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314    ARTISTS    CORN HEAD

JUMP OVER THE FRAME
CORN HEAD
  
Interview by Hajime Oishi / Photo by Hiroto "Photowarrior" Sakaguchi
 

 キャリア10年を超えたCorn Head。彼はひとつの節目に立っている。彼が「勝負作」と位置づける新作『Nice Day』は、ジャンルの壁を軽々と飛び越えた"フューチャー・レゲエ"作品である。その衝撃の内容について、本人が熱く語ってくれた。
 
 前回取材させてもらったのは、ミニ・アルバム『New Generation』のリリース時(本誌308号)。その時、Corn Headはこんな風に話していた。
 
 「次のアルバムでは、オレが考えるフューチャー・レゲエをやろうと思ってる。それこそ、もう、レゲエって言えないかもしれない」
 そのプランが形にされたのが、今回リリースされたニュー・アルバム『Nice Day』。
 
 「オレのなかでは、これがフューチャー・レゲエであり、ポッピン・レゲエ。ポップでありつつ、ヒップホップありR&Bありの、枠を飛び越えたもの。ひたすら楽しいものっていうかね。"こういうの、どう?"っていう提言というか。......オレは時代が変わると思う。変えたいっていうか。レゲエって進化する音楽だから、"次"が必要だと思うのね。それがゴリゴリのダンスホールでもいいかもしれないし、オレみたいにちょっと違う音楽を汲み取ったものでもアリかもしれない。とにかく、"ナイス・ミュージック"を作りたいんだよ」
 
 正直な話、僕は少し興奮気味である。Corn Headが「ダサ格好いい部分がレゲエの本質だと思うし、ここは外せなかった」と話すDr.Productionからの既発曲3曲(「Ready Now」「青春Reggae」「君が躍りだせば」)は直球のダンスホール・トラックだが、その他の楽曲はいずれもR&B/ヒップホップのテイストが濃厚。しかも近年のアメリカの動向を横目で見たかのようなシンセティックなものばかりで、そこにCorn Headの"あの声"が乗る図は衝撃的な新しさ、格好よさ。もともとOzrosaurusなどヒップホップ人脈との繋がりも強いCorn Headだが、今回はジャンルレスなスタイルをより明確に意識し、ある意味では実験的とすら言えるほどの内容となっているのだ。だが、手触りはどうしようもなくCorn Headで、どうしようもなくレゲエ。そのバランスもまた新しい。
 
 Dr.Production楽曲以外のトラックメイクはOhld(7070 Production)が4曲、DJ Yutakaが2曲、JINとMasamatixxx、K-Loveが1曲ずつ。いわばヒップホップ/R&B/ダンスホールの混成チームによって作られている。だが、このようなトラックに乗るのはそれなりの難しさもあると思うのだが......?
 
 「いや、オレは全然ないんだよね。格好いいトラックに(自分の声を)乗せられるだけでたまらないんだよ。オレの場合はいつもトラックが突拍子もないものだから、自然と違うフロウが出てくる。だから、こういうトラックに挑戦すること自体がプラスになるんだよ」
 
 Corn Headの口調も、かなり熱を帯びたもの。"なるほど"とこちらが頷いている隙に、前ノメリで次の話題が展開されていくのである。それは例えば、こんな具合に。
 
 「オレは自分がレゲエの一員のつもりでいるけど、今回のアルバムをダンスホールのシーンに直接ブチ込むつもりもないわけ。もっと広いターゲットにブチかましたい。だからレゲエが好きでたまらない人たちにもっといろんな音楽があることを分かってもらいたくて、こういうことをやってる部分もある。もちろん"これがダンスホールだ!"って押し付けたいわけじゃない。"その枠をブッ壊したよ"ってことだね」
 あるいは...
 
 「......若いヤツが迷ってるのは見えてきてるわけで、いろんな道筋があることを見せてやりたい。CDが売れなくなってきてるって言うけど、それでも昔に比べたらチャンスも多いでしょ。サウンドにしても誰でも出来るようになってるけど、みんな月1の営業で30人客が入ればそれで満足しちゃう。CDも作ろうと思えば作れる、スタジオも作ろうと思えば作れる。だけど、そこからどうしていいか分からなくなっちゃうわけよ。ある程度まできてるけど、そこを超えることができないし、そこを暖簾分けしようっていう優しい大人もいない。じゃあオレがやりますよ、っていう感じ」
 
 後半の発言の「暖簾分け」に関して言うと、Corn Headは「寺子屋みたいなもの」という言い方もしている。つまり、若手のフックアップとエデュケーション。今回のアルバムにゲスト参加しているアーティストのラインナップ----Rueed、Ken-U、King-K、Finger----からも、そんなCorn Headの意識が窺えたりもする。
 
 「親指(=Finger)との曲は誰に聴かせても"これ、親指?"って言われるね。Rueedは天才だよ。リリックを書くのもオレより早いぐらいなんだから(笑)。......オレは(競演する若手に対しても)大まかなヒントしか言わないんだよ、"格好つけろ、普段通りにやるな"って言うぐらいで。リリックに関してもそんなに言わない」
 
 「今、繋がりが凄いことになってるんだよ」と話すCorn Head。ここでは書くことができないが、取材時には今後予定されている驚きのコラボについても教えてくれた。また、約4か月間に渡って行われるAIの全国ツアー「VIVA A.I. Japan Tour」に帯同することも決まっていて、この本が出る頃にはすでにそのツアーの真っただ中。今作『Nice Day』を引っさげて、各地で奮闘中である。
 
 最後にひとつだけ。僕は"レゲエ馬鹿のレゲエ馬鹿によるレゲエ馬鹿のためのアルバム"が悪いとは思わない。ただ、この『Nice Day』というアルバムはそれとは違う類いの作品で、よりオープンマインドで風通しがいい。で、本当はこういうアルバムこそ、レゲエ馬鹿を自認する君に聴いてほしいんだよ。

 

"Nice Day"
Corn Head
[King / KICS-1455]

 
 

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