Tak-Z
Interview by Yusaku Toriiminami / Photo by Kurofin
シーンが長く待ち望んだタイプの"レゲエらしい"シンガーだったのだろう。初めてその名を聞いてから、あっという間に色んなサウンドのダブ・プレートやコンピレーションでその声を聴くことになった噂のシンガー、Tak-Z。ファースト・アルバム『Ten Gallon』完成直後にライヴで訪れた京都で話を聞いた。
●まず、今までの活動について教えて下さい。
Tak-Z(以下T):Tak-Zとしてマイクを持つようになってからは4、5年ですかね。元々は高校3年の時に組んだサウンドでセレクターを2、3年やってました。初めての作品はSuper Strong Studioから1年半前位に出てる『1st Impact』っていうコンピです。
●そこから一気に色んなコンピに参加してましたよね。去年の年末には『Di Vibes』にもSpitzの「空も飛べるはず」のカヴァーを録り下ろしてますし。
T:DJ Banaさんから、「何かカヴァーやってみない?」って声をかけてもらって。歌謡曲のカヴァーっていうのは、大阪の貝塚FMの「Kingsize Radio」でもずっとMison-Bと週替わりで、一回きりの生放送で、っていうのをやってて。作品として出たのはこれが初めてですね。
●特に印象に残っているダンスはありますか?
T:Boxer Kidさんに誘ってもらってアルバム『Big Timers』に参加させてもらって、その流れで「Dancehall Rock」にも呼んで頂いて。あれは色んな方から声をかけてもらうきっかけにもなりました。あとそれの前に、Rock Desireの13周年でゲストのRed Foxさんに、「さっきのシンガーあがってこい」って感じで突然呼び込まれて。「Down In Jamaica」を歌えって言われたんですよね。僕リリックわからんかったんですけど(笑)、鼻歌みたいな感じで歌ってたら一緒に歌ってくれて。この出来事はすごく勇気になりましたね。
●今回のアルバムの制作を手がけたSkyline Bandとはどういう関係ですか?
T:堺のクラブ、Ten-gっていう所で毎週日曜に「Joint」というダンスを一緒にやってて。Ten-gで出会ったっていうのがあったから、今回のアルバムのタイトルの『Ten Gallon』も実はTen-gにかけてたりするんです。
●収録曲の「ふらちな夜」や「君がいるだけで」は色んなサウンドがダブを録ってた人気曲ですよね。
T:ダブから広まるのは嬉しいですね。「ふらちな夜」とかはだいぶ最初の方に作った曲なんですけど、きちんと出すのはこれが初めてです。「君がいるだけで」は地元の羽曳野にあったバー、そこのオーナーの娘さんが結婚するってなって、その人に捧げるってことで作りました。その時後ろで演奏してもらってたのもSkyline Bandだったんですけど、歌い終って後ろ見たらSkylineのTonyさんがもう涙ぐんでて(笑)。
●「地球SOS」や「Diary」で一緒にやってるNatural WeaponやChehonとはどういう関係?
T:WeaponはさっきのJointとかでも一緒にやったりして。歌いだしたんも一緒ぐらいで。Chehonはちょっと先輩になるんですけど歳が一緒で。二人とも仲間であり、ライバルであり、みたいな感じですね。ま、一番の敵は自分やと思ってるんですけど(笑)。
ラバダブ・シーンからのスピードを持った勝ち上がりに驚いていたら、本人は「シンガーが珍しかったんじゃないですかね?」と謙遜していた。でも、やっぱりそれだけじゃないだろう。天性の通りのいい声。ラバダブで培ってきたんだろう、キャッチーなフレーズとメロディを見つけ出すセンス。あと何よりも、優しげな声からすると裏腹にもすら感じてしまう程の心根の強さ。おそらく、このシンガーは本物だろう。きっと、シーンにとってもどんどん大きな存在になるんだろうなって思わされた夜だった。
"Ten Gallon"
Tak-Z
[A-Team / ATCD-10013]