MISON-B
MISON ON THE BEAT
Interview by Noriko Okabe / Photo by Hiroto Sakaguchi
New Generation屈指の核弾頭“浪花の爆弾娘”Mison-Bが初アルバムを完成。i-Watch、Sunset、Daddy Dragon、Zuraなど書ききれないほどの鉄壁トラック・メーカー陣に、レーベルメイトRudebwoy Face、頼れる浪花の兄貴Kenty Grossも参陣した激濃厚作!
●Mison-Bというアーティストはどうやって形成されたかってことで、どんな環境で育ったか、すごく興味があるんですよ。
Mison-B(以下M):5人兄弟で、私はそのトップ(笑)。育ったのはChehonと同じで大阪の生野区。在日韓国人のコミュニティがあるところですね。ブランドのバッタもんが売ってて、ネギと焼肉の匂いがするとこ。家の近くにネギ専門店みたいなんがあって、めっちゃネギ臭いんですよ(笑)。近所の人らはみんなパンチ効いてますね。喜怒哀楽が激しくて、おばあちゃん世代が生きてた頃は毎日が祭みたいでした。すぐ喧嘩始まるんで。
●歌い始めたのは?
M:堺のTen-gっていうクラブで毎週火曜日オープンマイクがあって、そこからです。パチンコ屋でバイトしながら中途半端やってた時期やったんですけど、Chehonが「なんかやりたいんやったら、毎週ここ来たほうがええぞ」って。それが19〜20歳くらい。周りは男ばっかで血気盛んでしたね。Yellow Choice、Red Spider、Sick Monster、いろんなサウンドの人に教えてもらったり、怒られたり、飴とムチで……。めっちゃ厳しかったんで、ほんまにレゲエやろうって決めたとき、とにかく恋は後回しにしよう、と。まずはマイクやって決めたくらいで。なんやろ……私“激しい”イメージあるんですかね? 自分ではそうでもないと思ってるんですけど、どうです?
●パンチが効いてると思います。今回のアルバムでもアホとかクソとか歌ってるし(笑)。でもそうじゃない部分もしっかり見えてきたというか。赤ちゃんの歌「Sweet Baby」とか、農家の方への感謝の歌「種まき」とか温かい感じもすごくいい。
M:実はアホとかクソとか書くのは難しくて。リスクがあるし、考えてしまう。むしろ温かい気持ちの歌のほうがバーッと書けるんです。人とカブるのが嫌なんでパンチの効いた感じが空いてるんやったら「やったるで」って気持ちはありますけど、自分自身はそこだけやないし。そういう意味ではめっちゃ自分らしいアルバムができたなと思いますね。これまでの23年間を詰め込めたというか。
●ソウルフルに歌い上げる「Yellow Blues」とか、しっとりな「No Cry」とかもグッときました。
M:ブルースとかソウルも大好きなんで、歌い方に出てるかもしれないですね。こういう聞かせるタイプの歌はライヴでも本当は歌っていきたいんですけど、お客さんがシーンとしてるとドキドキして(笑)。ガーッとなってないと不安。そこは今後の課題ですね。
●全体的にリリックの視点が鋭いな、と。“お!”ってなる。言葉に力があるなって感じます。
M:それ、めっちゃ嬉しいです。生きてる中で一番の褒め言葉ですよ。かわいいとかおもろいとか、そんなんより(笑)。言葉はギャグ漫画とか少女漫画とか漫画から刺激受けること多いですね。でも一番燃えるのはやっぱり日本のレゲエの作品。こういうやり方、あんねや!って。先輩方見てるとホンマまだまだやなと思いますよ。
●これからが勝負、と。
M:失うものもないし、ガンガンやっていきたい。失敗しまくって、怒られまくって、批判されても、それが成長するための糧やと思ってるんで。やっぱり続けることが一番かっこいいと思うんですよ。それに勝てるものはない。だからずっとやり続けてる人になりたいですね。
"Mison-Baby's Ina Dancehall Style"
Mison-B
[Speedex / POCE-17006]