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VYBZ KARTEL
THE TEACHER'S BACK
 
Interview & Photo by Minako Ikeshiro
 

 ぴったりとダンスホール・シーンの先頭集団にに常につけているヴァイブス・カーテルが、日本先行発売のサード・アルバムをドロップする。『The Teacher's Back』は“アディ・ディ・ティーチャー”として人生の語り部に徹した、天才リリシストであるカーテルにしか作れない仕上がり。スティーヴン・マクレガーとがっぷり組み、新しいサウンドを追究しているのも聴きどころだ。キングストンの自宅でゲットした緊急インタヴュー。
 
●マヴァードとのWarの渦中なので、慎重に行きましょう。印刷したらキツく響くところは私が調整するので、とりあえず好きに喋って下さい。
Vybz Kartel(以下V):俺はぜんっぜん気にしてねぇよ(笑)。そのまま書いてくれ。
 
●了解です。最近、以前よりシングジェイにシフトしている気がしますが。
V:それがトレンドだからだ。今は、メロディアスなトラックが主流だから、自然とそういうスタイルになる。マヴァードが出て来て流れが変わった。
 
●ある意味、マヴァードに影響されているのですか?
V:直接ではないけどな。05〜06年に俺がトレンドを変えて、ほとんどDJが影響を受けていた中で、マヴァードはメロディー重視のトラックで、オリジナルなスタイルで出て来た。それが、新しく響いた。それを踏まえて、カーテルも自分の音楽を充実させて、ほかの奴とは違う音楽を作っているんだ。
 
●敵でも、認めいるワケですね。
V:もちろん、才能は認めている。大物でなければ、俺は気に留めなかっただろうね。競争に勝つためには、相手が嫌いだからと言って耳を塞ぐわけにはいかない。敵から学ぶところは多いよ。長所と短所を学習しながら自分を磨く。でもさ、奴が駆け出しの時は、ずいぶん助けたんだぜ。俺もまだアライアンスにいたから、俺のPVに出してやったり。
 
●ビジー・シグナルは?
V:ビジーは平均的なアーティストだ。カーテルのスタイルとアサシンの声を組み合わせて、奴の母さんが恥ずかしく思うようなことをDJしているだけだよ。この世界では、オリジナリティーが鍵だ。奴にはそれがない。まぁ、みんな誰かのマネをしているけれど、マヴァードは誰のマネもしていない。俺やブラック・ライノもそうだけどな。
 
●ブラック・ライノの名前が出たところで、ポートモア・エンパイアについて教えて下さい。
V:俺がポートモアで見つけた才能のある奴を集めたクルーだ。前よりはサイズダウンして、ちゃんと契約書を交わしている。ブラック・ライノのほか、ショーン・ストーム、ジャー・ヴィンチ、リサ・ハイプなんかがいる。
 
●新作の話をしましょう。コンセプチュアルな内容になっているようですね。
V:この作品は俺のオリジナル・スタイルに戻って、200%、クレージーなリリックとクレージーなフロウを使って、アルバムの最初から最後まで物語を語っているんだ。アルバムのタイトルで分かるように、スリック・リックの『The Rule's Back』を参考にしている。DJとしてはジャマイカではプロフェッサー・ナッツが先駆者になるね。
 
●殆どの曲がエクスクルーシヴだそうですが。
V:全曲だ。ダンスでかかるために切り売りで作った曲ではなくて、アルバム全部を聴いてもらうために、スティーヴン(・マクレガー)がカスタム・メイドでトラックを作っている。1年半前に終わっていたけど、1曲リークしただけで、あとは極秘にしていたんだ。
 
●そのスティーヴンと仲の悪いダン・コルレオーニの曲で、あなたはブレイクしたワケですが、それは問題ない?
V:問題ないよ。ダンは俺にとってガーディアン・エンジェルみたいな存在だ。まぁ、天使という柄ではないけどな(笑)。でも、俺は関係なくスティーヴンとも仕事する。このアルバムは160%スティーヴン作だよ。ただし、ちまたで流行っている彼が作ったヒット曲とも感じが違う。俺とスティーヴンが組む時は、一人の人間みたいなんだ。どちらかが始めたアイディアをもう片方が完成させるというか…相性は完璧だね。
 
●それぞれの曲にもコンセプトがあるんですよね?
V:生活に密着したストーリー、というのが全体のコンセプトだからね。ポリスとの確執、恋愛関係、ウィードの曲もあるし、自伝的な要素が入ったエピソードで綴った曲もある。
 
●ポートモアに思い入れがあるようですが、キングストンで育つのとはやはり事情が違うと思いますか?
V:空気が違う。俺はキングストン生まれだから、余計わかる。俺自身はクレージーだけど、子供時代はフツーだったんだ。今でも俺以外の家族、兄が一人と両親は、みんなまともに暮らしている(笑)。家族中が音楽が好きで、父がDJの真似事をしていたし、母もダンス好きだった。両親はいまだに精神的に支えてくれているよ。ポートモアは、滝の近くに住んでいて風光明媚なところだけど、もちろん、ギャングもいるから、いろいろあった。
 
●ところで、アライアンスが懐かしくなることはありますか?
V:まさか! 全然懐かしくないよ。あれは高校みたいなところだから、いる間はそれなりに楽しかったけど、卒業したら戻りたいとは思わないね。あと、音楽でも新陳代謝は大事だから、俺はポートモア・エンパイアの奴が俺より先に進むのは大歓迎だ。アライアンスとは、そこが違う。
 
●ヴァイブス・カーテルに関する最大の誤解はなんでしょう?
V:邪悪な人間だと思われていることかな。昔の出来事の印象が強いのかも知れないけど、警察と揉めると執拗に何度も描かれる。実際に俺はインテリで、みんなに元気を出してもらえるように音楽をやっているつもりなんだけどね。知的な言葉でハイ・レベルなDJをしているんだ。最近は、その能力をほかのビジネスでも生かしているし、ヴァイブス・カーテルの状況はクールだよ。
 

"The Teacher's Back"
Vybz Kartel
[Victor / VICP-64534]
 

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