AMIGO GUNSHOT / PRECIOUS MELODY
Text by Thunder Killa

東京のレゲエ、クラブ・シーンの最初期から遊び、プレイしてきた筋金入りのラバダブ・サウンド(最近は少なくなったねぇ)、Amigo Gunshot。今回、全曲Studio 1のオケで、参加アーティストは全員シンガーという、有りそうで無かったコンセプトCDをリリース!
Amigo Gunshotの結成は1997年、つまり約11年前という事になっているが、もともと東京のレゲエ・シーンで個々に活動していたアーティストやセレクターが集まったもので、実際のキャリアはその倍近くであろうか。今は無き西麻布のクラブFront Lineのボス、Papa Gold(R.I.P.)の求心力で集い命名された彼等。全曲Studio 1のオケで全員シンガーという興味深いテーマのCD『Precious Melody』で話題を集める中、セレクターであるDaddy Kanと中心メンバーであり参加シンガーでもあるKen-Jayの両氏に登場、解説して頂こう。
「始めは俺たちのアルバム作るって話だったんですよ。でも予算も無くて(笑)。でこういうミックスCDみたいな形になったんだけど」(Ken-Jay)
「シンガーだけでコンピを作りたいな、ってのはあったんだけど、Bitty McLeanの『On Bond Street』やPeckingsレーベルの一連の作品を聞いて、“ああこういうのアリなんだな”と。凄く新鮮に聞こえたんでそれを日本人でやれたら面白いかなって。あと、Dee-Jayばかりで最新のオケでって作品多いから、今の流れに逆らっちゃえみたいな(笑)。全部逆いっちゃえって」(Daddy Kan)
この『Precious Melody』にはAmigo GunshotのメンバーであるKen-JayとKashmereを中心にMoominやKen-U、Chucky TokuやZebraman等々、 東西のベテランから新生まで14人(!)のシンガーが集められているが、この人選の妙も本作の魅力の一つだろう。
「割とオールディーズ好きな人は新しいアーティストをあまり聴かなかったりするし、逆に今のファンの子達ってこういう基本のオケをよく知らなかったりもするから、両方のファンが聴けるようなものを作りたいなって思って、シンガーも若手からベテランまで幅広くチョイスしたんだ」(Daddy Kan)
確かにベテラン勢ばかりでこういうオケだと、当り前感があるのは否めないだろう。そして狙い通りと言うか、意外と言っては失礼だが、若手陣の奮闘振りが聞き所にもなっているのである。
「若手の人選は、まずは身近な所からBig BearとかMoeast、あとTomoは声にホレたとでも言うか、それくらい最近聞いたなかではこれは凄いなって。あと16がオススメ。在青森のシンガーで若手ってわけでもないんだけど、オレたちとは付き合いは長くて、青森をシキってるってくらいの(笑)」(Daddy Kan)
多彩で多数あるStudio 1のオケの中からチョイス、各シンガーへの割振りもDaddy Kanの担当。
「Studio 1のオケは2分半から3分位で大体終わって、それがちょうどいい歌の起承転結になってるから、それを生かしてと言うか。今のミックスCDって1曲が下手すると1分無いくらいでサビだけとか、何の事やら分からない内に終わっちゃうから」(Daddy Kan)
「その曲を知ってる前提で聴かないと分かんないんですよ、始めの所だけとかね」(Ken-Jay)
「そこで2分半の世界を聴けるものが作りたかったんだよね」(Daddy Kan)

"Amigo Gunshot presents Precious Melody"
V.A.
[Amigo Gunshot / AGCD-001]