Riddim | NG HEAD / DEEJAY FOR LIFE

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NG HEAD
DEEJAY FOR LIFE
　　
Interview by Hajime Oishi / Photo by Kobayashi Taxi
　

声の持つ破壊力でいえばシーン随一。この夏も「横浜レゲエ祭」、「Highest Mountain」など日本を代表するビッグ・ダンスに軒並み出演するNG Headから、ニュー・ミニ・アルバム『音楽のチカラ』が到着。全６曲ながら、濃厚な聴き心地の“NG Headらしい”音源集となった。
　
　91年に活動をスタートさせながらも、まとまった音源集のリリースは同世代アーティストから遅れを取っていたNG Head。現場では常に絶対的な支持を集めていた彼だったが、2005年のファースト『Head Line』、2007年のセカンド『Head Rock』という２枚のフル・アルバムでは、現場での凄みを音源に刻み込むことにも成功した。レコーディング・アーティストとしての意識の高まり、しかも“一曲入魂”の７インチではなく、アルバム制作に対する意識の高まりが、今回のミニ・アルバム『音楽のチカラ』からは透けて見える。
　
　「気持ち的には毎回いいもの作るだけなんですけど、作り方のヴァリエーションが増えたかな。前回（『Head Rock』）は全体のバランスを取ろうとしたところもあったし、実験もしたから、自分でも手のうちが増えたのは実感します」
　
　今作のイメージの軸となったのが、タイトル曲である「音楽のチカラ」。
　「あるとき、“音楽のチカラ”のサビがいきなり降りてきたんですよ（笑）。オレ、超ひらめき型だから、そこから広げていくパターンが多いんですね。『音楽のチカラ……大地から、命から……あ、いいな』みたいな（笑）」
　
　この曲については「“音楽の力”っていうものは、ダンスに集まってくれたみんなや友達など、誰かからもらってるものなんですよね。オレは16年ずっともらい続けてきたから、今度は還元したいと思って」と話す。ディーン・フレイザーも参加した温かなミディアム・トラックであるこの曲が５曲目。そこまでの４曲は、いずれもハードコアなムードで充満している。
　
　「１曲目（“INTRO〜DeeJay for life〜”）の頭からいきなり銃撃戦ですからね（笑）。ここいらへんはNG Headを知ってくれてる人を裏切っちゃいけないなと思って。１曲目はまずはストレートやろ、と（笑）」
　
　「INTRO〜DeeJay for life〜」のトラックメイカーはDaddy Dragon。以降は、「Murder Me」がスティーヴン・マクレガー、Peter Manとのコンビネーション・チューン「Mission」がドン・コーレオン、「マケ×４」がジャム２。いずれも現在のジャマイカのシーンとリンクしたダークなトラックだが、NG Headは“ハードコアなトラックはお手の物”とばかりに、あのダミ声を響かせている。破壊力に溢れながらも、ひとつひとつ練り込まれた言葉運び。職人芸とも言える上手さ。誰も真似のすることのできないオリジナリティー。一声鳴り響くだけで鳥肌が立つような興奮が、ここにはある。
　
　「“軽いノリでテキトーに作ってやがんな”と思ってほしいですね（笑）。大人が寄ってたかって作ったもんじゃなくて、そう聴こえてほしいっていうか……実は渾身の力を込めてるんだけど。思いっきり投げた球よりも、軽く力を抜いた球のほうがキレるって言いますからね。伊良部（秀輝）はキャッチボールでもグワッ！ってすごい球を投げるんすよ。ある意味、伊良部的なアルバムかな（笑）」
　
　なお今作と同タイミングでは、NG Headが所属するCasino 891のコンピ『Ragga Vegas 2』（NG HeadはKen-Uとのコンビネーション・チューンで参加）、NG Headも縁の深い大阪のラジオ番組『King Size Radio』発のコンピ『King Size Radio CD』もリリースされる。「（制作に関しては）次に目が向いてますね」と話すNG Headから新たなアイテムが届けられるのもそう先のことではなさそうだ。最後に、彼が取材中に残した言葉を。
　
　「早く次世代のトンでもないやつが出てきてほしいですね。上手いヤツはめっちゃいるんですけど、次の（Ryo the）Skywalker、NG Headが出てきてもらわないと。ウチらもどんどんオッサンになっていくんで（笑）」