SOUL REBEL 2008
Text by Hajime Oishi / Photo by Hiroto Sakaguchi
東京の秋を爆音で彩る名物ビッグ・ダンス、「Soul Rebel」が今年も開催。日本人アーティストのみが出演する野外ダンスとしてこれまで数々の名シーンを作り出し、出演アーティストの思い入れも非常に強い野外ダンスだけに、今回も素晴らしい競演が繰り広げられることになりそうだ。
第一回目の「Soul Rebel」が行われたのは2000年。Moominなど何人かのアーティストはすでにメジャー・レーベルからアルバムをリリースしていたものの、まだ現在のように誰も彼もがアルバム・リリースできるような状況にはなかった頃のことだ。この後1、2年でジャパニーズ・ダンスホールの大きな流れが少しずつ見えるようになってくるわけだが、本格的な大波の到来に先駆けて、日本人ダンスホール・アーティストが集結して日比谷野外大音楽堂という歴史ある会場をジャックしてしまったことは大きなインパクトがあった。
僕はこの第一回目を目撃することは出来なかったものの、その模様を収めたライヴ盤『Soul Rebel 2000』はリリース直後に購入して、そして驚かされた。あの巨大な日比谷野音を——数万人規模のビッグ・ダンスが当たり前になった今から考えると想像も付かないかもしれないが、当時のシーンにとって日比谷野音の3,000人というキャパシティーは大きな壁だったのだ——日本人ダンスホール・アーティストが一杯にしているという事実。あぁ、なんか凄いことになってんな。まだライターという仕事を生業にする前だったその頃の僕は、『Soul Rebel 2000』というライヴ盤にただただ打ちのめされ、当日日比谷に足を運ばなかったことをひどく後悔したものである。
今そのライヴ盤を聴き直すと、確かにいずれのパフォーマンスも驚くほど荒削りである。だが8年という長い年月を経て、彼らのスキルは飛躍的に向上し、オーディエンスの数も飛躍的に増えた。そして「Soul Rebel」は、そうしたシーンの推移をリアルタイムで伝える役割を持ってきたようにも思う。
——2008年の夏。筆者は東京在住のため、関東以外のダンスにはなかなか足を運ぶ機会はないものの、アーティストやサウンドマン、関係者の話を聞く限りでは、この夏もジャパニーズ・ダンスホール・シーンは各地で快調そのもの。野外ビッグ・ダンスはいずれも満員御礼、さらに今年は天候にも恵まれて、なかなかイイ感じのようである。
そんな充実した夏を過ごした各アーティストが、その総まとめとして位置付けているのが「Soul Rebel」である。当然アーティストは年間を通して動いているわけだが、ライヴ・パフォーマンスに関してはやはり夏のビッグ・ダンス・シーズンに照準を合わせているところもある。そして、その成果が「Soul Rebel」で披露されることになるわけだ。
出演アーティストについては、左のリストをチェックしてほしい。フレッシュなアーティストからトップ・クラスまで、今のシーンを一日で体感できるとも言える。具体的なアーティスト名は挙げないが、なかにはライヴ・パフォーマンスがトンでもない勢いで深化し、日本人レゲエ・アーティストとして未知の領域に突入してしまっている者もいる。さらにはシーン全体としていい意味で方向性がバラけてきた感じもあるし(僕はポップ方面に広がっていく一部のアーティストをシーンの一部とは見ていない)、ひとつの分岐点を迎えつつあるシーンの現在を今回の「Soul Rebel」で確認できるのではないだろうか。
「Soul Rebel」は来年記念すべき10回目を迎える。第一回目がシーンのその後を感じさせたように、おそらく来年の第10回目はこれからの10年を占う意味でも重要なものとなるはずだ。その前に、今回の「Soul Rebel」でその変化の兆しを感じ取ってほしい。
追記:昨年の「Soul Rebel」開催の際、本誌294号に寄せられた茂呂尚浩さんのテキストは同業の僕でも嫉妬してしまうような名文である。OVERHEATのウェブサイトで読むことができるので、昨年の模様を収めたDVD『Soul Rebel 2007』と併せてイヴェント前にチェックして気分を盛り上げてもらえればと思う。
SOUL REBEL 公式HP
http://www.overheat.com/soulrebel/
[Artist]
MOOMIN
PUSHIM
H-MAN
RYO the SKYWALKER
JUMBO MAATCH
TAKAFIN
BOXER KID
TRUTHFULL from FIRE BALL
SUPER CRISS from FIRE BALL
YOYO-C
ENT DEAL LEAGUE
AKANE
導楽
MISON-B
風
[BAND]
HOME GROWN
[SOUND]
SUNSET the PLATINUM SOUND
MAXIMUM
[MC]
BANA