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Next Vibration
Fresh Dancehall Bands In Japan
 
Text by Ken Koiso
 

レゲエに必要不可欠なものはいくつもあるが、忘れてはいけないのがバンドの存在。ライヴ・イベントにおいても、はたまたレコーディングにおけるミュージシャンとしてもその役割は大きい。彼らなくして日本のレゲエ・シーンはここまで大きくならなかったかもしれない。
 
レゲエの醍醐味はいろいろあるだろう。いわゆるヴァージョン(レコード)をプレイしてやるラバダブ・スタイルもスリリングで楽しいが、こと野外などでのビッグ・フェスとなると、バンド・スタイルでのライブが面白い。アーティスト(シンガーやDJ)とバンド間のタイトな関係性によって生み出される躍動感は、ときによって音源としてレコーディングされた作品以上のものになったりする。
 
日本におけるレゲエ・シーンが定着して早10年近い月日が経つが、その中でバンドの存在が大きな位置を占めていたと言っても過言ではないかもしれない。数千〜万単位を動員するイベントにおいてオーディエンスを満足させられる演奏力、フロントで歌うアーティストによって巧みにアレンジを変え瞬時に対応していく柔軟性、そうしたものを備えているミュージシャン達の集合体。その中でもHOME GROWNの存在は大きい。もちろん彼らが世の中に知られる前からV.I.P BAND、RAGAMATICSといったバンドが活動し、こうしたシーンをあたためていてくれたのだが、HOME GROWNの出現により、彼らとその当時(90年代後半)頭角を現し始めていたアーティスト達(MOOMIN、PUSHIM、RYO the SKYWALKER、MIGHTY JAM ROCKなど現在シーンを引っ張っているアーティスト)との間に理想的とも言えるリンクが生まれ、アーティストとバンドがお互いに刺激し合い、相乗効果が生まれ、現在のシーンの礎が築かれたのだ。ライヴはもちろんのこと、それは作品という形でも残されている。
 
またHOME GROWNを語る上で欠かせないことは、彼らが自身の作品を発表し続けていることだろう。バンド側という別の角度から起用するシンガーやDJの良さを引き出し、数々の名曲を送り出している。大袈裟かもしれないが、こうしたバンドの在り方は、ジャマイカはもとよりそれ以外の諸外国を見渡してもないかもしれない。
 

 
こうしたHOME GROWNの活躍によりダンスホール系のレゲエ・バンドがここ数年増え始めている。いくつか挙げていくと、大阪のビッグ・フェス、「HIGHEST MOUNTAIN」の常連、SUPER TRASH、FIRE BALLのツアー・バンドでもあるJUNGLE ROOTS、一昨年頃から野外フェスでHOME GROWNと並びで起用されるようになってきたSTONED ROCKERS、ヒップホップ系アーティストのバックなども務めるBREDREN BAND、今回自身のアルバムを発表する大阪のSKYLINE BAND、琵琶湖で毎年行われるイベント「MIDNIGHT EXPRESS」の常連RAW TECHNICAZ、東京、埼玉をメインとしながらも徐々に活動の場を広げているALPS BAND、関東を中心にクラブ、ライヴハウスで活動中のCHANNEL LINKS BANDなど。ざっと列挙してみてもこれだけのバンドが存在する。もちろんこれ以外にも数多くのバンドが全国的に存在することだろう。
 
こうしたバンドが新しいアーティスト達とリンクすることによって、近い将来、さらにいいライヴ、素晴らしい作品が生み出されていくことに期待したい。
 
 
Skyline Band
 
Interview by Masaaki Okino
 

 左記の通り関西を中心に様々なショウやレコーディングで活躍中のSkyline Band。3ピースの、しかもハーモニカとアコースティック・ギターとMPCという変則的な編成の彼らがアルバム『ソラノミチ』を完成。彼等の自然体な音楽について聞いた。
 
Skyline BandはハーモニカのTony The Weed、アコースティック・ギター、ベースのBlues Hiroshi、MPCとキーボードのBig Tomの3人が2003年に出会い結成。Blues HiroshiとTony The Weedはそれぞれレゲエ・バンドで活動していて、Big Tomはサウンドマンだったが、Casino891でのNG Headのレコーディングに参加した事をきっかけに音楽制作を本格的に始めたと言う。どういういきさつで結成に到ったのであろう。
 
Tony The Weed(以下Tony):大阪府郊外のあるバーでのイベントで僕と(Blues)Hiroshiが、NG Head君が出るアコースティック形式のラバダブみたいなライヴをやることになって、その時に(Big)Tom君と出会って、そのライヴはほんま、何かが降りて来たような感じがした。それが始まり。
Blues Hiroshi(以下Hiroshi):僕も丁度ダンスホールのスタイルに興味を持ち始めた頃やってんけど、Skylineを始めてから今のシンプルな演奏形態に到ったんです。
Big Tom(以下Tom):身軽やし、極力ややこしいことはしない。MPCもリズムを鳴らすだけやし。
 
●ライヴはどういう形で?
Hiroshi:僕はアコースティックセットの時はギターで、ラバダブ的な時はベースです。
Tony:俺は17〜8年前からずっとハーモニカ。ブルースの影響というより軽いノリで。
 
●結成してからは色々な所でライヴをしたんですね?
Hiroshi:南大阪を中心にバーでのライヴをようやった。Ten-Gというクラブでレギュラーのイベントを始めて、それは毎回1人のアーティストに出てもらって僕らと一緒に10曲とか歌ってもらう。
Tony:Peterman、Chehon、Ice-Koh、Monkey Ken、NG HeadやJing Teng…色んな人に出てもらったよ。Mison-BやBesもその頃からの付き合い。お店、お客さん、南大阪のシーンにはほんま感謝してる。
 
●初のフル・アルバムということで制作には時間かかりました?
Hiroshi:昨年の後半からミーティングはしてたけど、実際のスタジオ作業というのは一ヶ月くらいちゃうかな。その間はかなり集中しましたけど。
Tony:「シカゴ」という曲は何回もミックスし直して苦労もありました。ChehonやMonkey Kenのアルバムで既に使用されたリズムもあるけど、歌は殆どこのアルバムのために新しく録音しました。でも参加してくれた人達はこれまで一緒に演ってた人ばかりだからスムースでした。
Hiroshi:アルバムの流れとしては空〜山〜街〜海という感じになってるんですよ。
Tom:色んなシチュエーションで聴けて、更に子どもからお母さんまで聴けるような音楽を目標にしました。
Tony:まあChehonのアルバムに参加した事をきっかけに作品作る姿勢に力が入ったというのもあるけど、俺の中ではやっぱりTerry The AKI 06と出会ったのが一番大きい。彼を通じて色んなリンクも増えたし。このアルバムも彼のために作った部分が大きい。まあこのアルバムは今のSkylineの記録にはなったとは思う。まだまだこれからもやりたい事はあるけど、今は完成してホっと一息、というとこです。

 

「ソラノミチ〜4 Ever Road〜」
Skyline Band
[Formula / QWCF-10023]

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