった忘れちゃならないクラシックから、現在入手困難な音源(キミドリ「自己嫌悪」など)まで、涼を呼ぶ名人級のコンパイル。

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