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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
MIX CD
 
1. Shing02 & DJ Icewater / For The Tyme Being(East Bay Digital)
Living LegendsやPharcydeのツアー等にも帯同されたオークランド在住のDJ Icewaterが、盟友Shing02の未発表音源を含む"英語音源オンリー"...つまり、'96年のThe Grouchとの「Car Trouble〜」から、'07年のECCYとの「Ultimate High」まで既発曲や新曲、未発表をノンストップ・ミックス。今後リリース予定の『RxOxTxO』からのリード・シングルも含まれたその全32曲には、日本、USの他、ボスニア、スウェーデン、ブラジルのプロデューサーも。Booty Brown、Tre、Imani、Lyrics Born、Tajai、P.E.A.C.E.、The Grouchのシャウトからも熱い思いが伝わる。
 
ALBUM 
 
2. Mos Def / The Ecstatic (Hostess)
近年では俳優業で有名な印象がある彼が、ソロとしては4枚目となるオリジナル・アルバムを発表。Reflection Eternalの相棒=Talib Kweliを始め、ザ・ルーラーことSlick Rick、新作も好評なGeorgia Anne Muldrawらが参加しつつ、味のある歌を交えて"一人の世界"を貫く、主役の存在感に圧倒される。故J.Dilla、Madlib、Oh No、The NeptunesのChad Hugo、ED Banger所属のMr. Flash、そして先日の来日公演でもバックDJを務めたPreservationといったプロデューサー陣の発する一筋縄ではいかない音に見事に反応。そのMCとしてのスキル、センスの良さに改めて感動。
 
3. The Black Eyed Peas / The E.N.D. (Universal)
"スタジアム・グループ"らしい作りだった前作から4年ぶりとなる新作は、エレクトロがメインとなるパーティ・ミュージック!? リーダー=WillのPCがハッキングされ、急遽発表されたというシングル曲「Boom Boom Pow」も全米1位、と相変わらず追い風が吹きまくっている彼ら。この『The E.N.D.』のコンセプトも、今この瞬間を楽しんで、自由奔放にパーティするというものだそう。LL Cool Jの声ネタ他、パーティ・クラシック使いの上手い彼ならではの要素も多く、総じて耳を傾ければ肝心な部分は何ら変わっていないことに気付く。
 
4. Busta Rhymes / Back On My B.S. (Universal)
アフターマス/インタースコープと揉めた挙句、モータウンに移籍した彼の8thアルバム。本チャンの人々から反感を買い謝罪するまでの騒動となったアラビアン・テイストのリード・シングル「Arab Money」(Ron Browz制作)から、T-Painとの「Hustler's Anthem '09」、Lil Wayne、Jadakissを迎えた「Respect My Conglomerate」などのヒット・シングルも収録しつつ、『スパルタカス 愛のテーマ』ネタで、Jamie Foxx、Mary J Blige、John Legend、Common等がマイクを回すサプライズ曲「Decision」まで、流石のエンターティナーぶりを発揮した意欲作。

 
5. Method Man, Redman / Blackout! Vol. 2 (Def Jam)
ライヴではよく組んでいる超党派タッグの『Blackout』から約10年の第2弾(映画『 How High』のサントラは含めず)。その間もそれぞれがWu-Tang ClanとDef Squad...というよりはソロ中心に活躍してきた訳だが、やはりコンビ作のプランもあったと。Redman人脈のSaukratesをFeat.したシングル「A-Yo」の"勢い"そのままに、待たせただけに前作よりも幾分ハデな作り。制作陣は Pete Rock、Ruckwilder、Erick Sermon他、UGKのBun Bを迎えた「City Lights」等の今っぽい曲を含めラップは間違いなくカッコいい。これぞ"阿吽の呼吸"というものだろう。
 
6. Cam'ron / Crime Pays (Asylum)
NYはハーレムのトップ・チーム=Diplomatsの分裂騒動...というか、事実上のボスで盟友=Jim Jonesとの不仲説等もあり、雲隠れしていたエース=Cam' Ronが意を決して6枚目のアルバムをドロップ。プロデューサーにはDipset関係でお馴染みのSkitzoやAraab Muzik等が就き、主役のフェティッシュなライムが映えるユニークなトラックを提供。ゲストは、40Cal等の身内が数名というシンプルな作りで祭り感には乏しいが、それだけに"言い分"の多い彼のラップに重点を置いたものとして受け止められる。まず、Camファンの期待は裏切らないだろう。
 
7. Chali 2na / Fish Outta Water (Decon)
Jurassic 5の"低音担当"として知られる大男=Chali 2Naによる初のソロ・アルバム。これが文句ナシの黒さ! Scott Storch、Jake One、J-5を一抜けしていた盟友Cut Chemistらが提供したトラックの強度もさることながら、Talib Kweliに、Anthony Hamilton、Beenie Man、Damian & Stephen Marleyという意味のあるゲストの幅広さも、何もかもがプラスに働いているようだ。90年代後半から2000年代前半のJ5の"いい時代"を再現等と例えるつもりはないが、彼の野太く真摯なラップに飢えた向きには最高のラップ・アルバムであるハズ。
 
8. dj honda / h-Mental (dj honda Recordings)
EPMDの最新作にも参加していた、"International Prop"を得ているVIP DJの初となるブランニュー・ビーツ・アルバム。90年代よりNYを拠点に、世界を相手に勝負し続けながら、その発祥の地での彼自身のハードな闘いの歴史、そのストイシズムをグツグツと抽出したかのような本作は、タフで、ドラマティックで、画が見えるようなリリシズムも備わっている。そんなシグネチャーの要素が強い" h-beats"の数々は、頭を振り続けたくなる魔法がある。そんな事実が再確認できる、最新ビート集。ボートラ3曲は、お馴染みのチューンのインストで、これまた嬉しい。
 
9. Himuki / Fertile Village (P-Vine)
自分のカラーを大切にしたその唯一無二なスタイルで97年より名前を広めてきたDJ=Himuki。04年からサウンド・プロデューサーとしても活躍し、トラック提供のみならず、ソロ名義でも2枚のフル・アルバムをリリースしている彼が、その持ち味を確実にアップデートした3枚目のリーダー作を発表。先行カットされたシングル「Ordinary Fellow feat. Tableek (Of Maspyke)」を始め、抜群の構成力(含むスクラッチ)でヒップホップの核を示しながらも、色鮮やかな世界を提示するところ等、真骨頂と言えるだろう。Bes参加曲も話題!
 
10. Radio Aktive Projeqt / Neworlder (Dwango)
キングギドラのリーダー=K Dub Shineと、マイク持つDJ代表=DJ Oasisのユニット=R.A.P.が遂にフル・アルバムを投下。K Dubが主張する通り、『最終兵器』の流れを汲む本作は、コンシャスな中にユーモアを散りばめた彼らならではのブレのないハイレベルな日本語ラップ科学者の"実験精神"(ハードコア試験紙)が貫かれたもの。ゲストには宇多丸、Uzi、Crazy-A、Jun-G MC、神和、黒人天才等が、そしてビート・メイカーではBen The Ace、Mr. Beats、Diori、Inovader等が参加し、脳に体に浸透する辛口で本物のヒップホップを届けてくれる。
 
11. Rino & DJ Yas / Lamp Eye -Flava- (CCRE)
Rino+DJ Yasの編成でのライヴも評判の、Lamp Eyeの事実上の新作。仕掛けの効いたオープニングからその活動歴を振り返りつつ、今の立ち位置を確認する「Droopy Drawers」、リード曲となる「響言 Ver.2」ではゲストというか同志6人による革命の旗の下での怒濤のマイクリレーという流れから引き込まれる日本語ラップ・マニアも多いだろう。Rinoという類稀なMC、ストーリーテラー、そしてその声が生き生きと伝わるDJ Yasのビートの本領は全編通して堪能できる。話題の「D.D.D」や「日本語ラップ Is Dead? DJ Yas Remix Ver.2」、「証言」のOriginal Analog Ver.も収録の強力作。
   
12. 般若 / Hannya (FSA&R)
「UMB 2008」でフリースタイラーとして全国制覇を果たし名実共にドクター・トーキョーとなった彼が発射する5th は、「(般若アルバム史上)最もユーモラスな」内容。それは、笑えない悪ふざけ、などでは決してなく、昭和世代の「悲しくても笑ってる(つらい時こそ笑え)」という精神が根底にある、逆の意味でシリアスなものとなっている。Mr.Beats、Buzzer Beats、DJ Nao the Laiza、Evisbeats、Camelのビートの他、一般公募の結果採用されたトラックで、ゲスト無しのコダワリの1本マイクで勝負する彼の"現在"(過去?)を切り取ったリリックとぶっ飛んだフロウは、やはり圏外クラス!?

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