GHETTO YOUTH-OLOGY / SIZZLA
[GREENSLEEVES / GRE2017 / 輸入盤]
Greensleevesならではの懐かしきジャケットに目を奪われてしまうシズラの新作。そのイラストを見ればお分かりの通り、今回は全編ファイヤーハウス・クルーとがっちり組んで制作。長年鼻を突き合わせてきた両者だけにどの曲も呼吸もばっちりで思わず握った掌が汗ばむ。しかも本作でのシズラは裏声を多様、そしてかなり歌っているので、彼にそこを期待しているファンには嬉しいだろう。最高級なゲットー音楽だ。(大場俊
ENERGY GOD - THE VERY BEST OF ELEPHANT MAN / ELEPHANT MAN
[VP / VPCD1856 / 輸入盤]
エナジー・ゴッドことエレのベスト盤。どんな環境下でも現場をマッシュ・アップしてしまうお祭り男ならではのアゲアゲ・チューンがぎっしり。日本の現場でも重宝がられている曲が次から次への飛び出し改めて感服。そして目玉はやっぱりカップリングのDVD映像。ライヴやPVなどの映像に加え、山の手にそびえる彼の巨大な黄色い新居の全貌を記録。そこには彼へのイメージ通りとも言える奇天烈な世界が...。(大場俊明)
UNKNOWN LEGENDS / TENASTELIN
[DUB CORNER / DCLP001 / 輸入盤]
UKが誇るルーツ・シンガー、テナステリンが自ら運営するダブ・コーナーよりレーベル初のアルバムをリリース。全曲新譜、しかも各ダブ・ヴァージョン付き。一聴しただけでテナと分る圧倒的なヴォーカル力はUKのみならずモダン・ルーツ・シーンのトップに立つ貫禄が漂う。サウンドはそれぞれがエッジの効いたデジタル・チューン。80年代からの盟友キーティー・ルーツもミュージシャンとして参加している。(楳原豊人)
AFRICAN ROOTS ACOUSTIC REGGAE / TREVY
[HEN HOUSE STUDIOS / NO NUMBER / 輸入盤]
何の飾りもない100%素朴なアコースティック・レゲエ作品です。一曲聴く度に陽光が差し込んで身体がぽかぽか温まります。ギターとパーカッション主体の演奏はシンプルだけど、いつまでも傍らにいて欲しい音なんです。Trevyは語りかける様に自然に歌っている。草木に水を注ぐときと同じ感覚で清々しい。ナッティ、リー・エヴァートン、イナ・デ・ヤード・シリーズなど木のレゲエ愛好者にカツオ大推薦盤ですよ。(磯野カツオ)
IZYAH DAVIS MEETS KING EARTHQUAKE / IZYAH DAVIS & KING EARTHQUAKE
[KING EARTHQUAKE / KELP003 / 輸入盤]/span>
超爆音を放つサウンド・システムを擁するキング・アースクエイクのエロール・アラワクによる地元バーミンガムのHytal Bosrahサウンド所属の旧友アイザヤ・デイヴィスをヴォーカルに迎えた作品。サウンドは勿論彼らの十八番とも言える重低音炸裂のデジタル・ルーツ。既に幾つかのレーベルからシングルをリリースし好評を得ているアイザヤにとっては更なる大きな一歩となるだろう。当然、ショウケース・スタイル。(楳原豊人)
ROUTES / SMOKE
[ECHO BEACH / ECHO BEACH 72 / 輸入盤]
イタリアの四人編成レゲエ・バンドです。今作は2枚目。正統派ルーツ・スタイルを貫いた骨太のサウンドに好感が持てる。叙情的なメロディはどこかしらヨーロッパの風情を醸し出す。ホレス・アンディの独特な雰囲気に近い空気が漂っている。イギリスでもドイツでもない新鮮な響きに巡り会った。決して取っ付き難くはありません。なぜならレゲエ好きの惚れるメロディラインと歌が詰まった逸品だからね。(磯野カツオ)
ウィズ・アザー・アイズ/ルート・ダイアムーンズ
[スカ・イン・ザ・ワールド / SIWI-113 / 国内盤]
スペインのスカ・バンドです。流石フランスと並ぶスカ大国、粋なグループがまた出てきましたね。女性ヴォーカルBertaの歌声は表情豊かで魅力的だ。思わず夢を見ているかの様な気持ちになって心が弾むのさ。演奏がスカに対する愛情に溢れていて楽しそうなんだよ。ペッパーポッツにときめいた方にぜひお薦めしたい原石。スカ・フレイムス・ファンにもお馴染みの名曲カヴァーも入ってまっせ。カツオ猛プッシュ。(磯野カツオ)
オーヴァースタンド・ライフ/イザバ
[ピクタス / ワールドポジティヴ / DLWP2003 / 国内盤]
幾つかのレゲエ映画に携わったり、ツアーのマネージメント業務をしたりと若い頃からレゲエ・ビジネスと関わりを持ってきたイザバ。90年代初頭には自らポップなレゲエ作品を発表していたが、本作ではTengaku DubやCarib Rocksと組み、真摯にダブ・ポエトリーと向かい合っている。在日ジャマイカンとして、それ以上に人間としていま伝えておかなければならないものが心の底から湧き出しているのだろう。(大場俊明)
サヴァイヴァル/レベル・トライブ
[サザンシー / QACL30025 / 国内盤]
The Execute〜Gastunkと言えば、80年の日本のパンク・シーンに一石を投じたバンドのひとつに挙げられるが、そのベーシストであるBaby a.k.a. HiroはGastunk解散後、長い時間をかけて自らのレゲエ・ミュージックを探求し続けてきた。このRebel TribeはそのHiroがYazz-Iと02年に結成したルーツ・レゲエ・バンド。重心の低いツボを押さえた演奏とポジティヴなメッセージが栄えるエモーショナルな歌声が特徴的。(大場俊明)
ワンス・アポン・ア・タイム・アット・キング・タビーズ / V.A.
[ビート/ PRESSURE SOUNDS / BRPS-062 / 国内盤]
ラフでタフでなければ生き残れないジャマイカのレゲエ・シーン。そんな中で繰広げられたI-ロイとプリンス・ジャズボの伝説の戦いを余す所なく収録。レゲエ史上最も激しく尚且つユーモア溢れる舌戦をプロデュースしたのはバニー・リー。個々の才能が出会いぶつかり合う事で素晴しい作品が生まれるという見本とも言えるアルバムではなかろうか。収録はほぼキング・タビーのウォーター・ハウスで行われている。(楳原豊人)
ディファレント・ミー/キーシャ・コール
[ユニバーサル / UICF-9060 / 国内盤]
昨年の大躍進をふまえた上での3作目。"ヒップホップ・プリンセス"の看板に偽りなし、ではあるのだが、本作の醍醐味は、単なるストリート訴求に留まらず、音楽性や歌表現の進化にこそありそうだ。とにかく音も歌もフレッシュ! ポーク&トーンやアイヴァン&カルヴィン、ポロウ・ダ・ドンといった馴染みの名前に加え、新進勢が提供する音世界では、ビートがはじけ、声が染み渡り、全編を一気に聴かせる。(石澤伸行)
イントゥイション/ジェイミー・フォックス
[BMG / BVCP-21664 / 国内盤]
オスカー俳優による3年ぶりの新作。個人的にはオーセンティックな印象が強かった彼のシンガー像は、本作でかなり変化を加えられたような。特に前半の構成においては、ザ・ドリームやティンバランド、ジャスト・ブレイズら重鎮がトレンド重視の仕事を展開し、ティンバのストレンジなファンキネスに安心させられるほど。しかしながら、後半の振る舞いではまさに余裕綽綽のパフォーマンスが光りまくっている。(石澤伸行)
テスティモニー:Vol.2 ラヴ&ポリティクス/インディア・アリー
[ユニバーサル / UICT-1044 / 国内盤]
古巣のモータウンを離れ、自主レーベルからのリリースとなった4作目。制作環境の変化に反して音楽作りのスタンスに揺るぎはなく、アコギをかき鳴らし凛として歌い紡ぐ姿は、正にインディア印だ。ミュージックとのデュエットとなった先行シングル「Choco-late High」は、ひた向きな歌の掛け合いが落涙間違いなしの秀曲だが、彼女の創作意欲はブルーズやカントリーを飲み込み、地球規模にまで及んでいる。(石澤伸行)
ザ・ウェイ・アイ・シー・イット/ラファエル・サディーク
[ソニー / SICP-2133 / 国内盤]
オリジナル作としては5年ぶりとなる3枚目。仕事で訪れたバハマの街を流れるレイドバックした音楽を聞いて制作に至ったという本作。これまでもレトロ・ヌーヴォーなアプローチでリスナーをニンマリさせてきた彼だが、今回のなりきり振りは相当なもの。60年代のモータウン、70年代のフィリーやメンフィスの音像を、実際にファンク・ブラザースやスティーヴィ御大らを招いて再現しているのだ。楽しい!(石澤伸行)
リフレクションズ/ジェイソン・チャンピオン
[EMI / TOCP-66858 / 国内盤]
90年代の名R&Bデュオ、メン・アット・ラージの元メンバーによるソロ・デビュー作。グループ解散後、ゴスペル界の雄、カーク・フランクリン作品への参加を通じ復活を果たした彼。本作もウォーリン・キャンベルが指揮を取るコンテンポラリー・ゴスペル集に仕上がっており、サウンド的にも相当にイマを意識、オートチューン使いもサラリとこなしている。でもやっぱり、この鋼の如き歌ぢからは半端ないっす。(石澤伸行)
ジ・アリーシャ・ショウ/アリーシャ
[ビクター / VICP-64649 / 国内盤]
UKの3人組R&Bユニット、ミスティークの元メンバーによるソロ2作目。本国ではTVタレントとしてもブレイク中という彼女だけあってか、本作のアプローチは前作にも増してポップ。USメインストリームの仕事人たちやUKの売れっ子クリエイター陣が、様々なアングルから彼女の「華」を照らし、悉くカラフルな彩りを放つことに成功している。全編を貫くアゲアゲ感に、誰もが元気をもらえそうな作品集だ。(石澤伸行)
ディスタンス/ヨンシン
[ポニーキャニオン / PCCA-02891 / 国内盤]
昨年のミニ・アルバムをふまえてのフル・アルバム・デビュー。これまで、はっちゃけたビート上にあってなお、どこか伏し目がちな表情が印象的だった彼女だが、本作で前面に出してきたのは、大らかな歌表現。餓鬼レンジャーのGPやバッハロジック、チャベといった様々なフィールドから招聘された仕事人達が、相当に幅広な音世界を構築しているのだが、そこを縦横無尽に歌い泳ぐ様には、早くも大器の予感が。(石澤伸行)
ADMIT ONE / SIDESHOW
[AUS MUSIC / AUSCD03 / 輸入盤]
ニンジャ・チューンで初と言えるアコースティック作品を発表したFinkの本格ダブ作品。オープニングがいきなりシューゲイザーなギター・サウンドで吃驚するが、後はレゲエ起源のダブ。オーセンティックなサウンドからダブテックなサウンドまで、ダブ処理も、控えめから過激な仕上りまで、様々なスタイルを聴かせてくれる。この手のサウンドには引っ張りだこのTikimanことPaul St. Hlaireが間違いない色を添えている。(飯島直樹)
GRAINS / BOOZOO BAJOU
[!K7 / K7235CD / 輸入盤]
長いキャリアながらオリジナル・アルバムとしては3枚目。そのマイペースぶりが作品ごとのフレッシュさを維持させ、サウンドをオリジナルな物にしているのは音を聴けば明らか。これまでも定評のあったスモーキーなチルアウト感に、前作から取り組んでいる歌物が見事に溶け合った、アコースティックでメランコリックな極上のチルアウト〜ダウンテンポ・アルバム。Alphaに並ぶスロー・ミュージックの真骨頂。(飯島直樹)
GREAT LENGTH / MARTYN
[3024 / 3024005CD / 輸入盤]
ダブステップの新星として、数々のレーベルからのリリースやリミックスで、その評価と期待の大きさも感じられるMartyn注目のアルバム。ガラージや2ステップといったUKグルーヴや、デトロイトやシカゴの影響も感じさせたこれまでの作風が更にディープに進化。このインディヴィジュアルで自由な世界こそがダブステップそのものでるという事を証明した、未来に向けての輝かしい記録。最新にしてクラシック!(飯島直樹)
ホェン・マシーンズ・エクシード・ヒューマン・インテリジェンス/ハーモニック 313
[ビート / BRC-221 / 国内盤]
90年代のアンビエント・テクノを牽引したGlobal CommunicationのMark Pritchardによる新プロジェクト。様々な名義で多くの名曲を生んできた彼ならではの、ジャンルで定義付けできない自由度の高いリズム&サウンドが繰り出される。遂に爆発したダブステップ、グライム、エレクトロ、マイアミ・ベース、ヒップホップ、ブロークン・ビーツまでを、まるで10年前からあったかの様に安定したプロダクションで聴かせる。(飯島直樹)
ニアリーイコール・ダビオス/マンティス
[ティルトルーズ / TLR-0001 / 国内盤]
ルーツ・レゲエからアンビエントなエレクトロニカまで手掛けるMossと、24歳のLa-pachuによるユニット1stフル・アルバム。ブリストルやベルリンから生まれるサウンドと比較しても全く引けを取らない深い音を出しつつも、それとは違ったオリジナルな世界を生み出す事に成功している。先が想像できる定型には全くハマらずに、思わぬ表現/展開で聴かせてくれるところが脱日本人的。TikimanことPaul St. Hilair参加。(飯島直樹)
ライヴ@ホーム/藤原ヒロシと曽我部恵一
[ダイキ / チューン・ベイカリー / TB-002 / 国内盤]
藤原ヒロシと曽我部恵一。ちょっと意外な組合わせの二人の最初の出会いは07年のハニカムでの対談から始まったそうだ。そんなスペシャル・ユニットのアコースティック・ライブ音源がCD化。ジュニア・マーヴィン、マドンナ、ビートルズ等をリラックスしたムードで、とても楽しそうにカヴァーしている。まるで自宅に招待されて聴いているかのような心温まる作品だ。INO hidefumiとのリハーサル音源も2曲収録。(長友浩之)
バスタード・ジャズ&ブルックリンレディオ・ネット・プレゼンツ・BJKLYN・ヘヴィ・サウンズ・フロム・ザ・カントリー・オブ・キングス/V.A.
[ルーディメンツ / RMT-CD015 / 国内盤]
ブルックリン発の人気レーベル新作は、地元のネット・ラジオとの共同企画によるコンピレーション。昨今の当地クロスオーヴァー・シーン筆頭のNickodemusやThe Pimps Of Joytimeを始め、The Dap-Kingsらディープ・ファンク復古派、Akoya AfrobeatやChimp Beamsら日本人が参加する頼もしいグループの作品を収録。ボーダーレスでありながら、実は芯で繋がっている、この街ならではの1枚。(飯島直樹)