Raw Singles
Text by Takanori Ishikawa
1. Vybz Kartel & Lisa Hype / Come Breed Me (Big Ship)
大ヒット「Rampin Shop」の続編的内容。「ギャルはみんな俺の子供を欲しがるんだよね」とDJ。「赤ちゃんを捨てたりしないから、お願い」というLisaの歌パートも超ストレートですね。ドラム主導のオリジナル・ミディアム・トラックもまずは文句無しの仕上り。
2. Vybz Kartel & Stephen "Di Genius" McGregor / Carefull (Big Ship)
こなれた歌を披露するStephenとKartelの押さえたDJのコンビネーション。これもオリジナル・トラック。サウンドはかなりアメリカンR&B的なアーバン・ダンスホール。何につけても油断大敵なジャマイカの日常をリリックスに。「常に気を引き締めていないとエライ目に合うぜ」って内容のメッセージ・ソングです。
3. Black Rino / Work Hard Everyday (Big Ship)
タメのあるリズム・パートが格好良いミディアム・オリジナル・トラック。"真っ黒"なシンセ類が重厚なリズムに絡むタフなサウンド。クオリティ高いです。必死に働いても暮らしが楽にならない事をクールにDJ。
4. Mavado / A So You Move (Big Ship)
政治家、お偉方を攻撃する内容。「俺たちにとって音楽は食物と一緒だ。音楽にプレッシャーをかける奴らは退場しろ」と鋭く歌う一曲。途中からリズム・パートがよりアグレッシヴに変化するオリジナル・トラック使用。Mavadoのテンションがサウンドに呼応してグッと上がるところも聞き所。
5. Tifa & Natalie Storm / Talk Of The Town (Word 21)
"Dave Kellyの "Show Time" をWard 21が現代型に改作するとこうなります"って感じのトラック "Ole Geezer"。音数を極端に絞り込んだミックスもヤバい。スカスカなのに超グルーヴィな素晴らしいサウンド。元気一杯の女性DJ2人のコンビネーション。ホット・ギャル・アンセム。
6. Vybz Kartel / Licky Licky (Looney Bin)
オリジナル・ジャグリン "War Dog"。ド派手なシンセ・ストリングスとスペイシーなキーボードが飛び交うサウンドが独特。ソリッドなリズム・パートも迫力満点のミディアム・テンポのトラック。インフォーマー批判リリックス。
7. Sizzla & Natural Black / Sufferation (Black House)
エレクトロ色もあるスロウなオリジナル・トラック。モロにアメリカン・ブラック・ミュージック風のサウンド。ダークでクール、ジワジワと来ます。苦闘しているゲットー・ユースの現状を心配し、政治家を批判するコンビネーション。適度に抑制された語り口が良し。
8. Buju Banton / Dem Sell Out (Live Up)
快速で疾走するドラムにタイトなベースライン。90年代のジャグリン・リズムを思い出させるキャッチーなサウンド。BujuのDJもいつになく、スピーディに駆け抜ける。まるでデビュー期の様なイケイケ振り。私欲の為に友達を売るような奴らは許せんとDJ。
9. Charly Black / Turn & Twist (Tad's)
ポップなシャッフル・ビートのジャグリン "National Pride"。一寸、カントリー風のサウンドです。 "Nine Night" 似でもあります。この人お得意のダンス推進歌。底抜けに明るいダンサブルなトラックでこれで踊らない人はいないでしょうね。
10. Chuck Fender / So Many Rivers To Cross (Frank Entertainment)
生演奏のルーツ・ロック・サウンド。ホーン、キーボードも華を添える本格派の豪華なノリ。様々な困難が待ち受けている現実をシング・ジェイ。そんな現実の中を生き続けている民衆を励ますかの様な力強い歌声。リムショットがやけに小気味良いです。
11. Assassin / Give Thanks (Big Ship)
メロディアスなミディアム。いわゆるワン・ドロップ系のトラックで流麗なギターがアクセント。硬質なドラムが全編キッチリとグルーヴをキープする流石の仕上がり。相変わらずラフなDJがピッタリとかみ合った好チューン。神様への感謝の歌。
12. Konshens / Fair Weather Friend (Ward 21)
Studio One名作「Pressure And Slide」リメイク・トラック。ベースラインの質感等、Germain版の同リメイク・トラックを焼き直した感じであります。キャッチーなシンセをポイントで加えてあるのがWard 21風。友達ヅラして近づいてくるBad Mindな連中を批判。
13. Fantan Mojah / Take You Out (House Of Hits)
ラスタマンのスウィートなラヴ・ソング。「彼女を連れていつかどこかに行きたい」と純な心持ちをコッテリとDJ。コクのあるヴォーカルとリズミカルなミディアム・オリジナル・トラックとのバランスが良いですね。ソフトなアレンジも効いてます。
14. Capleton / All Is Well (Maximum Sound)
ドラマティックなイントロ、アコースティック・ギターのスムースなループが特徴のミディアム・トラック "Viney Yard" 。殆どのパートが生演奏によるものでしょう。メロウながらも要所でパンチの効いたドラムが映える好トラックです。Capleton節も全開。