Raw Singles
Text by Takanori Ishikawa
Vybz Kartel / Broad Day Light (Big Ship)
「夜中だけでなく、何時でも、何処でもブッ放してやるぜ」のガンマン・チューン。トラックはオリジナル "Day Break"。とにかく、リズム・パターンが秀逸。ソリッドさとポップさを同居させる手際の良さにはいつもながら感心させられる。エキゾチックなシンセの使い方も絶妙。
2. Mavado / On The Rock (Yard Vibez)
"Mission" 使用曲。Jay-Zとのコンビネーション・ヴァージョンはNYでも大ヒット中ですね。Bad Mind批判リリックスで「俺はセラシに導かれ守られている」という内容。その特徴あるヴォイス、スタイルから今回は哀切感が滲み出す何とも言えない1曲。
3. Elephant Man / Nuh Linga (Broad House)
現地でヘヴィ・プレイ中。オリジナル・ジャグリン "Look Gyal"。"KoLoKo"〜"Super Star" 系のドラム主導の音作り。きらびやかなシンセを加えたシンプルなサウンド。ニュー・ダンス・リリックス。
4. Assassin / One Way (Don Corleon)
ミニマルな構成とビートの反復が激クールな "Double Joint"。リズムのパターンと音色はDave Kellyが90年代中期〜後期に制作した一連のトラックにかなり似ている。悪い道に進まない強い心を持て、というコンシャスな内容。B面収録のWaspもヤバイので要チェック。
5. Demarco / Send Dem Home (Juke Box)
シアトリカルなストリングス他のシンセが派手に盛り上げるハード・ジャグリン "Trenches"。ダイナミックなドラムのアグレッシヴなサウンド。お約束のオートチューンでエフェクトをバリバリにかけたヴォーカル。ストレートな凶悪ガンマン・リリックス。
6. R.D.X / Dancers Anthem (APT.19)
シリーズ第3弾。「ダンスでガンガン盛り上がってこうぜ」って内容なのは言わずもがな。のっけからハイプでアッパーに疾走。今回のトラックはかなりパーカッシヴ。問答無用にダンサブルな1曲であります。
7. Munga / Fit And Healthy (Open Ear)
「まずは身体が資本だよな、働きまくるには。そんで、リッチにならねえとな」って感じのリリックス。性急なリズムと煽情的なシンセで前のめりに前進するジャグリン "Peppagrain"。かなり凝ったトラックで途中にアタックしてくるボトムの音色、切れ味は抜群。
8. Sizzla / Re Ya Now (M Bass)
これはヤバいSizzla、ブチ切れてます。アコースティック・ギターに超攻撃的なパーカッション、ドラムの打ち込みが絡んだサウンドが強烈な "Black Blood"。密告者、ポリス、偽善者等へ怒りをたたきつけるリリックス。久々のハイテンションなDJ。
9. Elephant Man & Chris Brown / Feel The Steam (VP
微妙なPVも面白いコンビネーション。ブンブン、ブリブリの重低音でグイグイとドライヴするオリジナル・トラック。歌って躍れるChris Brownとダンス・チューンでブレイクしたEle。想像以上に違和感、イロモノ感なしの好曲に仕上がっています。
10. Pressure / Bless My Soul (Don Corleon)
ミディアム・テンポのオリジナル・トラック "Secrets"。お得意のメロウでゆったりとしたサウンド。今回はギターが大活躍しているのが特徴。女性コーラスを従えたPressureの歌唱は今回も盤石。同時発売のJah Cureもいいっすよ。
11. Luciano / Business Lock (Soul Vybez-Eur)
2008年型ルーツ・ロック・レゲエ。全編生演奏。ヘヴィーなベースラインと唸るブラス。途中でシングジェイも披露するLuciano。心なしかいつもより生き生きと歌っている気もしますね。B面収録のインストゥルメンタルがまた最高。センチメンタルにならずにガッチリ聞かせてくれる。
12. Richie Stephans & Diana King / Close I Get To You (Penthouse)
Roberta Flack & Donny Hathawayの名曲カヴァー。Dennis BrownとJanet Kayのレゲエ・ヴァージョンもありましたね。しっかりとベースも“歌っている”、ナイス・トラック。実はGermainさんは、こういうの昔から超うまいですよね。2人の歌も文句無し。
13. Anthony Cruz / Take It Off (VP)
Roland Alphansoの名曲Ska「Feeling Fine」のリメイク・トラック。原曲に忠実なリメイクでホーンパートも素晴らしい。いつもよりもいなたく迫るAnthony Cruzの歌唱もこのチューンのムードにはピッタリ。60年代の音にしなかったフィーリングを再生させている。
14. Althea Hewitt / Love That Woman (VP)
若手シンガー。今回はクイーン・オブ・ロックステディ、Phillis Dillonの名曲をカヴァー。Trea-sure Isleのオリジナル・テイクをほぼそのままリメイクしたトラックもいい感じ、歌もいたいけで熱意が伝わってきます。じっくり聞くとかなり良いですよ。