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313    ARTISTS

Hidden Trea sure Discovering Vintage Reggae Volume 7
  
Text by Yasushi Ishibashi
 
西のPressure Sounds、東のVP。最近、ここ以外はほぼ開店休業状態で、レゲエ再発、というか音楽ソフトの先行き自体に憂いを感じる毎日......。家電売り場ではディスクマンが申し訳程度にしか置いていない現状に、iPod嫌悪がますます酷くなる一方だ。そんなヘヴィーな泥沼の中、一筋のJah Lightを見出した素敵な銀盤&黒盤達をご紹介したい。
 
■ Jimmy Radway & Fe-Me Allstars『Dub I』(CD / LP)



何を差し置いてもこれ。レーベルからインサイダー送付されたCD-Rには、オリジナル原盤に針を落としただけの、未リマスタリングの生々しい凶悪ダブが詰まっていた...。75年にMicronレーベルから発表されたダブ大名盤で、「Black Cinderella」やら、Glen Brownのあの大ネタ使いやら超重量級トラックがひしめく。ドラムとベースなんて音像が歪んでただひたすら沈殿していく泥沼さに感服必至、アゲアゲ・トランスの対極に位置する、これぞズブズブ・ダブの究極形と言えよう。しかもホーンが輪を掛けてえぐい、えぐ過ぎる! Tommy McCookやBobby Ellisらの猛者どもが強烈なトラックに負けじとハードに吹きまくる。Vivian Jacksonあたりの音源が好きな人なら、この喇叭使いにノックアウトされる事は間違いない。なお、CDはボーナス5曲入りだが、オリジナル曲順に差し挟まれる形で収録されておりよろしく無い。こんな濃密でヘヴィーな、完成されたアルバムだからこそ、それによって薄められてしまった密度の方を悼む気持ちで一杯だ...。
 
■ Light Of Saba 『Sabebe』(CD / LP)



築地で天麩羅を食いまくった、日本大好きのおフランス人、Jacques。本誌2月号でのインタビュー記事も記憶に新しいが、そんな物腰柔らかな彼がやっているド硬派なレーベル、Kingston Connexionは心あるルーツ男子諸君が常に注目してきたものの、シングルのみだった為"知る人ぞ知る"的な存在に止まってきた。一昨年、Zap Pow「Last War」(12")で我々の心を飴色に焦がすと、08年に入るとL.O.S.「Thy Kingdom Come」(7")をリイシューし、「これはアルバムもか?」と期待させたものだ。そして妄想・カム・トゥルー...。 



Honest Jonsのあのコンピや12" シングルで話題となった、ナイヤビンギ集団(共同体)による78年のラスト・アルバムで、彼らの作品はどれもオリジナルの形では未再発だったので、これは快挙と言うしか無い。冒頭の「Sabebe」で、強烈アフロ・ビートにブリブリのホーン、そして"うっっ"という野太い掛け声が渾然一体となって押し寄せて来る心地好さたるや...。何故か褌姿の男達を思い浮かべた、どファンク・チューンだ。続く極上メロウ・チューン「Music In My Brain」や、Isley Bros.の大名曲「Summer Breeze」のメロを拝借した「Coliweed」、ビンギ・ドラムによるリズムの洪水を浴びる「Legba Praise」、ファンクとスピリチュアル・ジャズを融合させた大名曲「Rastaman Kibero」、高・血中ルーツ度の「Thy Kingdom come」「Solitude」、ラストのアフロ・ファンク「Africa」まで昇天一直線!まさにステアウェイ・トゥ・ヘヴン、一気に駆け上がれ!
 なおCDは、『ルーツ・ロック・レゲエ』著者として名高い鈴木孝弥氏による解説に加え、L.O.S.のリーダーPhillip Whiteへのインタビュー対訳も付けた、パーフェクト・ジオング(『プラモ狂四郎』参照)並みの完全版だ。
 
■ Earl Zero『Visions Of Love』(LP)



こちらも仏国はOnly Rootsからと、トリコロールが熱い? CDならボーナス入りで再発済みだが、79年に発表されたこのルーツ名盤がアナログで再発されたのは嬉しい限りだ。Soul Syndicateをバックに「Righteous Works」「None Shall Escape The Judgment」、はたまたPabloをフィーチャリングした「Home Sweet Home」など名曲三昧で、ただただ恍惚となる。
 
■ Little Kirk『Ghetto People Broke』(LP)



さらにこれもメイド・イン・フランスで、Livity Reggaeから突如リイシューされたもの。80年代後半のデジタル・トラックだが、独Basic Channelの傍系レーベルBasic Replayがレアなデジタル・ルーツ・チューンをまとめたコンピ『Basic Replay』がストライクだった人には、ダサ過ぎるジャケには目をつぶって聴いて欲しい。表題曲や「Killer Sound」あたりがど真ん中だろう。
 
■ Bullwackies All Stars『Black World Dub』(CD / LP)



Basic ChannelによるWackie's再発シリーズも遂にこれが登場するか...、79年にサブ・レーベルのHardwaxから発表された、Bullwackie自身のフェイヴァリットにして超レア盤だ(7はBasic Channelの別の再発シリーズ"Basic Replay"の作品集)。ホーン使いが素晴らしいLeroy Sibbles「This World」のダブを始め、 "Skylarking""Guiding Star"トラックのダブやらJoe Auxumiteによるマイナー調ルーツやら、名曲がずらりひしめく最高のアルバムだ。なおCDのみ日本語解説付きで販売しているので、アナログ至上主義でなければそちらを是非お求め下さい。音質は最高だけど文字情報が全く無い事に憂いていた小生が、勝手に使命感に燃え、ソニー落合氏にライナー執筆を直談判! 「珍しいアルバムなので自分に書けるかな〜」と渋る落合さんをなだめてすかして、ようやく口説き落とした結晶なので...。

7



 
■ Freddie McGregor『Mr. McGregor』(CD)



VP Recordsはパワーハウスのコンピなどで頑張っているが、ルーツもの、それもアルバムの直截な再発は今一つの感があった。が、これで面目躍如だ。彼の長いキャリアの中で最もルーツな、Winston "Niney"Holnessプロデュースの79年作で、ロング・ミックスを中心に7曲ものボーナスが追加されている。Abyssinians"Satta-Massagana"使いの「Rasta Have Faith」や「Rastaman Camp」等ヘヴィーなのもあるが、ピースフルで柔らかな歌い口の曲が中心となっている。トラックがゴリゴリでも彼の声が乗ると不思議と重たくなり過ぎない、そこに魅力を感じて止まないルーツ名盤だ。
 
■ Bim Sherman meets Horace Andy & U Black『In A Rub-A-Dub Style』(CD)



英Original Musicからの復刻で、ルーツ⇔ダブ⇔DJの三位一体を最も感じさせてくれる、Jah Wooshプロの82年作。何気にこれもCDは初なのだ。温度で例えると激熱ではなく、人肌ちょい上、お風呂な感じかな? ショウケースと聞くだけでチンピクしてしまう野郎達の期待を裏切らない好盤だけれども、唯一の非ショウケース・ナンバー「Tonight(Dub)」が一番格好イイのが、皮肉かな?
 
 8年だか9年くらい勤めた会社を辞めた今、静かにこの記事を書いている。昨年あたりから不況だ失業だで未曾有のハード・タイムスが幕を開けたが、こんな暗い状況だからこそルーツ・レゲエがより必要になる筈だ。
 
If you are the big tree , we are the small axe(Bob Marley & The Wailers「Small Axe」)
 
自分にとって永遠のフレーズといえばやはりコレ。シンプル過ぎるくらいシンプルな歌詞に、色んなものが詰まっていて堪らなくさせる。小さかろうが何だろうが、やってやれない事は無い。

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