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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
ALBUM
 
1. Nas / Untitled (Def Jam)
予告していたタイトル『Nigger』を取り下げて“無題”としたNasの最新作。先行カットされた「Hero」は、旬のケリ・ヒルソン絡み、売れっ子ポロウ・ダ・ドンのトラックという新鮮なもので、掴みはバッチリ。で、予想通り、アルバム全体の内容は(ラスト・ポエツを引っ張り出してきたことからも分かるように?)、コンシャスなものとなっている。サラーム・レミからDJトゥーンプ、マーク・ロンソン、ジェイ・エレクトロニカ(!)、といった制作陣の幅広さもポイントだが、70'sソウルの引用を含め、あちこちに仕掛けのある“大作”だ。圧倒的な“ラップ・アルバム”。
 
2. G-Unit / T.O.S. (Terminate On Sight) (Interscope)
ヤング・バックの離脱こそあったが、最近また“いい感じ”の50 セント率いるG-ユニットの久々の2nd。NWAっぽい冒頭曲から、彼等が“グループ・アルバム”を意識しているのは明白で、トニー・イエイヨー、ロイド・バンクスとのトリオ編成は、さらにタイトなものになった。グループからは抜けたものの、レーベルには在籍しているヤング・バックもしっかり参加(4曲)。ロン・ブロウズ、ジェイク・ワン、リック・ロック、スウィズ・ビーツらのビートも最大限に活かしている。マヴァード参加曲もかなり、黒い。
 
3. Plies / Definition Of Real (Atrantic / Warner)
昨年「Shawty」、「Hypnotized」でブレイクしたフロリダのラッパーの2nd。相性のいいJRロテム制作のジャネット「Come Back To Me」ネタのヒット曲「Bust It Baby Part.2」からも伝わってくる“やさぐれたメロウネス”は、確かにこの男の持ち味の一つで、Ne-Yoとの絡みも効いている。また、トレイ・ソングス、キーシャ・ホリデイ&J・ホリデイ参加曲もいいのだが、リアルなゲトー・トークこそが本作の中核となるもの。人気のドラマー・ボーイらによる“サウス全開”のサウンドもヤバイの一言。日本盤には前作からの2曲(アレとアレ)も追加。
 
4. Three 6 Mafia / Last 2 Walk (Sony)
メンフィスの“アカデミー・ステイタス”グループの延期に延期を重ねた新作。いなくなったはずのプロジェクト・パットらをフィーチャーしたシングル 「Lolli Lolli (Pop That Body) 」も中毒性の高いものだったが、アルバムはさらにディープ。「Low」のヒットで株を上げたDJ モンテイとアンクが絡む「I'd Rather」、故ピンプ・ Cとの「On Some Chrome」、その他にもエイコン、ライフ・ジェニングス、8ボール&MJGL、さらにはグッド・シャーロットまでが登場するため、メンバーが“2人”になったことも一瞬忘れるくらい。ヒプノタイズ・マインズのDJ ポールとジューシー Jのビートも磐石。
 
5. Ak'Sent / Gem-In-I (Avex)
ビーニ・マンがフックを担当した「Zingy」のヒットで、ここ日本でも人気者となった“ストロングかつラヴィングでスマート”な彼女の2作目。“ジニュイン・ミュージック”からのリリースとなる本作では、前作に続きジュークボックス(叔父はブラザース・ジョンソンの片割れ)、J・カリル、グレッグ・パガーニらが、弾けるような主役のヴォーカリゼーションを引き立てたビートでサポート。自身の星座=双子座と、「私の中の宝石」という意味を掛けたタイトルそのまま“陰と陽のアクセント”が効いた内容に。
 
6. Foesum / Still Runnin' Game -Best Mellow Collection- (BMG)
DS455やII-Jとの共演でも知られるロングビーチの大物(元パーフェクション!)の彼らの“初”の日本盤が登場。しかも、メロウ・ベスト、ときた! ピックアップされているのは、スティーヴィ・ワンダー「That Girl」ネタのG・ファンク然とした名曲「Lil Somethin Somethin」から、女性シンガーのフックもいい「Some Things Never Change」、レジェンド=フリオ・Jの語りから始まる「Best Thingz In Life R Free」…と全曲挙げなくてはならないくらい鉄板の曲ばかり。 DJ PMXによるリミックスも嬉しい夏仕様の1枚。
 
7. Grandmaster Caz / Mid Life Crisis (BBQ)
「Wild Style」で知られるブ ロンクスのパイオニアの1人=グランドマスター・キャズが、シカゴのDJパーカー・リーが、何と15年もの間に録りためていたセッションが1枚のアルバムに! オールドスクール期に“王道のラップ・スタイル”を築き上げているレジェンドだけに、その線は崩しにくいのでは、と思われるが、意外と新しいことにもチャレンジしていて、その意味でも楽しい。コールド・クラッシュ・ブラザース絡みの曲も多いし、明らかに1本録りと判る曲での声のデカさ、太さは特筆すべき。あの曲もやってます。
 
8. K-Salaam & Beatnick / Whose World Is This? (VP)
今月の“レゲエ・ファンにオススメしたい1枚”はコレ。NYのビート職人である彼等が“Koch”から'05年にリリースした知る人ぞ知るアルバムの新装盤となる本作は、音といい、側といい(ジャケ絵はDragon)、DVDといい、明らかにパワーアップした内容に。例えばパプースとビジー・シグナルとか、ヤング・バックとシズラ、といった魅力的なセッションが並んでいるのだが(参加アーティストの半分以上はレゲエ!)、ポリスの「ロクサーヌ」をブジュとトレイ・ソングスでリメイクした「Street Life」など普通にヒットしてもおかしくない。これぞ意義あるコラボの良き見本市!!
 
9. V.A. / DJ Shuzo presents Show Time 3 (Samurai)
アジアの“AV8大使”DJ Shuzoのプレゼンツによる“トラックス・クラシックス総ざらい”企画第3弾。前2回は、王道“AV8”モノだったが、今回はその第2世代代表=DJサージ&スナイパーが手掛けたトラックスのベスト・セレクションに。パーティ・トラックスだけに“即効性”がなけりゃ話にならないのだが、流石にどれも「NYのパーティ・ピープルから圧倒的な支持を集めた」間違いないウェポンばかり。スクラッチライヴDJ、だけでなくダンサーも使える1枚。お勧め冒頭にはShuzoのショート・ミックスも収録。
 
10. Dix-T / Rut Sheep (KSR)
レペゼン埼玉のウェッサイ・ラッパー=Dix-Tの1stフル・アルバムが完成。その存在感抜群の風貌そのものの筋の通った男くさい口上をスムースなフロウで聴かせる彼は、確かにステレオタイプなスタイルではない。それだけにゲストの面々=Destino、Mr.Low-D、Mona、XL Middletonらの絡みもいちいち面白く、最後まで楽しめる。プロデューサー陣は、タイプライター、Lil'Ogi、そしてまだ知られぬ存在ながら大半のトラックを手掛けたMoss.Key(MCとしても参加)。サウンド面でも、この展開は新しいのでは?
 
11. Zight a.k.a. Sanzo / Elements Of Story (Daycamp / File)
傑作『Blood Suger Sex Camp』('05)でも知られる異能クルー=Night Camp Clickより、ZightことSanzoがソロをドロップ。「意外でしょ?カシス味噌汁で吐きそう」…などというイルなラインをサクっともぐりこませてくるリリシストである彼は、その立て板に水のスリリングなラップで絶妙に変化をつけながら、ヒップホップ・アルバムらしいアルバムをここに作り上げた(インタールードもいい!)。客演はNCCの盟友たち、サイプレス上野、Steruss、Bes、エムラスタ、Pocyomkin他。兎に角かっこいい、っす!
   
12. Wolf Pack / Gold Exprience (Focus)
大阪の街を破壊したジャケが全てを物語ってはいない“特殊コンビ”Wolf Packの9曲入りミニ・アルバム。テーマは“破壊と創造”。裸体を妄想、ではない。だが、その煩悩はスタンドとなり(言うまでもなくジョジョMania)、ラップとなり、どこかへ飛んでいった。この銀盤はかろうじて矢追純一に見つからなかった貴重なものといえるだろう。濱からの刺客=サイプレス上野とのムーンサルト・ランバージャック・デスマッチ(?)では死人も出た? 盆も正月もカンケーなく、マイクがなくてもラップする、そして布団がなくても寝る、このオーサカ・ゾンビたちに幸あれ!

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