THE JOURNEY - THE VERY BEST OF SIZZLA KALONJI / SIZZLA KALONJI
[GREENSLEEVES / GRELCD315 / 輸入盤]
思わずたじろいでしまうほど鋭い眼光(当然赤目)でこちらを正視する写真がかっこ良過ぎるSizzlaのベスト盤。無数の曲をリリースしている彼のベスト盤を作ろうとすればたった一枚で収まるはずもないのだが、彼の最重要曲をここまできっちり押さえているベスト盤は他に無かったかも? 更にオマケのDVDにはRETVとBBCによる自宅でのインタヴュー映像等を収録しているので、全てのレゲエ・ファンは狂喜乱舞。(大場俊明)
BEST OF MAX ROMEO / MAX ROMEO
[MEDIACOM / MED0108 / 輸入盤
過去の代表曲が新録音で蘇りました。プリンス・ジャズボ、ヴァイスロイズ、リトル・ロイ、コンゴス等、全曲様々なゲストが参加。リー・ペリー・プロデュースの名だたる曲は、リリース当時と比べれば角が取れた印象はあります。むしろ、思わず手をあげて合唱してしまう「We Love Jamaica」や人気曲「My Jamaica Collie」の方が円熟の歌唱にピッタリ。懐かしむためじゃなく今のマックスを感じて下さい。(磯野カツオ)
KING EARTHQUAKE MEETS WINSTON FERGUS AT KING EARTHQUAKE STUDIO / KING EARTHQUAKE
[KING EARTHQUAKE / KELP-002 / 輸入盤]
EUで一番のRoar Soundと言っても過言ではないKing Earthquake。彼らのLow Boxは24"のユニットが数十発!とジャマイカや日本で主流の18"はMid Lowに使用するという超ド級のシステム。当然リリースされるチューンはそれを前提に制作される重低音サウンドのHeavy Digital Roots。本作は同レーベルより過去にリリースされた曲に新曲をプラスしたショウ・ケースで全曲システム・プレイ可の必殺チューンばかり。(楳原豊人)
FIRE & RAIN / MIKEY RAS STARRS
[MAKASOUND / MKS21 / 輸入盤]
1970年代のルーツ・レゲエが如何に創造的だったのかを今作が教えてくれる。あまり知られていないアーティスト、でも通りすぎるのはもったいないぜ。レゲエを代表する錚々たるミュージシャンがしのぎを削り鋭い尖った音で勝負。予想もしない曲の展開もあり、ステレオタイプの音楽からはみ出した危険なサウンドさ。マイキー本人はかなり歌の力量を持った人で、スロー・チューンなんて天下一品やねん。(磯野カツオ)
UNIVERSAL ROOTS PRESENTS U.K. REGGAE STARS VOLUME 1 / V.A.
[UNIVERSAL ROOTS / URCD-001 / 輸入盤]
89年ロンドン南部ブリクストンで活動を始めたR.D.K.Hi-Fiが98年に音源制作を始めてから10年。その作品を編集したベスト盤。ミックスはRuss DとManassehが担当。UKで活躍するSandeenoやPeter Roots等による歌もの、Soothsayers Horn Sectionによる深みのあるインスト、個々の持ち味が生かされた楽曲構成。「Such Is Life」のカヴァーや「Smoking My Ganja」のリメイク・オケもオリジナル曲に負けぬ強い個性を放つ。(楳原豊人)
LEAD WITH THE BASS III / V.A.
[UNIVERSAL EGG / WWCD 046 / 輸入盤]
来日の記憶も新しいZion Trainがプロデュースしたコンピレーション・シリーズの3作目。全8曲+各ダブ・ヴァージョンの計16曲で構成されている。Zion Trainは勿論、UKのItal HornsやVibronics、イタリアのMoa Anbessaなどの参加アーティストの中、日本から参加しているUniversity Of Roots & Culture Sound Systemのチューンは必聴。アナログ盤では片面2曲ずつの収録となっており、現場でのプレイに最適。(楳原豊人)
パートナー / ジュニア・ディー&フレンズ
[フォーミュラ / QWCF-10025 / 国内盤]
DJがピンで突っ走る作品も勿論いいのだが、DJがシンガーや他のDJと絡んだ時に生まれるマジックはやはり魅力的。とは言え実際はこの絡み具合のさじ加減が難しいに違いないのだが、そこはラバダブ・マスターJr.Dee、相手がどんな変化球を投げてこようがタイミングを見計らってきっちりとミートしてくる。お馴染みの組み合せによるお馴染みの曲から、目新しい組み合せによる新曲まで実にカラフルかつラガな作品。(大場俊明)
ダブル・シックス / ドミノ・キャット
[リズム・オブ・ダ・シーズンズ / RODS-0006 / 国内盤]
Ent Deal Leagueの火付け役、Domino-Katが、Ken-U、Micky Richに次いでファースト・アルバムを完成。以前の彼はどうも先急いでいる感もあったのだが、この1〜2年でぐっと腰が据わってきたのに加え、あの「Crocodile」(本作では再録音)の大ヒットもあって状態はベスト・コンディションだと思う。そんな彼の今この瞬間の想いを封じ込めたのだからどこを切ってもイキがいいに決まっている。(大場俊明)
スウィート・サウンド/ジンテン
[EMI / ライフスタイル / TOCT-26530 / 国内盤]
どんなに熱い現場であろうと彼の声がふいに聴こえてくるとふっと涼しい風が吹く。しかしそれは場を冷ますものではなく醒ます感じか。決してアクの強い類いの声ではないのに一声で彼と分らせる説得力は大したもの。しかも先行リリースした3枚のシングルは佳曲揃いだったからレゲエ・ファン以外にも彼のこの声は届いたはずだ。そして満を持してのファースト・アルバム、一切の無駄を省いた潔さがいい。(大場俊明)
我流列伝 / メガリュウ
[カッティングエッジ / CTCR-14588 / 国内盤]
プレイボタンを押したとたんに流れ出てくるリュウレックスの甘く爽やかな歌声、そしてここぞというタイミングで絡んでくるメガホーンのたくましいDJ。相変らずと言えば相変らずのメガリュウのこのスタイルだが、このスタイルこそがメガリュウなのだ。応援歌だったり恋愛歌だったりとテーマはどの曲もありふれたものでも、それはそれで彼らにとってのリアルなんだろうし、彼らの世界は確実に築き上げている。(大場俊明)
カザアナ / いとうせいこう&ポメラニアンズ
[アミューズソフト / ASCM-6022 / 国内盤]
ここ数年、いとうせいこうが再びマイクを握っている(アースデイの現場やDJ Bakuの作品での共演作も素晴らしかった)。そんな彼の武器=ファルセット・ヴォイスやラップ、更にDJも堪能できる本作は、ユル系ダブ・バンド、ポメラニアンズと手を組んで制作したもの。きっとスタジオでクスクス笑い合ってたんだろうなあといった感じの空気に包まれていてナイス。サウンドはDub Master Xがきっちりとりまとめています。(大場俊明)
東京ラガ・ブレイズ 2 / V.A.
[徳間ジャパン / スパイシーチョコレート / TKCA-73339 / 国内盤]
夜な夜な東京の街をヤバい振動で揺らし続けているスパイシー・チョコレートによるコンピ・シリーズ第二弾。今回は3つの個性溢れる自前リディムを用意し、それに22人のマイク達者が競い合う濃厚な作り。さらに彼らによるプロデュース作をノンストップ・ミックスで39曲詰め込んだCDも添付されスパチョコの魅力をふんだんに楽しめる作り。因みにインパクト大なジャケのモデルは、ダンサーのPhatty Maria嬢。(大場俊明)
ダイアモンド・レゲエ・ヒッツ 2007-2008 / V.A.
[コヤシ / KHCD-008 / 国内盤]
“Reggae Gold”“Strictly The Best”“Ragga Ragga Ragga”と信頼印のヒット曲集シリーズが英米から毎年リリースされているが、日本発の新鋭のKoyashiも同主旨のシリーズを始めた。その第一弾がこれ。若干のダブりはあるものの、確かな眼力によるセレクションで押さえるべき曲はしっかり網羅。リディム名等の重要なクレジットもきっちりしているし、歌詞・対訳もばっちり付いている等、愛情がほとばしっている。(大場俊明)
ボン・ヴォヤージ・ラヴァーズ 〜サンシャイン・オブ・マインド〜 / V.A.
[ビクター / VICP-64163 / 国内盤]
渋谷Nutsが誇るサタデーナイト・パーティー「Bon-Voyage」のレジデントDJ、DJ Celory(Soul Scream)による前述のパーティと連動したミックスCD。プライヴェイトでも大好評の彼のレゲエ・ミックスCDシリーズだが、こうしてオフィシャル盤がリリースされたことがまず嬉しい。カヴァー曲を織り交ぜた歌ものを中心に、抜群のテクニックでミックス。心地良さを追求したらこうなったといった作り。(大場俊明)
ヒア・アイ・スタンド/アッシャー
[BMG / BVCP-24136 / 国内盤]
4年ぶりの5作目。前作発表後、夫/父となった29歳の男に浮付いた風情は見えない。ジャーメイン・デュプリ、ニーヨ、ドリーム、ウィル・アイ・アム、ジェイ・Z、ビヨンセと、ゲスト勢はこれまで以上に豪勢だが、全米チャートの頂点をゲット済みのシングル「Love In This Club」然り、アルバムの基調を成すミッド〜スロウ曲が描くのは、地に足のついたリアル。じっくり向き合いたい仕上がりになっている。(石澤伸行)
ジャスト・ミー/キース・スウェット
[ワーナー/ WPCR-12830 / 国内盤]
キャリア20年の大ヴェテランが綴る10作目。最近もライヴ作やクリスマス等での露出はあったものの、まさか新作が聴けるとは!との驚きは、アテナ・ケイジやテディ・ライリーらの仕事を耳にして、大きな感動に変わる。これぞ不動の美学! アルバムのどこを切っても、出てくるのはメロウかつ艶やかなキース節だ。ジャジー・フェイ、スリム(112)、RLら後輩たちが集い、師匠の記念作を盛り立てている。(石澤伸行)
ターボ・ナイン・ワン・ナイン/ショーン・ギャレット
[ユニバーサル/ UICS-9090 / 国内盤]
アッシャー「Yeah!」、ネリー「Grillz」、ファーギー「London Bridge」といった大ヒット曲を生んだソングライターが表舞台へデビュー。アグレッシヴなビートの中にあって、くっきりとした輪郭を持ったメロディ展開は、まさに耳に馴染みのあの作風。それを彼による甘めなヴォーカリゼーションが辿る様は、胸キュン度満点だ。リル・ウェイン、エイコン、リュダクリスらツワモノの参加にも、主役の座は渡さない!?(石澤伸行)
オール・アイ・フィール/レイ・J
[ビクター/ VICP-64122 / 国内盤]
3年ぶりの4作目。“ブランディの弟”として10年以上も前にデビューした彼も27歳。当然ながら、アルバム全体にはこれまで以上の色気が漂う。ナヨり気味ながら妖しさも湛えた喉使いは相変わらずで、本作のダークな表情を決めているのも彼のヴォーカルだ。プロデューサー陣には、ロドニー・ジャーキンスやジョンタ・オースティンらが並ぶが、自らも制作に大きく関与、表情豊かな作品構成に貢献している。(石澤伸行)
DUBSTEP ALLSTARS: VOL.6 MIXED BY APPLEBLIM / V.A.
[TEMPA / TEMPACD011 / 輸入盤]
シャックルトンとレーベル、スカル・ディスコを運営し、他とはひと味違う呪術的ダブステップを送り出しているアップルブリムによる、人気DJミックス・シリーズの第6弾。彼の活動拠点ブリストルのアーティストによる楽曲を多く収録し、(特に外側からの)ダブステップに対するイメージを拡張させている。鳴っている音に対して固定的なイメージで縛りを作るほど、つまらない事はないという事に改めて気付く1枚。(飯島直樹)
ZZK SOUND VOL.1 CUMBIA DIGITAL / V.A.
[ZZK / ZZK CD 001 / 輸入盤]
粗雑なアートワークのCD-Rも連発するブエノスアイレスの新興レーベルからのデジタル・クンビアのコンピレーション。アクセル・クリヒエールなど、一部は日本でも知られているものの、まさに“秘境”的とも言えるビート&ベースの独自進化を聴く事ができる。ダンスホール・レゲエやメスティーソ、バイリ・ファンキなどカリブ近海の音楽との親和性は言うに及ばず、イギリスのダブステップにも通じる空気も。(飯島直樹)
TemPlates VOL.1: THIS IS BRISTOL / V.A.
[TEMWA / TW001CD / 輸入盤]
世界で8番目に貧しい国とされているアフリカ南東部のマラウイで、人々に職となる技能を身に付けさせ、HIVやエイズに関する教育をする等のサポートをしているブリストルの団体TEMWAが企画したコンピレーション。ロブ・スミスやDJダイ、ベン・ウエストビーチらの有名どころから、地元を拠点にしているジャズ〜ワールド〜レゲエ系のバンドも参加した、リスナーも含めまずは参加する事に意義がある1枚。(飯島直樹)
ノール・ウエスト・ボーイ /トリッキー
[ホステス / DOMINO / WIG195CDJ / 国内盤]
マッシヴ・アタックやポーティスヘッドと並び“ブリストル御三家”とも評されていたトリッキーの、約5年ぶりとなる最新アルバム。彼が生まれ育ったブリストルのゲットーから取られたタイトルからも伺える、原点回帰的な作品で、ブランクの間に生まれた風が彼の音楽をフレッシュなものとして再び聴かせてくれる。M.I.A.のプロデュースで知られるスウィッチの仕事も最小限で彼の世界をゆがめる事は(でき)ない。(飯島直樹)
ゼブ・ステップ / ゼブ
[ルーディメンツ / RMT-CD010 / 国内盤]
iPodのCMで一気にブレイクしたニコデマス率いるワンダーホイールの看板アーティスト、ゼブによる新作。イタリア人とジプシーの血を引き、現在はニューヨークを拠点に活動する彼のアイデンティティが反映されたミクスチャー/さすらいサウンド。彼が得意とするオリエンタルな空気のダビーなブレイクビーツに、今回はダブステップの方法論も注入。よりヘヴィなサウンドを展開し新たな領域へとその歩を進めている。(飯島直樹)
ダブル・フェイマス / ダブル・フェイマス
[リズム・ソーン / RZCD-45997 / 国内盤]
今年で結成15周年を迎えた(おめでとう!)大所帯バンド通算5作目。約5年間バンドを離れていたヴォーカリスト畠山美由紀が正式復帰、これまで以上に肩の力が抜けユーモアに溢れた“辺境のロックンロール”を聴かせてくれる。ライヴでは定番化の、日本では越路吹雪で知られる「オー・パパ(Shame And Scandal In The Family)」も晴れて収録。本作では初期の勢いこそ薄れた感はあるものの、だからこそ、この先が楽しみ。(飯島直樹)