JAZZY JAM DANCEHALL
Text by Takashi Futatsugi / Photo by Toshiya Suzuki
Ragamatix、Jungle Rootsで活動するスーパー・ベーシストのKuuboと、佐野元春のハートランド出身で、数々のバンドでキャリアを磨いた盟友=Abe Changによるレゲエ版ジャム・ユニット=Jazzy Jam Dancehall。「複雑で繊細なコードの響きやメロディを持つ"ジャズ"のソフィスティケートされたテイストと、グルーヴ命のラフ&タフなレゲエのヴァイブス、この相反する要素を、互いをスポイルし合わない様、上手く融合する事を心がけた」(Abe Chang談)というこの"ありそうでなかったユニット"とゲスト・シンガー、ミュージシャンたちの作り出す世界は、どこまでも美しい...。
「前に、カヴァーの仕事でUAさんの曲をAbe Changとレゲエ・アレンジしたことがあって、基本ダンスホール・リディムに、ジャジィな上物が暴れる、かなりジャムっぽいアプローチでやったんですが、それを今回のプロデューサーが結構気に入ってくれて、彼がジャマイカに行った際に、ジャミーズで何かのレコーディングの合間にその曲かけたら、その場に居た、コーション・バンドのEnnieや、Beenie ManのバンドのDwanyeが、えらく気に入った様で、『Jazzy Jam Sessionを俺たちもやりたい!』みたいなことを盛んに言ってたそうなんです。それで知らないウチに...。まあ、楽器を操るオレらミュージシャン側からの視点で何かコンピを作るのも面白いかな?と。
Abe Changは、ホントに優秀なプレイヤーで、お洒落なブラジル音楽にも造詣が深いし、逆にアーシーなニューオリンズっぽいピアノやブギーなんかもメッチャ上手いし、ホントに広い音楽性を持ってて。オレもベイスを生業として30年になるんで、新たなチャレンジって感じで、少しだけそれぞれのプレイを前に出したトラックを作りたいって思ったし。参加してくれた全てのアーティストが、ホント頑張ってくれたと思ってます。Truthfulの"That's Life"は、本人が選曲して来たんですが、シナトラのああいったブルージィな曲は珍しいんで、"よくもまああんな渋い曲知ってたなぁ!"と。アレンジ的には、"Round Midnight"のフェード・アウェイ・スタイルとか、プレイ的には、ベイス1本の歌伴とか、インストも気に入ってます。ベイスは、エレクトロのアップライト、スティングレーの5弦、それとオールド・フェンダーのフレットレス・ジャズ・ベイスの3本を使い分けてます」(Kuubo)
「初めてKuuboのプレイを見た時に、その迷いのないド太いプレイにやられました。で、一緒にやりたいって思ってたら、丁度Ragamatixに欠員が出来て。バンマスとしても頼りがいあるし、貴重なベイス・プレイヤーだと思います。グルーヴ命みたいな音楽は大好きですし、"気持ちいい音楽"を目指して、演奏したり、アレンジしたりする事は、自分にとってはとても楽しいことです。今回のカヴァー曲の中では、"Round Midnight"みたいなクールなコードラインの曲は大好きだし、よく演奏もしてました。自分はジャズのプレイヤーではないけど、"So What"も好きな曲だったから、セッションはとても楽しかったです。これまでに聴いたレゲエ作品の中でも、もっともジャジーなセンスが感じられた作品、ですか? ちょっと語弊があるかも知れないけど、初期のアスワドとかLKJとか80年代のブリティッシュ・レゲエは凄く格好いいと思います。勿論、同じ鍵盤プレイヤーとして、Jackie Mittooもシブくて凄く好きです。フレイズにモーダルな色彩がある人だから、ジャジィなセンスを凄く感じますね」(Abe Chang)
"In The Mood For Jazz"
Jazzy Jam Dancehall
[Geneon Universal / GNCL-1206]