(U KNOW)What the deal is
まだまだ冬が続きそうなNYです。例年だと4月の末まで雪が降るのですが、今年は寒波もあり、豪雪が続いた冬らしい冬でした。最近は暖冬が続き、雪のNYも楽しめなかったので、個人的にはあのドラム缶で、ストリートで火を焚いているのが好きなので満足な今年でした。しかしながら、ドラム缶で火を焚くなんて、もうほとんどあり得ないのが、今のご時世。警察がすぐ飛んできます。ウォール街では少し明るめなニュースが回るようにもなりましたが、不況は続き、ドラム缶も復活するかも?
●今月のジャム
前にもお伝えしたかも知れないが、あのカットマスターDCが一晩やるというギグが続いている。エリックBとラキムのファーストをリリースした幻のレーベル、ザキアから数枚の名盤をリリースしていたDCことDJハキームが、ブルックリンのブルックリン・エクスポージャーなる店で毎週金曜にスピンしている。ヒップホップがヒップホップのレコードをリリースする前からのサウンド・システム・セレクションから、新旧のリアル・ヒップホップを聞けるという趣向。最近では全く見られないヒップホップな夜だ?
●今月のジャム2
最近では、ほとんどマンハッタン内では行われなくなったアンダーグラウンドなイヴェントだが、マーキュリーラウンジなる普通のライヴ・ハウスの様な箱で「リエドゥケーション」と銘打たれたライヴが3/11に行われた。出演はJライヴ、3rdパーティ、オディ等で、乱闘などアクシ デントはなく平和に行われた?
●今月のジャム3
ヒップホップの聖地と言ってもピンとこない人の方が多い今日この頃だが、そのブロンクスでオール・エイジのギグが2/28にザ・ポイントで行われた。DJ陣にゴッドファーザー、クール・ハーク、レッド・アラート、そして珍しいジャスト・アイスのDJプレイも聞けた。まるでヒップホップがブロンクスではじまった時代に戻ったような空間と、その時代から何も変わっていないようなオリジナルのBボーイたちが集まり、親父どもは感極まっていた?
●今月のフリックス
と懐かしいタイトルでやってみましたが、ロックステディの初期のメンバーとして知られるフェイブルが制作中のドキュメンタリー映画の予告編がYouTubeにアップされた。『アパッチ・ライン:ギャングからヒップホップ』というタイトルのこの映画、60年代、70年代初期のブロンクスを中心としたストリート・ギャングの歴史から、そのメンバーたちがヒップホップに関わっていく様を生存しているギャングメンバー本人たちのインタヴューによって構成されている。NYのストリートギャングの研究でも知られるフェイブルならではの作品だが、ギャングとヒップホップを切り離して考えたいと思うパイオニアたちからは、不評。しかしながら、NYのストリートの歴史を垣間みるチャンスでもある?
●今月の復活
死んだ訳でもないのだろうが、アップタウンのヒップホップ・キーボーディストとしてデビューし、その後、ニュー・ジャック・スウィングで一世風靡したテディ・ライリー率いるブラックストリートが、マンハッタンはBBキングで2/20に久々のライヴを行った。まるでロジャー・トラウトマンの様なテディと、ヒットにつぐヒットのステージングで、新旧のファンを魅了した。一体誰が見たいの?という疑問は、懸念に終わったのでした?
●今月のリリース
東海岸、西海岸の抗争中に制作されたというブート・キャンプ・クリックと2パックのコラボレーションが、アルバムとして3/20にリリースされた。2パックのこの抗争に対する警笛として作られたアルバムというのも驚きだが、ゲストにノートリアスB.I.G.、スヌープ・ドッグ、バスタ・ライムス、ビッグ・ダディ・ケーン、グレッグ・ナイス、そしてアウトローズが入っている。ブート・キャンプ自身はこのリリースを一切関知していなかった様子で、2パックの作品を管理する彼の母親からのコメントなども一切発表されていない。尚、ブート・キャンプは、サイプレス・ヒルのフロントマン、Bリアルのソロを発売したばかり?
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]