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THE MAZE

Tatsumi Akira and the Limes
　
Interview by Shizuo "EC" Ishii / Photo by Shungo Takeda
　

デタミのサックス巽君が新しくバンドを結成。それもトリニダード・トバゴのソカにやられたバンドだという。「ん？」なわけですよね。マスタリングを終えたその足でCD-Rを持って現れた巽君を早速チェック。
　
●デタミネーションズは解散なの？…オレは単に中断だと思ってるんだけど、あれ以降何をしてたの？
巽：カセットコンロスとアルバム『キング・ゴーズ・カリプソ』を作って、なんやかや１年くらい休んどって、今度は自分でバンドを作りたくなって。
　
●どういう事でソカのバンドを？
巽：そもそもカリプソにハマったのはマイティ・スパロウの「アンダー・マイ・スキン」をデタミでやってからなんですよ。マイティ・スパロウが来日したんでブルーノート東京に見に行ったらソカなんですよ。インタヴューもしたんですけど、デタミネーションズでこんなんをやってますけど、どう思いますか言うたら「何を言うねん」って、現在進行形なんですわ、プリンス・バスターと同じですわ。それで衝撃を受けたんです。
　
●まずソカを良く知らないんで教えて欲しいんですけど、アロウもスパロウもいちおう２回ずつ見てるし、アロウなんてジャマイカでも見てる（笑）。けど…ハマれてない。
巽：実はそれまでソカ聞いても踊れんかったけど、スパロウを見てからソカを聞きだして、大阪でメンバーも集めだしてマックスで８人になってた事もある。巽朗がやるんやったらこんなバンドやろなって（みんながSKAだと）思ってたんやけど、俺の中ではスパロウを見た衝撃のまんまでバンドを作りたかった。とにかくソカを聞きまくりました。スパロウやバイロン・リーのカリプソから80年代のアロウから現在最先端のソカまで。
　
●２ヶ月ほど前に5曲入りのCD-Rを送ってくれたけど、完成したこのアルバムは別物っていうくらい良くなってるよね。ヴォーカルが２曲入っていて高津（デタミネーションズ）君みたいな歌い方で誰かなって思ってた。そしたら巽君だっていう。うまいんだね。実はずっと前に高津君にも「歌い方がスパロウの若い時みたいだね」って言った事があって「スパロウ大好きです」って。なるほど、二人ともスパロウねって納得です。
巽：サム・クックの従兄弟でイライジャ・リーヴァイっていうスゴいシンガーが地元の奈良に住んでるんです。彼のところにマイティ・スパロウみたいに歌いたいってアルバムを持って行ったんですよ。そうしたら「お前は歌いたいのか？　しゃべりたいのか？」って。スパロウみたいにって言ったら、じゃあ「お前はしゃべりたいんやな」って言われて。
　
●なるほどね、やっぱり何を歌ってるかだね。
巽：あとは今回アレンジとかをやってるキーボードの藤原のデビューでもあるんですよ。この１ヶ月くらいは２人とも目は腫れてるわクマできてるわで……あっという間に時間が過ぎました。カヴァーで「Star Wars Theme」をやってるんですけど、（トリニダード人じゃなくて）日本人がソカをやるっていう意味はこの曲のデキで決まっちゃうなと思ってがんばった。デタミが北野天満宮でライヴやった時、本殿でお清めした時に神官だと思うんだけど「和魂洋才、和の心を持って西洋の…」って言われたのがひっかかっててず〜っと考えてやっと出来たかな？
　
●あ〜、覚えてる。あったね、いっしょに俺もお祓いしてもらったな。エゴ・ラッピンも一緒だったね。
　
とまあ、この話はタイ・レストランに場所を移して腹ごしらえをしながらも止めどなく続く事になる。
　
アルバムには福永（デタミネーションズ）君のサックスもフィーチャーし、Mison-Bもヴォーカルで参加したり現在の巽朗の全力投球のアルバムが完成した。Mison-Bは藤原君がダンスホール・トラックを作っている関係でのリンクなんだという。バラードも入っているが、一言で言えば疾走感のあるソカをやっている。巽君曰く「SKAならそのまま日本でコピーしても受け入れられる音楽だと思うが、ソカはそのままじゃ日本に受け入れられないと思うから、俺たちのフィルターを通してして日本のソカを作ると同時にシーンも作って行きたい」との事。色々なミュージシャンとも絡んで行きたいそうだ。このザ・ライムス、多分日本で初のソカ・バンドじゃないかと思う。早くソカで踊る大群衆を見たいものだ。
　

"Soca Driven"
Tatsumi Akira and the Limes
[Pictus / DLCP-2096]