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"DAGGERIN""
Text by Reiko NAGASE SMITH
 
男と女が全裸的セミヌードで、ベッドで抱き合ってる写真。よーく見るとAh Di Teacher、ヴァイブス・カーテルじゃないの。そのタトゥーだらけの細い腕にからまってるのはAnd Ah Spice、女の子DJのスパイス。ホンモノ。なにこれっていうと、ふたりのコラボ・チューン「Ramping Shop」のプロモート写真だそうな。
 
Ramping Shopっていうのは見たこともないけど、「お遊び小屋」とでもいうのかな。RampってパトワでPlay、遊ぶとかふざけるとかいう意味。Nuh ramp wid miで、ふざけないでよ。
このチューンの歌詞ときたらのっけから、Mi XXXXX longer than mi knife
ってのをさらっとうたってくれるカーテル。まるでInna mi Curl Canaiとおんなじ調子で。
 
Tell mi what you like you want mi try or you know how fi ride it like a bike.
 
スパイスは、いつもと同じリキのいれかたで、テレもてらいもない。
 
Well, you know how fi rum it hard di XXXXX nah fi lie damage it fi Spice not cause mi xxxxx tight.
 
うーん、こんなのがストリートで堂々とかかってる。真昼間から。いいのかなー。ダンスもダガリンだし、年端も行かない子供が一緒になって踊ってるし、そんな子供見て大人は喜ぶし。

 
言い遅れましたがダガリンってずばり、セックス行為のことをさします。カーテルは今年、その名も「Daggerin」、のコンドームを発表した。昨年のラム酒につづく自身のプロデュース製品第二弾。セーフ・セックス、エイズ撲滅に一役かってるわけです。
 
ジャマイカのエイズのキャンペーンはどきりとさせられるものが多い。HIV保持者がTVに出演したりする。

 
このように、あからさまなセックス表現をしたり、あいさつのようにナンパしたりする。ここは恋愛天国。犬も歩けば恋に当たる。
 
トロピカルな国だしセックスに解放的、エキゾチック(そうか?)だな、というイメージを放つけど、実際には妙に保守的な部分をかかえるジャマイカ。とくに当のジャマイカ男性がだれよりも保守的、という矛盾にかならずとまどうにちがいない。
 
そんなところを掘り下げて、ジャマイカを理解しようとする本が発売された。『ボーン・フィ・デッド』日本語訳の森本幸代さんの新刊、『LT1 ジャマイカの性』。
 
ジャマイカを語るのにはずせない、ジェンダー(男性女性のちがいについてのありかた)についてを語っています。この分野で有名なジャマイカ人の著者の書き下ろしと、エンターテイナーらのインタヴューで、森本さんが翻訳をしており、英語と日本語両方で読めるという画期的な本です。

 
レゲエ(ダンスホール)からはいってジャマイカを好きになり、生身のジャマイカ人と恋におちる女子や男子を、レゲエとジャマイカと恋愛がワンセットになってちがう世界にひき擦りこんでいく。そうしてすぐにこの、ジャマイカがもつ矛盾にぶちあたる。
 
ジャマイカにはいろんな顔があって、できれば一面だけじゃなく、何面かのジャマイカを知るっていうのも面白い。
 
Fulljoyダンスホール、Enjoyセーフ・セックス! Nuh ramp wid it.
 
★ricoのジャマイカArt Life → www.ricoart.com
★ricoのスケッチ・ダイアリ→ http://ricoart.exblog.jp

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