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H-MAN
THE LYRICIST 弾丸投句
  
Text by Takashi Futatsugi / Photo by Masataka Ishida
 

 ラップと同様、レゲエDJにとっての言葉とは武器そのもの。その武器を日夜磨き続け、ここぞという瞬間に放つ弾丸は、時にバズーカ砲にも匹敵する。“レゲエ界きってのリリシスト”と呼ばれることも多いH-Man。その言葉に虚飾はない。レゲエ業界初のリリック集を出すならばやっぱりH-Manであるべきなのだ。タイトルはそう、『弾丸投句』。
 
 先月号で紹介した般若の4thアルバム『ドクタートーキョー』の中の1曲「関係あんの?」の中にこんな一節があった…。
 「悪か正義か? まるで政治家 今聴きたいのは何故かH-Man」(前後がなければ分からないだろうが、これがまた実にシリアスで面白いリリックなのだ)
 
 そう、H-Manの一挙手一投足、いや一言一句は、それだけ同業者を含め、多くの「グッとくるリリック」を求めている人種から注目されているのだ。だからこそ、こういったタイトルも可能になったのだろう。『弾丸投句』。そう、最新作となる『ナカナカナイ』の1曲目である「ダンガントーク」をもじった題名の“自身初となるリリック集”のことである。勢いで自身初、と書いたが、恐らくは“日本のレゲエ界始まって以来”のことじゃないか? リリック・シートは、本来“パッケージの一部”として、アートワークの中に収まっていたりするもの。だが、その枠を飛び出して、また違ったカタチで“読まれる”べきものもあると思う。2002年の初アルバム『レゲエ馬鹿道場』以来、年一ペースでリリースされた作品集、6タイトルの中から“フィーチュアリング曲”などを抜いた(要は、H-Manのリリックだけで構成した)作りは、さすがに“詩集”然としたものだ。だが、当たり前のことだが、これらは詩集として残されることを前提に書かれたものではない。そうポエム、ではなくリリック。だからして“声に出して”読む、いや詠むのが正解だろう。そういう“楽しみ方”が出来るのもH-Manならでは、というか。音無しの状態で読み返してみたら、“音(オケ)”が聴こえてくるものがあったり、また違った音がはまってしまったり、と面白い再発見が沢山あった。ストーリーテリングの絶妙さや、言葉のグルーヴにヤラレ直したり、改めて、コレ“金言”じゃないの?と感じ入ったり、と。
 
 この『弾丸投句』は、そんな50編、いや50曲のリリックが“主役”となる読み物なのだが、それだけでもない。本誌でもお馴染み、そしてH-Manのジャケットおよびアーティスト・フォトの撮影も担当されている石田の撮り下ろし写真が挟み込まれていたり、ここでしか読めない“特別対談”があったり、とプラスαの要素でも楽しませてくれるのだから。で、その気になるクロストークの相手だが、これがまた“読めない(予想不可能な)感じ”で面白い。WBA世界ミニマム級王座を7回防衛中のプロ・ボクサー=新井田豊選手が、その相手なのだが共に“Balance Street Wear” のスポンサードを受けていて、そのショウケースで出会った、という縁もあっての参加となった(H-Manは知る人ぞ知る格闘技好き、なのだが)。ちなみにそのチャンピオンから観たH-Manとは?
 「そのとき初めてH-Manさんのライヴも観れて。オレ、音楽のことは分からないんですけど、ライヴまでに至る気持ちの持っていき方とか、(ボクシングの試合と)近いところもあるのかなと思って」というものだったそうだ。そして、この異種口頭戦は、お互いの中に共通点を見出した2人のよく噛み合ったトーク、となった模様。
 
 ノリに乗ったH-Manは、究極のDeeJay像までもを披露することに…。
 「例えばU-ロイとかリントン・クウェシ・ジョンソンとかブルースのマディ・ウォーターズとか、ステージ上で全然動かないんですよ。突っ立ってるだけ」この会話の真意は?(読めば分かる!)
 
 というわけで、今“読みたい”のはやはり(何故か)H-Man、なのである。


 

"弾丸投句"
H-Man
[Overheat / OVEB-0002]

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