HOME > 316 > RING RING RING

topics

RING RING RING
 
【クボタ・タケシの巻(後編)】
レゲエ・ヒップホップ・ラップについておそらく最初に注意されるべき重要な言及は、オリジナル・ギャングスター・ラッパー、Just-Iceのアルバム、『Kool and Deadly』がリリースされた際に、スリーヴ裏において、このアルバムがダンスホールDJ、シャインヘッドとタイガーに捧げられている事実だと思われる。前兆としては、シャインヘッドがこれ以前にリリースした彼のファースト・アルバムで「Who The Cap Fits」等を含む数曲でヒップホップ的なアプローチを試みている......それが、Just-Iceをして、彼のアルバムを捧げさせたのであろう。『Kool and Deadly』のリリースが1987年である事が、クボタタケシのミックスCD、『Strictly Rockers』の"Reggae Rap Attack (from 80's to early 90's) "のサブタイトルの意味を補足するであろうという事。実にスーパー・キャットの「Don Dada」が合衆国で認識される5年前......むろん、この事実は「Cry Fi De Youth」、「Permit Fi Gun」、そして「Boops」といった名曲をリリースしてきていたオリジナル・ワイルド・アパッチでの資質と才能ではなく、合衆国の様々な意味でのオヴァーグラウンドでのメディアを含めての受け入れの状況の複雑さを示唆する訳だが。
 
クボタタケシ(以下K):(このミックスCDに入っているレゲエ・ラップの様な魅力を持った)音楽はまだあるし、新譜でもある。でも、洗練っていう言葉の使い方もあるけど、四つ打からレゲエ・ラップの何から何まで、洗練されてない音楽の方が好きなのかも。洗練されている音楽で好きなものは、何だろ? AOR?
●AORはかけますか?
K:かけないですよ、あまり(笑)。
●家でのリスニングとDJの時のリスニングというのは、変化はあるんでしょうか?
K:いや、同じですね。みんな変わるとか言いますけどね。あの逆に、家にいる時に音楽流しっ放しってないから、何かやりながら音楽かけたりってないから。音、なしか、そうじゃないか...。
●BGMはないって事ですね......このミックスCDを扱っているお店では「山が動いた」等ともクボタタケシさんのこのミックスCDの登場を形容しているんですが、オリジナル音源「W59Dub」の入ったコンピレーション『Temple of Dub』から早くも10年経ってる訳ですが...。
K:(あたかも驚いたように)ホントだ! 10年ですね!!(爆笑)
●そろそろオリジナル・アルバムをリリースするのではないか、という期待も高まっている中、ここで宣言をして頂きたいんですが......それとも、もう音源は作らないんでしょうか?
K:去年、公式にエイべックスから出した『ネオ・クラシックス 2』も5年ぶり位に出したもので、去年の秋位から、また創りたいモードになってきてるんですね。で、このミックスCD『Strictly Rockers』やって、また『ネオ・クラシックス 3』やってて、あとは、日本人の曲だけのCDも作ろうかな、と。
●お、申し訳ナイタズ加入?
K:何が?(と、軽く流す)
●(執拗に)クボタ申し訳...?
K:(無視して)だから、自分の今までのワークス集に、未発表曲と新曲を1、2曲プラスしたものを出して、そして制作にいこうかな、と......(あたかも、今、思い出した様に)『Temple of Dub』から10年か〜、でも、あれん中の曲、このCDに入ってるスペシャル・エドからサンプリングしてるからね。
●おお!
K:「West 59 Dub」って、スペシャル・エドの12インチのフック部分からのサンプリングだから。すげえかっこいいパート...。
●珍しそうですね。台詞のところが...。
K:そうそう、サンプリングしていて。(思い返した様に)いやー、10年前とラガマフィン・ヒップホップが繋がったな〜。本当にレゲエ・ラップと制作って繋がる...制作(やや声大きめに)したくなる音楽?
●制作では、ラッパーとしてのクボタタケシはもう出ないですか?
K:今のところ出ないですね。ただ、別に、昔もラップ作ってる意識ってよりも、音の一部として意識していたから。かといって、あんまり、「いや、絶対やらないす!」とか、そういうスタンスでラップをやってる訳じゃないからね。
●最近のクラブについてどう思いますか?
K:最近のクラブは......また自分がCD出した、音楽やり始めた1992年位の感じかな。ちょうどバブルもはじけて、いわゆる失われた10年、っていう頃に自分は始めたから。だから、「今CDが売れない」とか「人が入らない」とかネガティヴなキイ・ワードに流されてる人は、「やめれば」とは思いますよ。
 
レゲエとヒップホップのミックス、を話す前に、それでは実際の楽曲以前にDJがレゲエとヒップホップを同じセットでかけていたのか、という質問も改めて、当然されてもいい。マッシヴ・アタックの前身であるワイルド・バンチのダディGはレゲエを集めていた訳だが、現在記録として聞く事の出来る同じくメンバーのDJ Miloによるセットはよりエレクトロ〜ディスコ〜ファンク寄りであり、意識して、レゲエがそのセットからは外されている事が判る。では、NYでは? レッド・アラートがラジオでDJを始めたのは1983年の10月だが、"スレンテン"以前にレゲエとヒップホップをミックスしていたDJがいるとしたら? 1987年の秋過ぎには、マーリー・マールがこうした発言を残している。
 
「(ヒップホップの今後について尋ねられて)70年代ファンクみたいな要素はこれからも暫くは続いていくだろうな、でも、俺が思うに多くのトラックが古い1960年代のR&Bのリフやリズムを使う様になると思う、そうだよな、結構全体的にR&Bの方向へ向かうっていう事もあるかもな。でも、俺はレゲエ・サウンドもチェックしてるぜ。なぜなら事が素早く起きてるからな」
 
お分かりの様に、この発言も"スレンテン"の誕生から2年経過している。むろん、ここではこれら記録がすぐに出てくるようなDJ/ミュージシャンの話をしているに過ぎない。そして、そうしたDJはいただろうが、僕の言いたいのは、要はその場にいたかった、という事なんです。
 
メディアは人を眩ませる。スポーツ・ウェアをファッションとして着こなしていたのは、ランD.M.C.ではなく、まずイー・カ・マウスだっただろう。グーグル銀河星雲の爆発時代になってもまだそういう事が続く。しかし、諦める事に意味は見いだせない。他の理由がなければ続けていくべきだろう。
 
追記 クボタタケシさんと会話中、Just-Iceのクレジットについて触れたら、1秒でアルバムがなぜか「出て来た」! 因みにその隣に「カセットもあった」という。クボタタケシの居住空間はボルヘスの図書館に違いない。関係ねーか。

 
荏開津広(One Hand Clappin')
イアンさん! 本出すなら声ぐらいかけてね!! 会ったのずいぶん前じゃんよ。プーチンに合わせて妹と会って、久しぶりに密談! テヘランからウォーター・パイプ空輸で到着!

top
top
magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

magazine

columns

GO BACK

ISLAND EXPRESS
UK REPORT
WHAT THE DEAL IS
PLAY IT LOUD
RECORDS & TAPES
RAW SINGLES
CHART
RING RINg RING
BOOM BAP
Day In Da West

columns
columns

columns
columns
columns
columns
page up!
Riddim Nation

"Riddim"がディレクションする
レゲエ番組「Riddim Nation
第19配信中!

Go RiddimNation!

nation