Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND
Buju Banton
Greetings Friends,
●ロックステディのゴットファーザー、Alton Ellisの病状をようやく確認することができた。様々な憶測が飛び交っていたので、長い間彼の家族にコンタクトを試みていたのだ。家族によれば、2007年12月に、リンパ線癌の治療のためロンドンの病院に入院したという。この原稿執筆時点では、化学療法を受けているということだった。彼はジャマイカが生んだ最も素晴らしいシンガーの一人であり、膨大な数のレコーディングがある。早く回復することを祈りたい。
●これまで数々のヒップホップやR&Bスターと共演してきたJunior Reidが、1980年代後期「One Blood」以来の人気を博している。かつてBlack Uhuruのヴォーカリスト(Michael Roseが脱退後に加入した)として活躍した男は、Alicia Keysのヒット「No One」のリミックスでKeysと共演しているのだ。この曲はかつてないほどの反響を呼び、ジャマイカのウェブサイト「yardflex」が、Reidのことを「現在、世界で最も注目を浴びているシンガー」だと報じたぐらいなのだ。これは少し表現がすぎているかもしれないが、このリミックスにより彼が新たなファンを獲得することは間違いないだろう。Juniorに幸運を祈る。
●Earl 'Chinna' SmithのプロジェクトでフランスのMakasoundがリリースしている、“Inna De Yard”(ジャマイカ版アンプラグド)シリーズの最新作を聴いた。Mighty Diamondsによるアルバムは、彼らのChannel One時代の名曲を並べたもので、今でも新鮮さと純粋さを保っている。彼らの音楽は、以前と変わらぬチャーミングさと美しさに満ち、アコースティックでシンプルなサウンドがより彼らのヴォーカルを際立たせているのだ。是非オススメしたい。
●Albert Griffithsの息子でドラマーのAlは、病気により引退を余儀なくされた父の代わりにThe Gladiatorsでヴォーカルを務めるようになった。同じような道を故Jospeh Hillの息子Kenyatta Hillも歩き始めている。亡き父の跡を継ぎ、長き歴史を誇るCultureのヴォーカリストの座を守っているのだ。Kenyattaは、ドイツでのツアー中に彼の母親とバスで何気のない話をしている時、父の呼吸が前触れもなしに止まったと話している。Cultureの新しいアルバムは制作途中であり、彼名義のソロ・プロジェクトもリリースされるらしい。Jospeh Hillのような偉大なシンガーの代わりを見つけるのは不可能だが、Kenyattaの声が父と区別がつかないほど似ていると言われている。早く、新生Cultureのライヴで観てみたい。きっとKenyattaは、Joesph Hillがルーツの真のスターであったことを証明するようなステージをみせてくれるだろう。
●Buju Bantonの『Inna Heights』(このアルバムによって彼がBob Marleyの跡を継ぐ者と騒がれた)が今年で発売10周年を迎える。これを記念して、VPがボーナス・トラックとDVD付きの豪華なアニバーサリー・エディションを発売した。僕はBujuの作品の中で本作を特に好きなわけではない。なぜ、このアルバムだけが特別扱いを受けるのだか理解に苦しむ。だが、デラックスなパッケージはファンにとってはうれしいのだろう。
Alton Ellis
●6月にはJah Cure、Beres Hammond、Luciano、Queen Ifrica、Taurus Riley、Dean Fraserの大規模なヨーロピアン・ツアーがある。絶対に見逃すことができない、素晴らしいラインナップだと思う。
●Virgin Atlantic航空のUK〜ジャマイカ路線の開通を祝って、Virginの社長、Richard BransonがBob Marley「One Love」のニュー・ヴァージョンを自らレコーディングしたらしい。Stephen Marleyがプロデュースを、I-Threesがバッキング・ヴォーカルを務めた。録音はなんとTuff Gongスタジオで行われたようだ。一体誰がこんな無意味なことを考えたのだろうか? Bransonは億万長者であるが、歌に才能があるわけではないのだ。結果にはあまり期待しないほうがいいと思う。
●1970後半〜80年代前半にかけて、True Persuadersという3人組がソリッドなルーツ・ミュージックを7インチでこっそりとリリースしていた。当時、僕らのような人間がそれらを熱心に買い集めていた。実のところ、彼らについて僕は全く知識がなく、グループもいつのまにかどこかへ消えてしまった。彼らの名が再び浮上したのは4〜5年ほど前。ニューヨークでDuplex MusicスタジオのDavid Ondrickが前述のグループ・リーダー、P-Tah Kruudに、彼らのダブ・アルバムの話を持ちかけたのだ。Ondrickはサックスの名手で、Coxsone DoddとRoland Alphonsoとニューヨークでレコーディングしたこともある。メロディカをP-Tahが担当し、Ondrickはサックスを吹き、ダブ・ミックスを完成させた。この結果が2004年リリースの『Old Dub Box』だ。限定発売だったが、そのVol.2も翌年リリースされた。この2作を合わせた『True Persuaders meet David and P-Tah; Old Dub Box』が現在、ウェブサイト、duplexmusic.comで発売中だ。ルーツ・ダブ系が好きなリスナーにはなかなか魅力的なアルバムだろう。
Till Next Time................
(訳/Masaaki Otsuka)