(U KNOW)What the deal is
普通にNYに暮らしていると、ストリートでヒップホップが起きている気がしない今日この頃ですが、ある意味ではストリートにヒップホップが帰って来ている。一昔前、ヒップホップの黄金期と呼ばれている時代は、実際クラブでもヒップホップを聞く事は稀で、70年代から80年代にかけて盛んだった公園でのジャムも市当局によって許可される事は殆どなかった。しかし新世紀を迎えてから8年経つ今、多くの公園で夏のジャムが行われ、ブルックリンのプロスペクト・パーク、マンハッタンのセントラル・パークなどでは多くのヒップホップのコンサートが行われていて、参加する人々も国籍や、肌の色関係なくこの土地で発祥した文化を楽しめる様になった。しかしながら、ナショナル・レベルでNYをレップするMCは出て来ない?
●今月のジャム1
レイクワンとカパドーナのライヴが、6月19日にミッドタウンはBBキングで行われた。カパドーナのソロのショウは、キング・ジャストをサポートに迎え、ウータンのアルバム収録曲、客演の曲などを中心に行われ、レあイクワンも同様なセレクションだが、更に磨きがかかった飽きのこないショウを見せつけた。ゲストにコーメガ、スリック・リックなどを迎え、NYに残る数少ない"リアル・ヒップホップ"ファン達は、間違っていないというショウを久しぶりに見た?
●今月のジャム2
6月15日にイースト・ヴィレッジのリリシスト・ラウンジなき後、ピラミッドで8年に渡って行われている「ジ・エンド・オヴ・ウィーク」に日本を代表してアナーキーが出演を果たした。言語間のギャップがあるにも関わらず、アナーキーのエネルギーが厳しいオーディエンスにも通じて、会場をロックした。他にポイズン・ペン、イモータル・テクニックが出演した。この企画は海外にもフランチャイズとして進出していて、ブラジル、フランス、ドイツでも同様な企画が行われていて、日本にも今年進出するらしい。日本のMC達、震えて待て?
●今月のリユニオン
6月28日にブルックリンはプロスペクト・パークで、クルックリン・ドジャースの一夜限りの再結成が行われた。元々、スパイク・リーの映画、『クルックリン』、『クローカーズ』のエンディング・テーマで客演したブルックリン出身のラッパー達がこのドジャースで、バックショット、スペシャルED、マスター・エースが初代で、チャブ・ロック、OC、ジェールーがヴァージョン2のラインアップである。ゲストで懐かしい、やはりブルックリンを代表するグループ、チップ・フー、ドジャースのビートを担当したプレミアなどが参加、比較的年齢層が高いオーディエンスのヒップホップな一夜となった?
●今月のフェス
今年で5年目となった「ブルックリン・ヒップホップ・フェスティヴァル」が7月10日から12日にかけて、ブルックリンはダンボ周辺で開催された。初日と金曜日は、アート・ショウ、ヒップホップにちなんだパネル・ディスカッション、写真展などが開催され、最終日は、野外でフリー・コンサートを行った。KRS1、バックショット、ザキ・イーブラハム、インヴィシブル、スミフ・アンド・ウエッスン、チップ・フーなどが出演。DJはやはりプレミアが担当した?
●今月のアニヴァーサリー
ストレッチ・アームストロング、ボビートのラジオ・ショウなどで活躍していたDJ、ロード・シアーが18年の活動を記念して、ウエスト・サイドのクラブAPTで祝った。ヒップホップ黄金期にアンダーグラウンド・レヴェルでその草の根的な運動を続け、NYをヒップホップの首都として代表しつづけるのに一役買った彼だが、DJプレイも健在で、ヒップホップの時代別セレクションから、サウンドシステムに遡るファンクの応酬でファンを魅了した?
沼田 充司
DJ/プロデューサー。 レーベル<ブダフェスト>主宰。 雑誌『ブラスト』でも執筆中。 ニューヨーク在住。 [Photo by Tiger]