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317    ALAINE    ARTISTS

ALAINE
LUV A DUB
 
Text by Natsuki Toi / Photo by Jeremy Francis
 


 
 意外にも本誌初登場ということで、まずは簡単にプロフィール紹介から始めてみよう。
 ニュージャージー生まれのジャマイカ育ち。幼い頃からクラシック・ピアノに親しみ、曲作りもその頃から取り組みはじめる。類い希な歌と演技の素養を生かし、ジャマイカ国内での芸能活動を経て、ウーピー・ゴールドバーグ主演のハリウッド映画(『マイフレンド・クララ』)に子役で出演したのは有名な話。
 
 一方、優秀な頭脳を生かし心理学とマネージメントの学士を取得後ニューヨークへ渡り、投資銀行JPモーガンで出世街道をひた走るというエリートな一面も。しかし続けていた音楽活動に打ち込むため、ついに安定と"Zero Happiness"な生活を捨て、ジャマイカに戻り音楽にすべてを捧げる決意をする。帰国後は、着実にシンガーとして頭角をあらわし、ついに本作のプロデューサーでもあり、現在では公私共にパートナーでもあるDonovan "Vendetta" Bennett a.k.a Don Corleonとの出会いにより才能を開花させジャマイカのトップ・シーンに躍り出た、スーパー・ウーマンなストーリーの持ち主が、このいかにも才色兼備な雰囲気をもつその人、Alaine、今年31歳のLadyだ。
 
 2007年発表のデビュー盤『Sacrifice』に引き続き、全面Don Corleonプロデュースのもと制作された今作は、(1曲を除いて)怒濤の"愛の歌"づくし。始めから終わりまで、愛のすばらしさ、美しさ、尊さ、楽しさをその軽やかでしなやかなエンジェル・ヴォイスで歌い上げる。なかでも、今回新しいAlaineの一面をかいま見せてくれたのが、可愛らしさを超えて往年のDawn PennやJ.C. Lodgeのような色気を醸し出している曲、Buju BantonをFeatureした「Love A Dub」だ。この曲の制作秘話を聞いてみると...
  
「スタジオでロッカーズ時代の昔の曲を聴いていた時のことよ。ダン(Don Corleon)がおもむろにベースラインを弾き始めると、私はそれに合わせてキーボードでフレーズを弾いたの。次に彼がドラムを叩き始めたから、私はすぐに浮かんできたリリックを書き出して、速効でレコーディングしたという、編集や歌い直しは一切抜きのたったのワン・テイクで録った曲なのよ! 私はその出来上がりに十分満足していたんだけれど、ダンは『この曲には絶対にブジュが必要だ』って言いだして(笑)。すぐ翌日彼のところに行って、この曲に"祝福"という息を吹き込んでもらったの。その結果、古き良きオールド・スクールな雰囲気がとても増して、より完璧な仕上がりになったのよ」
 アルバム・タイトルをこの曲をもじった『Luv A Dub』にしたことについては、「ラヴァーズ・ロックのようなレゲエのルーツに近い方向性のものにしたかったの」とのこと。
 
 Alaineといえば、とかく"R&Bテイストのレゲエ・シンガー"と評されることが多いけれど、その発言をあらためてきちんと腑に落としてみれば、彼女自身の持つとてもオールド・スクールな佇まいとジャマイカの女性独特の甘えの無さは、往年のラヴァーズ・ロックにベクトルを向けているシンガー、という方がとてもしっくりと来るということに気づかされる。
 
 ちなみに本作は、前述のBuju Bantonの他、現在大ヒット中のTarrus Rileyとのコンビネーション(「Forever More」)や日本ではまだ馴染みのない8 Bars Of Fameをフィーチャーしたダンスホール・チューンなど客演もユニーク。その選出経緯は?
 
 「Tarrus Rileyは、私が大のファンなのよ。素晴らしいシンガーで、最高のパフォーマーで、とにかく凄い人。レコーディング中に、これはデュエット向きの曲だから誰と歌ったらいいかしら、と考えたらすぐに彼の顔が浮かんでね。Tarrusもこの曲を聴いて興奮してくれて、彼が声を乗せた瞬間からもう完璧な出来になったんだもの。聴いてほれぼれしちゃったわ! 8 Bars Of Fameは私の親友であり、才能あるソング・ライター。日本でも人気のあるVoice Mailや、多くの曲を書いているのよ。そんな彼に『オールド・スクールなダンスについて歌わない?』って持ちかけてみたら、凄い曲を書いてくれたの。ダンスホールへのフラッシュ・バックがテーマよ」
 
 "愛を紡ぐ歌い手"Alaineは、「あなたなしでは、何もできないのよ」と全面的に愛しい人に寄り添う歌「Without U」でも「Don Corleon, Don Corleon」とさりげなくささやきかけるほど、実生活でも順調に愛を育んでいるようだが、インタビューではあくまでも「プライヴェートのことは、ノーコメント...にさせてね」とサラリとかわす「作品がすべて」のアーティスト。
 
 また彼女の「ネガティヴなコメントは一切しない」というスタンスは楽曲にもすべてあらわれているが、それはもちろんAlaineという人の平面性をあらわすことではなく、ポジティヴでい続けることがいかに難しいかを知っているからこそあえて常に美しいものを歌う、という彼女の懐の大きさゆえの毅然とした凛々しさを感じさせられるのだ。
 
 最後に、Alaineにとって一番の愛って?
 「何より、ずっと相手を愛し続けられること。パートナーを理解し、二人のルールを大事にして、リスペクトすること。色んな感情が顔に出てしまう前に、いつも魂を落ち着かせて穏やかさを保つように努力しているわ」

 

"Lub A Dub"
Alaine
[Koyashi / KHCD-021]

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