BIGGA RAIJI
Interview by Nobuhiko Mabuchi / Photo by Teruhisa Tajima
「本当は夏くらいに出す予定だったんですけど、順調に遅れちゃって…(笑)」と、今回もマイペースで作り上げたBigga Raijiの新作『まっすぐ』がようやく完成。オリジナル作品では初となるコンビ曲を収録し、トピックス含め幅広いアプローチで聴かせる快作だ。
「レゲエのリディムで確実に楽しませるのが、俺が目指すエンターテイメント」とコメントする、レゲエ界きっての巨漢DeeJay・Bigga Raiji。その規格外の風貌をネタにした楽曲やパフォーマンスで現場を盛り上げてきた彼が、昨年の『あっぱれ!!』以来となる最新作『まっすぐ』を完成させた。リード曲の「Go Straight」では地元・東京城南エリアでリンクをあたためてきた元Def-TechのMicroをフィーチャーし、オリジナル作品では初となるコンビネイションを披露。「頑張っている人を応援したかった」というRaijiの想いにMicroが巧みなフロウで掛け合う、ポジティヴなヴァイブスが詰まった楽曲に仕上がった。
「やっぱフィーチャリング相手は付き合いがあって、スムーズにディスカッションできる人が理想っすね。俺、シャイなんで(笑)。Microは鼻歌でフロウを作って言葉をのっけていくタイプなんですけど、やっぱ流れがいいんですよね。で、俺も自分なりに真似してみようと思って出来上がったのが、この曲のサビでした」
コンビネイションの醍醐味は、掛け算のごとくお互いの力を引き出しながら楽曲を作り上げること。活動する畑が違うMicroを迎えたことで、今までのRaijiにはなかった新鮮なアプローチが楽しめるのも「Go Straight」の聴きどころだ。そして今作にもう1曲収録されたコンビネイションが、シンガーMunehiroをフィーチャーした「万歳!!」。この曲はRaijiが所属するサウンド、Spicy Chocolateプロデュースのコンピレーション盤『東京Ragga Blaze 2』に収録されたゴリゴリのダンスホール・チューンで、タイトにライミングしていくRaijiの勢いの良さとMunehiroの歌声が絶妙に絡み合い、瞬発力ある現場感が楽曲に溢れている。
「こういう曲は、たいていラバダブをイメージしながら作ってます。やっぱ現場が一番好きなんで。今まではずっとそんな感じで曲を作っていたんですけど、最近は聴かせる曲とかラブソングも作ってて。今回なら“Story”がそうっすね。意外とサラっと掛けちゃって、俺って一途なんだなって改めて気づきました…。あ、寒いこと言っちゃいましたね(笑)」
ゴリゴリのDeeJayスタイルで魅了しながら、メロディにのせて歌いあげるスタイルも披露するBigga Raiji。一番影響を受けたレゲエ・アーティストがトニー・レヴェルと発言しているだけに、歌心という側面も彼の特徴であり大きな魅力だ。
前述した楽曲のほかにも、「沖縄の青空の下で吐いた煙がまるで白いドーナッツみたいで」とはじめての沖縄旅行を歌にした「ドーナッツ」、16歳でラバダブに衝撃を受けてから泥臭くレゲエを探求してきた彼のストーリーを綴った「冒険」など全8曲を収録。マイペースで制作しながらも、20曲以上作った候補の中から収録曲を厳選するなど今作に妥協は一切なし。彼が目指すエンターテイメントの回答が、このミニ・アルバムに凝縮されている。
"まっすぐ"
Bigga Raiji
[Tokuma Japan / TKCA-73383]