LORDED / BUSY SIGNAL
[VP / VP1826 / 輸入盤]
ここのところ、出す曲出す曲、大ヒット続きで、すっかり大物の風格も漂ってきたビジー・シグナルのニュー・アルバム。バッドマン時代からDJスキルは確かなものを持っていたが、そんなテクニックの向上は勿論、この3年で人間的にも成長した彼の持てるもの全て出し切ったようだ。因みに本作の音をとりまとめているのはJuke Boxxの他にJam2とDaseca。つまりトラックも最新にして高品質揃いということ。(大場俊明)
INTRODUCING ALTHEA HEWITT / ALTHEA HEWITT
VP / VP2380 / 輸入盤]
クレジットにまで目をやる読者ならば彼女の名前に見覚えがあるだろう。多くの唄物系レゲエ作品にコーラスとして参加してきた彼女のデビュー・アルバム。P.Dillonの「Love That Should Give To Man」やB.Andy「Let Them Say」等のカヴァーだけでなく自身が手掛けたオリジナル曲も多数収録。個性は強くないが、こうした本格的女性シンガーの登場は嬉しい。元Zap PowのDwight Pinkneyらによるサウンドも手堅い。(大場俊明)
MOTHER EARTH / WINSTON REEDY
[COUSINS / MFCD1008 / 輸入盤]
70年代前半よりUKをベースに30年以上のキャリアを持つW.Reedyの新譜。ヘヴィなモダン・ルーツから心に響くラヴァーズまで幅広く良質なレゲエをコンスタントに発表してきたシンガー。本作は全トラックをMafia & Fluxyが担当。A.Ellis「I'm Just A Guy」、B.Marley「Hypocrites」等の名オケを含むロックステディ・テイストのオケやヘヴィなルーツ・オケにラヴァーズ、コンシャス・リリックと多彩に丁寧に歌われている。(楳原豊人)
ONE MOMENT IN PEACE / SEBASTIAN STURM
[ROOTDOWN / RR005-2 / 輸入盤]
一度聴いたら忘れられない声を持ち、シンガーソングライターでもある注目のアーティストの2枚目。前作よりも一皮も二皮も剥けましたね。良い意味で洗練されてレゲエの枠を越え広い舞台で勝負できるクオリティの高いアルバムです。強烈なインパクトを放つ彼の個性は開花目前。全てオリジナル楽曲、良く練られた生バンド・サウンド、使い捨てや消耗の言葉とは無縁の末永く付き合いたいカツオ気に入りました盤。(磯野カツオ)
MAN LIKE I / NATTY
[ATLANTIC / VAP004 / 輸入盤]
新星登場。アコースティック&オーガニック&ソウルがミックスされたレゲエですよ。驚きのデビュー作。発想の豊かさに興奮しっぱなし。今までにない展開、新たなレゲエ細胞の誕生を歓迎します。特質すべき点はナッティのブルースマンを彷彿させる歌唱と疾走感。素直に思う、ナッティに会えて良かったと。アール“チナ”スミスの“イナ・デ・ヤード”シリーズが好きな方にぜひ、聴いて欲しいカツオ大Push作よ。(磯野カツオ)
400 YEARS / MATIC HORNS
[GUSSIE P / GPLP 303 / 輸入盤]
Gussie Pからのホーン・インスト・アルバム。ホーンを担当しているのはEarl-16やMichael Prophet等のツアー演奏も務める実力派トロンボーン奏者Henry 'Buttons' Tenyue。リズム隊はMafia & Fluxy。オリジナル2曲と名曲「Satta」、Light Of Saba「Sabayindah」のカヴァーに各ダブ・ヴァージョンからなる全8曲を収録。ヘヴィなオケとクールなホーン・サウンドのコラボレーションはルーツ・ファンに限らずお勧め。(楳原豊人)
RAGGA TWINS STEP OUT / RAGGA TWINS
[SOUL JAZZ / SJRCD190 / 輸入盤]
80年代後半から活動し、当時の英国を席巻したレイヴの風を大きく吸い込んだレゲエとブレイクビーツの融合を大きく促進させたシャット・アップ&ダンスのプロデュースで登場した2人組MCの初期傑作選。ドラムンベースやガラージュ、ダブステップにも大きな影響を与え、しかも彼らは今も現役活動中という素晴しさ。コレを聴いておくと聴かないとでは、現在のクラブ・ミュージックの聞こえ方、楽しみ方も違うハズ。(飯島直樹)
DUB STARS VOL.1 / V.A.
[ECHO BEACH / ECHO BEACH 069 / 輸入盤]
様々なダンス・ミュージックに影響を及ぼしたDUBの手法が、どの様な形で取り入れられ浸透していったのか? 知る人ぞ知る秘伝のタレの如しダブ・ヴァージョン集です。ニュー・ウェイヴ、ロック、ワールド・ミュージック等あらゆる場所でDUBが景色を変える。ディスコで心と身体をリフレッシュ。決して過去の物だけではありませんよ。時が経てば経つ程ミラーボール回るニュー・ビートや。刺激的コンピレーション。(磯野カツオ)
レゲエ・サウンド/DJロブ・デニーロ
[djhonda RECORDINGS / DHCY-14 / 国内盤]
50 CentやPutbullといった大物アーティストの楽曲のリミックスなどを手掛けているというDJ Rob Dineroがプロデュースした正にタイトル通りな作品。Sean PaulやCapleton、Red Foxといったレゲエ勢をメインにしつつもBaby BlakやBlak Twangといったヒップホップ勢も招きロブならではの独自のレゲエ・ミュージックを追求している。djhondaとも親交が深いようで日本では彼のレーベルからのリリース。(大場俊明)
サンスクリット/サンスクリット
[V.I.Pインターナショナル / BHCR-14002 / 国内盤]
既にHase-T関連のコンピレーションに幾度となく参加しているのでその名は知っている人も多いだろう新潟在住の3人組(DJのShaka-T & Scar-Face、セレクターのPapa-Tosh)の一発目(プロデュースはV.I.Pインターナショナル)。こうしてまとめて聴くと両者の間合いや畳み掛け具合が絶妙だから、彼らが現場を沸かし続けているのもよく分る。Kan Donを中心とした現場仕様のトラックも彼らにぴったりだ。(大場俊明)
PANG 4 YOU/PANG
[カッティングエッジ / CTCR-14590 / 国内盤]
日本各地で(特に若い女性に)根強い人気を保つ女性シンガーの4枚目となるアルバムだが、随分と肩の力が抜けたというか歌い方に力みがなくなった。どの曲もサウンドがすっきりしているので歌い方もそうなったのか分らないが、全曲通してすっきりとした印象が残る。しかもメロディを無理矢理にひねりだしている感じではなくあくまで自然に湧き出た感じ。松竹谷清がアレンジしている「君にききたいこと」は名曲。(大場俊明)
ジャクソン・ラヴァーズ/V.A.
[R.O.L. / キューン / KSCP932 / 国内盤]
未だ話題が絶えない世界的ポップ・スターのマイケルだが、この号が出る頃には丁度50歳の誕生日を迎えベスト盤『King Of Pop』の発売も控える。それに先行してリリースされるジャマイカン・アーティストによる彼のヒット曲、名曲のカヴァー集。さすがカヴァーに慣れっこな人達だけにどの曲もきっちりとしたアレンジと歌唱を披露。このアレンジの方がメロディの良さが引き立って聴こえるのはレゲエ贔屓だから?(大場俊明)
スケッチズ・オブ・ア・マン/ドゥウェレ
[ビクター / VICP-64186 / 国内盤]
3年ぶりの3作目。デトロイトを拠点に、コモンやカニエ・ウェストらとのコラボをこなしてきた彼だが、今作もイイ意味で変わっていない。ドープ&メロウなトラック作りを旨とし、郷愁さえ漂う歌のソウルネスも健在。主流派R&Bのみならず、クラブ周辺との親和性も見せている。大半をセルフ・プロデュースでやり切るが、ボビー・コールドウェル「Open Your Eyes」のカヴァ含め、終始トロけさせてくれる。(石澤伸行)
レイ・イット・ダウン/アル・グリーン
[EMI / TOCP-70510 / 国内盤]
このソウル界の重鎮とクエストラヴやジェイムス・ポイザーがタッグを組んだら、どんなことになるか? 本作は、このワクワクするような妄想をほぼ外すことなく具現化してくれている。メンフィスのブルージーかつ暖かな歌心は作品のド真ん中を闊歩し、それをコリーヌ・ベイリー・レイ、アンソニー・ハミルトン、ジョン・レジェンドらが最大限のリスペクトを以って盛り立てている。あぁ、なんという美しき世界。(石澤伸行)
シャイン/エステル
[ワーナー / WPCR-12941 / 国内盤]
西ロンドン出身の女性シンガーによるセカンド。前作に参加していたジョン・レジェンド繋がりで、彼のレーベルから今作をリリース、カニエ・ウェスト手掛けるシングル「American Boy」がヒット済だ。ウィル・アイ・アム、スウィズ・ビーツ、ワイクリフ、マーク・ロンソンらと共に、デビュー以来一貫した豊かな音楽性をお披露目しつつ、朗らかな歌声で自らの世界観を構築しているあたり、なかなかに逞しい。(石澤伸行)
カール・ウルフ/カール・ウルフ
[EMI / TOCP-66777 / 国内盤]
カナダとドバイを拠点に2年前にデビュー済の彼が、これまでの活動を集大成する形で日本デビュー。TOTO「Africa」のカヴァで露出中の彼だが、本作では、中東フレイヴァを盛り込んだ異色チューンを織り交ぜつつ、米国R&Bのスタイルを身に纏っている。着地点にはポップがあるが、ネプチューンズやティンバランド的な音像上でのヤサ男な振舞いは、時にジャスティン・ティンバーレイクを思わせたりも。(石澤伸行)
マイ・オウン・ウェイ/ジェイ・ショーン
[ビクター / VICP-64185 / 国内盤]
3年半ぶりの2作目。インド系UKソウル・シンガーの彼がスターゲイトやリシ・リッチらと制作したデビュー作以上に、今作は米国メイン・ストリームに照準を合わせた仕上がりとなった。東洋テイストがいかにも「Slow Down」な曲があったり、ニーヨを彷彿させる場面が随所に認められたりと、イマのツボがバッチリ押えられているが、主役はあくまで彼のファルセット。様々な音世界がこの声で束ねられている。(石澤伸行)
マルック・ノー・ファーザー/ケイ・B
[トイズファクトリー / TFCK-87440 / 国内盤]
最近になって話題作が多くリリースされているUKアーバン・シーンに、またひとり新星が登場。本作は昨年末にUK本国で発表済みの作品だが、必殺メロウ曲「Call Cupid」が人気を呼び、ここ日本でも発売と相成った。武器はズバリ、しなやかで甘さもたっぷりのヴォーカルだろう。それが、スティーヴ・ホアン手掛ける、ジョーあたりを彷彿させるまろやかなメロディをなぞっていく様には、抗し難い魅力がある。(石澤伸行)
アコースティック・ソウル/Keyco
[NOS / DLNB-2004 / 国内盤]
新曲に加え、洋楽・邦楽、自らの過去作品のカヴァ等を収めたミニ・アルバム。様々な畑から招かれた、名うてミュージシャンが奏でるシンプルかつリッチな生音路線により、セルフ・カヴァとなる「a love song」や「前に」を新たなアプローチで披露。一方で「カントリー・ロード」「上を向いて歩こう」「花」といった現行国民唱歌を自然体で歌い上げる姿には、彼女の表現力の凄さやシンガーとしての本質をみる様な。(石澤伸行)
RODANTE / CHANCHA VIA CIRCUITO
[ZZK / ZZKCD003 / 輸入盤]
米国の一流カルチャー誌にも大きくフィーチャーされ、いよいよな盛り上りを見せるなか連続リリースが始まったアルゼンチンのZZKからの新作。気の抜けたような、それでいて麻薬的なクンビアのリズムは、ダブステップやテクノ、ダンスホールの陶酔感にもリンクし、その響きは往年のブラック・アークからのサウンドをも想起させる。既にクンビアの枠を越えた、アルゼンチンからの新しいエレクトロ・ミュージック。(飯島直樹)
KAREN P...BROADCASTING / V.A.
[SONAR KOLLEKTIV / SK186CD / 輸入盤]
N.E.R.D、ビョーク、ハーバートら錚々たる先進的才能との共同作業、ジャイルス・ピーターソンも絶賛するDJでありプロデューサー、“ポッドキャスト・クイーン”の異名を持つカレン・PによるDJミックス。これがまた鳥肌モノのアレンジを聞かせる冒頭から、生演奏も含め色んなフォーマットのビートが登場しつつ、その上のヴォーカル/声の魅力にとにかくヤラレる。これだけ声に惹かれるのも最近では珍しいかも。(飯島直樹)
ドライヴン・フロム・ディストラクション/ヒント
[トゥルーソーツ / ビート / BRTRU172 / 国内盤]
今はなきブリストルの先進的ブレイクビーツ・レーベル、オンブレに見い出され、ニンジャ・チューンを経て、現在最もクオリティと勢いのあるレーベル、トゥルー・ソウツからのリリースとなった、5年ぶりの2作目。これ迄通りのエレクトロとブレイクビーツのウォームなミックスに加え、民族音楽的なリズム&サウンドへのアプローチも随所にあり、新しい感覚を聴かせてくれる。シンガー&MCの配置も見事。(飯島直樹)
ソウト・ソー/ナイトメアズ・オン・ワックス
[ワープ / ビート / BRC206 / 国内盤]
英国リーズからイビザに移り住んで制作された、20年選手ジョージ・エヴェアリンの2年ぶり6作目。これまでもレゲエ〜ダブ、ヒップホップの手法を英国人ならではの感覚で自らのサウンドに落とし込んできた彼ならではのグルーヴが、彼の魅力のひとつであるチル・アウト具合に磨きをかけて完成されている。ベテランでありながら全く衰えない作品ごとの新鮮さは本作でも健在で、まだまだ期待を持たせてくれる。(飯島直樹)
スマイル&リーズン/ルーツ・マヌーヴァ
[ビッグ・ダダ / ビート / BRBD123 / 国内盤]
先行シングル「Buff Nuff」の新しさで期待を大きく膨らませてくれた、英国ヒップホップを牽引する最重要人物のひとりルーツ・マヌーヴァの4作目。ヒップホップ、レゲエ〜ダブに加え、本作ではグライムやダブステップなど、新機軸とも言えるエレクトロ・サウンドを早くも自分のものとし、彼独自のファンクネスを更に強力なものにしている。アルバム・タイトルを含めたユーモアのセンスが全体に感じられるのも英国的。(飯島直樹)