リディム・オフィシャル・ウェブサイト
THE MAZE

PAPA U-GEE
NATURAL
　
Interview by Nobuhiko Mabuchi / Photo by Hiroto Sakaguchi
　

　昨年、活動20周年を迎えたPAPA U-Geeが、新たな気持ちで取り組んだ最新作『Natural』が完成。若手ミュージシャンとの共作や、Tanco（Home Grown）とPablo（Jungle Roots）の最強タッグで聴かせる楽曲も収録し、音楽的レヴェルの高いメッセージ・アルバムを作り上げた。
　
●今作では若手ミュージシャン（長年活動をともにしてきたZion High PlayazのドラマーHeart Beat Jahtsushiの息子たち）とタッグを組んでますが、その辺の経緯から教えてください。
PAPA U-Gee（以下P）： 今回一緒にやってるギタリストのYotaとベーシストのShinjuは、奴らが小学生の頃からの付き合いでさ。（自分と）ひとまわりもふたまわりも離れた世代との音作りは、新しい発見が多くて楽しかったね。
　
●若手のフレッシュ感というよりは、演奏の上手さが際立った印象でした。
P： レヴェルが高いよ。Yotaは高校生の頃からZion Highと全国まわってたし、ShinjuはNYのジャズ畑で修行して今はオールジャンルで活躍してるしね。あと、ドラムがPabloってところもポイントだよね。「Oozora」ではTancoさんにベースとアレンジで参加してもらってるんだけど、Pabloとの最強コンビはたまらなかったな。今回のアルバムのタイトルが『Natural』なんだけど、一緒にやってるミュージシャンがナチュラルな関係なんだよ。YotaとShinjuもそうだし、ドラムのPabloもTancoさんもそう。ファミリー的な音の作り方は意識したね。
　
●タイトル曲や「Oozora」のリリックを聴くと、一貫したテーマが根底にあるように感じました。
P： 全体的にハートビートって心臓の鼓動がテーマでさ。いまはコンピューター社会で、物事が異常に早く進んでる状況だよね。だから、知らないうちにハートビートで生きてる自分を忘れちゃってる人も多いんじゃないかと思ってさ。ちゃんと自分の鼓動を意識して、ナチュラルに生きようってメッセージだよね。
　
●実生活でナチュラルを意識していることは？
P： たくさんあるよ。まずは食べ物だよね。昔、ジャマイカでラスタマンと一緒に住んでから肉は食べてない。野菜も出来る限り自分で作っているし、米は無農薬の玄米を買わしてもらってる。水は地下水を汲んでるんだけど、それこそ地球のハートビートから流れ出てるわけだし、有り難いことだよね。大切なのは、いかにニュートラルな自分を保てるか。そこはステージに立つときも意識してる。ステージは神聖な場所だからさ。いつも水を浴びて身体を清めてからステージにあがるようにしてるしね。とはいっても、ガチガチに真面目にはならないようにしてるけど。
　
●今作の並びで「Raggamuffin」だけは、ちょっと色が変わりますね。もうひとつのPAPA U-Geeスタイルというか。
P： 去年20周年を迎えて今年で21年目だから、また最初に戻った気分でさ。だからオールドスクールな感じで、あんまり今みんながやらない一本調子の歌い回しでやりたかったんだよ。サビまで凄ぇ長いじゃん（笑）。ジラすっていうかさ、スーパーキャットとかニンジャマンとか昔よくやってたスタイルだよね。
　
●PAPA U-Geeさんにとって、ラガマフィンって何ですか？　
P： 周りに左右されずに、ただ単にイキがってるだけじゃなくて、自分のスタイルを貫いてる人たち。生き方はパンクだよね。言うこと聞かない奴が多いけど（笑）。
　
●今作で改めてラガマフィンを提示しようと思ったのは？
P： だんだんレゲエがポップになってるんじゃねぇか、って気がしてて。だからバランスとるためにも、ここでラガマフィン・スタイルを打ち出していかねぇと、って思って。ポップになっていくのは否定しないけど、それだけにならないようにしないとね。やっぱり、80年代とか90年代にあったレゲエの神髄も聴いて欲しいよな。だから"Answer"リディムをリメイクしてるんだけど。
　
●現代版"Answer"って感じのリメイクですね。
P： これもYotaがアレンジしてるからだろうね。今の"Answer"だけど、歌い方はオールドスクールってアプローチでやりたかったんだよ。あと、他の曲のミックスはタフ・ゴングのホームエンジニアをやってるRohan Dwyerにやってもらったんだけど、「Raggamuffin」だけはダウンタウンのオレンジ・ストリートにスタジオを構えてるBravoってエンジニアにやってもらってさ。最近のスタジオはアップタウンにあってストリート感がないけど、Bravoのスタジオにはまだラガマフィンな活気があるからね。この曲に関してはその空気を通したかったんだよ。ばっちり仕上げてくれたと思う。
　
●毎回恒例ですが、すべての楽曲のダブが入っているのも嬉しいです！
P： 俺はバンドの演奏が好きだからさ。インストだとひとつひとつの音がじっくり聴ける。あと、インストにあわせてサビだけ歌ってもらってもいいし、替え歌を作ってもらってもいいし、自分なりの聴き方も楽しんで欲しいね。

　

"Natural"
Papa U-Gee
[KITEKI / KTKM-003]