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DO THE REGGAE
HOME GROWN
 
Interview by Hozumi Kaneko / Photo by Kozo Fujita (P.10-11)
 

 結成15周年を迎えたHome Grown。これまで4枚の傑作アルバムをリリースしてきた彼らが、日本のレゲエ・ヒストリーにまた新たなページを追加する傑作アルバム『Do The Reggae!』を完成させた。そのアルバムの魅力に迫ってみよう。
 
 「つねに爆音なんで、スピーカー飛んじゃいますからね。今回は4回飛んだかな(笑)。ありえないですよ、日本のスタジオでは。ジャマイカ行って毎回思っていますけども、ジャマイカは、レゲエは、本当にラフ&タフっていうこと」と、帰ってきたばかりのジャマイカで行ったアルバムのミックスの際のエピソードを語ってくれたのは、Home Grownの参謀、Tanco。今年でバンド結成15周年を迎えたHome Grownが、3年ぶりとなる通算5作目のアルバム『Do The Reggae!』を完成させた。レゲエへのアツい思いをダイレクトに感じさせるアルバム・タイトルだが、そのタイトル・チューンは、ぶっといベース・ラインに思わず体がうずく、これぞレゲエ!とヤラれるヘヴィなチューンに仕上がっている。歌うのは、Home Grownとはファミリーの間柄のPushimだ。
 
Tanco(以下T):(Home Grownの拠点とも言える葉山の海の家)Oasisに出演しているアーティストたちのコンピが、93、94年ぐらいだったかに出て、その中に僕が作った曲があったんだけど、そのリディムをいつかリメイクしたいな、と前から思っていて。それで、メンバー(Kon"MPC"Ken)がひとり抜けて、Home Grownを始めた時のメンバーになったんで、初心に戻るつもりで今のタイミングかな、と思って。それでタイトル・チューンにしたんです。それで Pushimにお願いして、タイトルやリリックの内容はこういう感じで、って伝えたら、彼女もこういうレゲエをスゴイやりたかった、って言ってくれて、バッチリに仕上がりました。
 
 Pushimに並び、ファミリーとも言える何度もコラボレイションしている近い関係のアーティストとしては、J.T.B.(Mighty Jam Rock)、NG Head、Yoyo-C、Ryo the Skywalker、Fire BallのSuper Crissが、今回のアルバムに参加している。しかも、Crissのチューン「Stay With Me」は、意外にもバラードときた(PVも制作されている)。
 
T:Crissのモテ・チューンです(笑)。バラードを作りたいというのがもともとあり、でも、いわゆるR&Bのような曲にはしたくなくて、やはりレゲエ・バンドがやっているバラードにしたくて、そこから始まりましたね。それで、Crissに歌ってもらいたいなとイメージして、キメ撃ちで作りました。J.T.B.の「Live Uppp」も、キメ撃ちですよ。Jumbo Maatchの顔を想像しながら(笑)、オケを作って。この曲は、3人の中で綺麗にハモってもらったりしているんで、今までにない感じの曲になりましたね。ループの曲じゃないけれどもDeeJayスタイルで、そして展開があって、3人がうまいこと出るような、グッとくる感じのポジティヴ・チューンで、ということで進めましたね。Yoyo-C「君にマイクで伝えたい愛」は超フリースタイル、ラバダブ・スタイル。練習1回して、本番1回で終わりっていう。 Yoyo-Cは、僕らが作品を頼むと絶対冒険してくるんですよ。変化球、変化球で。今までもそれがよかったから、今回はそうきたかと。NG Headの「DJ Machine」も、スタジオに来てから作った感じです。Yoyo-CにしてもNG Headにしても、信頼しているんで、何も言っていないですね。
 
 そのNG Headの曲と、Rudebwoy Face「Lyrical Murderer」は、同じリディム使いのチューンだ。このリディムがファンキーで滅茶苦茶カッコイイのだが......。
 
T:デモを作った段階で、これはないな、まとめるのが難しいなと思ったんですよ。ベース・ラインが、レゲエというよりもファンク系で、それをダンスホールとして、なんとかしたいなと思ったんですけれどもね。作った段階で、これは難しい、こっから先どうしよう、となって。でも、オーバーヒートのエンジニア(Daibutsu)が、「これはいいですよ、やった方がいいですよ」って言うんで(笑)、「そうか」と言って進めていったんですけれども、これが一番オケ的には苦労した。で、このオケで歌うのは絶対に難しいと思ったところで、誰かなと考えた時に、NG HeadとRudebwoy Faceが浮かんだですよ。
 
  
 ちなみにアルバムには、リディムが共通のチューンが他にも4曲ある(リディムは2つで、それぞれ2組のアーティストが担当という意味)。夜の現場にバッチリなアツいダンスホールのリディムでは、Ent Deal League(Ken-U、Domino-Kat、Micky Rich)が「M.I.C.」で、Akane & Coma-Chiが「Beautiful Survivor」で、共にパワフルなコンビネイションをキメてくれている。その一方で、温かみのあるワン・ドロップもののリディムでは、意外な人選でラガラボMusiq(Boogie Man、Vader、Arm Strong)が「どこまで行けるか」、Guan Chaiが「All Day, All Night」で、共にハートをアツくさせる人情味のある歌声を披露している。これら以外にも、大阪の若手の底力を感じさせるChehonの「Soul Of Moon」やBig Bear & Shingo☆西成の「From Ghetto」、「思い出の渚」や「夢想花」に続く昭和歌謡レゲエ・カヴァーとして、PJの「夢の中へ」、そして横山剣をフィーチャーした、Crazy Ken BandとHome Grownの世界がケミストリーを生んだ「横浜横須賀道路」があったりと、アルバムには過去最高の楽曲数の全17曲が収録されている。その曲数からも、今作に賭けるアツい思いが伝わってくる。15周年の節目として、この5作目はどのように制作されたのだろうか?
 
T:今回は、割と1st(02年作『Home Grown』)のやり方に近かったな。僕がイニシアチヴを取ってやったんで。2nd(03年作『Grown Up』)からはバンドなんだから、バンドらしくと全員で作るようにしてきたんだけれども、今回は振り出しに戻ってキチンと作りたい、っていうのがあったから。イチからやろうとね。それで、去年の「Soul Rebel」が終わった時には、もう取りかかっていましたね。オーバーヒートのスタジオにこもって、1ヶ月間、ひたすらリディムを作る作業に没頭しましたよ。最低1日1リディムは作るっていう、自分にノルマを課してね。それで30リディムぐらいは、去年の11月の終わりぐらいには揃っていたかな。そこからちょっとだけジャマイカひとり旅に行き、そこで、「やっぱり俺はレゲエ大好きなんだ」っていうのと「この人達に負けないことをやりたい」っていうのがものスゴイ強くなり、アルバムを作る気満々になって、帰国してから一気にダァーっと作りました。旅行前に作ったデモの音と、ジャマイカの今の音と温度差があるかなと思っていたんですけど、それもなかったんで、自分の作ったものを、今のジャマイカに出しても恥ずかしくないなと思ったし。
 
 そう語り、「自信作です」と力強く最後の言葉を述べたTanco。筆者が、これ以上アルバムについて述べなくても、最新作『Do The Reggae!』がマスタピースとなっていることは、お分かり頂けるかと思う。


 

"Do The Reggae!"
Home Grown
[Pony Canyon / PCCA-02959]

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