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THE MAZE

ROAD TO レゲエ祭 2008
　
Text byHajime Oishi / Photo by iGa-c
　

優勝したKenty GrossとMCのSimon（右）とSami-T（左）
　

Apollo（左）、J-Rexxx（右）
　
横浜レゲエ祭への出場をかけて、各地から集まったアーティストたちがその腕を競い合う「Road To 横浜レゲエ祭」が今年も開催。Bigga Raiji、Arare、Rueedと過去の優勝者はこのトーナメントをきっかけにブレイクしただけに、今回も大きな注目が集まった。
　
　7月26日、横浜ベイホールはオーディエンス、アーティスト、サウンドマン、メディア関係者など多くの人々でごった返していた。いまや日本のDJコンテストでも注目度はトップクラス。例え優勝を逃しても、いいパフォーマンスを披露すればJing Tengの様にブレイクへの道が開けることもある訳で、本編開始前から異様な熱気が会場を包み込んでいた。そんなムードをうまくコントロールしていたCaptain-C20XXのプレイに続き、Mighty Crownの面々がステージに登場。彼らからルール説明が行われるが、会場には「早く始めろ！」とでもいった雰囲気が充満している。観ているこっちまで緊張してくる！
　
　出場したのは、以下の15名。Aブロック：Fortune D、Chehon、Buffman、Koh-Sonsan、J-Rexxx。Bブロック：Mison-B、Apollo、ブッキー・ランキン、風輪、Sing J Roy。Cブロック：Kenty Gross、たなけん、アダチマン、G-Man、強。
　まず激戦となったAブロック。5人それぞれに盛り上げるが、凄まじいヴァイブスで圧倒したChehon、オールドスクールなファミコン・ネタで爆笑を巻き起こしたJ-Rexxxの2人が頭2つ飛び抜けた出来。決勝に残るのはひとりだけのため、急遽2人のDJクラッシュが繰り広げられることになった。個人的に言うと、この直接対決が今年のハイライトだったか。ラバダブ巧者としての意地を見せつけ、ラストには「みどり」で大喝采を浴びたChehonに対し、J-Rexxxは同曲のメロディを借りて「またもや『みどり』に頼っちまった」と返してChehonを撃墜！　
　
　興奮の余韻が残るなか、Bブロックがスタート。ここで抜け出たのは、前評判も高かった大阪のApolloとベテランのSing J Roy。これまた延長戦となり、ここではApolloがサヴァイヴ。パッと見はか細い好青年といった感じのApolloだったが、その堂々としたパフォーマンスがこのラウンドのハイライトを作り出した。
　
　CブロックはKenty Gross優勢の下馬評が高かったものの、彼の前に立ちはだかったのが神奈川から出場のたなけん。酔っぱらいサラリーマン風（？）のスーツ・ルックで、スラックネスとギャグを混ぜた感じでパフォーム。"Sweat" リディムに乗り、ビーニ・マン「Come Again」のフレーズを“たなけん”と置き換えて大爆発する。Kenty GrossはMighty Crownとの“微妙な”関係を逆手に取り、「リスペクトMighty Crownって……ホンマにゆうてんの？」とお見舞い。こちらもKenty Gross vs たなけんの直接対決となるが、多少トーンダウンしてしまったたなけんに対し、Kenty Grossはヴァイブスをキープして決勝戦へと駒を進めた。
　
　決勝に勝ち上がったのは、J-Rexxx、Apollo、Kenty Grossの３人。前ラウンドの勢いからすると J-Rexxx優勢かと思われたが、ここでもキャリアの差が出てKenty Grossの優勝！　流石Kenty Gross、やはり誰よりも大舞台慣れしていたし、その安定した話術からはラバダブで長年鍛えられてきたことがはっきりと窺えた。流れさえうまく掴めれば、 J-RexxxやChehon、たなけん辺りが優勝してもおかしくなかったものの、その流れをガッチリ掴んで放さなかったKenty Grossの上手さが光った今大会と言えるだろう。
　
　それと強調しておきたいのが、Mighty Crownによる適切でスムースな進行。難しいジャッジや機材トラブルにもチーム一丸となって切り抜ける様には、感動すら覚えた。
　本稿執筆時は、「横浜レゲエ祭」まであと一週間。激戦を勝ち残ったKenty Grossがどんなパフォーマンスを見せてくれるか、大いに期待したい。