EELMAN
Interview by Takashi Futatsugi / Photo by Tsuyoshi Otsuru
あったかい。実にあったかい。既に15年以上のキャリアを持つEelmanがファースト・フル・アルバム『Simple Song for You』を完成させた。その“待った甲斐”のある同作には、シンプルで力強いメッセージが詰まっている。最近の代表曲「One Love」(アルバムにはその“拳Powa Mix”を収録)や、「My Mother My Father」も搭載した、ドクトクの“時間の流れ”が感じられる力作を作り上げたばかりの彼に、その創作活動の源泉なるものについて語ってもらった。
音楽に目覚めたキッカケは、パンク・バンドでヴォーカルやってたのが最初です。他にダンス甲子園の影響でダンスもやるようになって、そこでヒップホップやレゲエと出逢いました。「深海魚」や「ありがとう」といった過去の曲に対して今改めて思うことですか? もっともっと頑張らなきゃならないと思わせてくれたり、一方では、まだ当時は若かったなって思わせてくれたりもします。一言で言うと「あの時の日記」って感じですね。
レゲエの魅力かぁ…(暫し沈黙)一番の魅力とは、理屈抜きでハマれるって事だと思います。レゲエと出逢って、自分自身でいられ、信念を持ってアーティスト活動・生活が出来るようになりました。曲作りは、メロディのある楽曲に関してはギターを使って制作作業する事が多いです。ふとリリック、フロウ、メロディの何かしらが思い浮かんで、頭の中である程度創造しながらイメージを固めて、そこからですね、実際に作業に取り掛かるのは。『Simple Song for You』にはコンセプトが特にありません。と言うのも今作は、これまでに作り溜めてきた沢山のデモ音源から収録するにあたって、作り直したい楽曲をプロデューサーのSEIJImanと一緒に選んで作ったアルバムだったので。SEIJImanには「この人こそが小さな巨人だな」って思わされました、彼は才能とヴァイタリティに満ち溢れています。フィーチャリングとして参加して貰ったRueedはとにかく勢いもあるし、人間性も素晴らしいし、スキルを始めとして、トータル的にレゲエを更に上の段階に持っていってくれることを期待しているアーティストです。SEIJIman、潤さん(Super Trash)、Nodatinさん(Wadada)がそれぞれ命を吹き込んだ「Simple」のリディム・トラックを最初に聴いた時は感動的でした。自分の中ではデモの段階が自分にとっての完成形だったんですけど、そんな楽曲を、3人のパワーが1つにまとまったこのトラックで歌わせて貰って、思い描いていたよりも更に良いものが出来ましたね。
あと、出来るだけ自分が思い描いた世界観を正確に打ち出せるように気を使いました。最後に声入れをした「Smile」という、アルバムの並びでも最後の楽曲は、「もうこれで最後だ」ってなって笑いながらレコーディングしていたら、SEIJImanが逆に泣きそうになってました(笑)。この曲にはそんな思い入れがありますね。最近の出来事で一番上がったこと逆に落ちたこと、ですか? 上がった事としてはiTunesレゲエ部門でアルバムも楽曲も1位を獲った事。これには本当に上がりました。それまでも母はPCをやってはいたんですが、今は朝昼晩iTunesをチェックしてくれるようになりました(笑)。そんなんで、最近はどちらかと言うと落ちる事は無かったです。『Riddim』読者へのメッセージは…世の中のシステムとか流行とか、そういうのとは関係無く、自分の心に正直に、シンプルに行きましょう!! 今後も今まで通りライヴと制作を並行してやりつつ、伊豆のスロー・ライフを楽しみながら、今まで以上に作品をリリースしていけたら良いなと思います。伊豆下田は手付かずの自然が残っていて、その大自然を体感出来るところがとにかく魅力的です。付随する事としては、サーフィン、釣りも出来るし、海産物も美味しい。あと何より地元の人達と仲良くなれると温かいですね、是非遊びに来てみて下さい。
"Simple Song for You"
Eelman
[P-Vine / PCD-24210]