JAMA-ICHI
Interview by Kazumi Kamada / Photo by Susumu Saeki
注目のバンド、ジャマイチのデビュー・アルバム『ジャマイチ・ロッカーズ』は、ワン・ドロップ系からダンスホール、更にスカ、カリプソまで幅広い音で実に楽しい作品で、ファースト・アルバムとは思えない貫禄十分な出来映えだ。そんなジャマイチの中心人物でありドラマーの梅津旭とキーボードのジュンの両氏を迎え、阿佐ヶ谷の街角でインタヴュー。
●まず、バンドのプロフィールからお願いします。
梅津:最初は僕が「キラマン・ステレオ」ってバンドに入ったんです。それはミディさんって人のバンドだったんだけど、その内どんどん形態が変わって行って、結局ミディさんがいなくなっちゃったんですよ。そこで名前を考えなきゃって事になりまして、「ジャマイカ一丁目バンド」ってなりました。その時はダンスホールはやってなかったんだけど、たまたま2005年に沖縄のイヴェントに呼ばれて大阪のブッキー・ランキンさんのバックをやることになったんですよ。でも当時のベーシストがダンスホールは好みじゃないってことで代りに今のベースの幾見(俊彦)君を入れてジャマイカ一丁目バンドとは別に「ジャマイカ一丁目サウンド」ってバンドを作ったんですよ。そしたらこっちの方がライヴも多くなっちゃって、結局バンドとサウンドを一本化してやって行く内にメンバーも替ったりして、今の形態になり、名前も「ジャマイカ一丁目RIDDIM」ってことになったんですけど。でもなかなかみんな名前を覚えてくれなくて、そうこうしてる内に、ランキン(・タクシー)さんに「もうジャマイチで良いんじゃない」って言われて、そのまま...。
●今回のアルバムへとつながった経緯は?
梅津:カーティス・フライさんやランキンさんを始めとして、今回フューチュアリングで参加してくれた人達って、機会があれば一緒に演りたいってずっと思ってたんですよ。まずは人ありきでね。僕らは特にダンスホールがやりたいとか、ルーツじゃなきゃやだ!とか別に拘りないんですよ。みんな好きだし。だから、まずは名刺代わりの作品を出したかったんですよ。勿論色んな方々の協力があってこそですけど。このCDをきっかけに音楽の仕事が増えれば良いなあ〜なんて(笑)。カーティスさんの曲(「ラガジャマイチロック」)は、こんな感じのノリのバンドをやってみたかったって雰囲気が出ていると思うし、とくにかくみんなで楽しくやれました。
ジュン:好きなようにしかやってないし、大体「セーノ!」って感じの一発録音だしね。俺はこのバンドって良いなーって思ったのは「ここ何かアレじゃない?」って気になるトコが見つかった時に、普通は神経質な方に行く人が多いのに、このバンドは「いや、コレで良いでしょう、OK! OK!」って、いい意味でのヴァイブス先行の感じが面白くてね。
梅津:でも、マコッちゃん(カルカヤマコト)の時は緊張感ありましたよ(「Chase The Devil」)。いつもの楽しい感じとも違った雰囲気でね。結局良い感じに出来たけど。
ジュン:あと俺はグラディ(グラッドストン・アンダーソン)が好きだから、(「Dear Gladdy」で)一緒にやれたのが嬉しかったなぁ。
レコーディングの様子の話を聞いているとかなり適当なバンドのように思ってしまうだろうけど、今回このインタヴューに答えてくれた2人も、飄々としていて、実際、良い意味で"適当"な男である。でも"適当"とは、"いいかげん"、つまり"良い加減"と、肯定的にもとらえることもできる言葉である。肩肘張ることなく、リアルなレゲエ・サウンドと日本人らしいオリジナリティが"良い加減"にブレンドされた、正にジャマイチらしいサウンドを創り上げたと思う。長いモノには巻かれない男たちの自由奔放なラガ作品、今後も期待すべきバンドです。
"ジャマイチ・ロッカーズ"
ジャマイチ
[Uni Village / POCE-30012]