Rickie-G
Everybody Needs Love & Harmony
Interview by Eiko / Photo by i-Gac
伸びやかで力強くソウルフルな歌声、時に甘く、時に強く自らの想いを歌い上げるシンガー、Rickie-G。待望のファースト・アルバムをリリース! 彼ならではの優しさから生まれた物語『am 08:59』に感嘆。プロローグからあとがきまで、その読後感に大満足♪
宅配便の手違いによりインタヴュー当日の午前に届いたCDを慌ただしくプレイヤーへ。スピーカーから流れるは……その演出が実に印象的な1曲目がプロローグとしてこの『am 08:59』という物語の主題を示唆させつつスタートした。
「8:59は僕の生まれた時間でもあるんですけど、人生が24時間だとしたら今だいたい9時位かなって。1stアルバムで、スタートだし、生まれた時間で、8:59が良いかなと」
これ迄のリリース曲のアルバム・ヴァージョンを含む全11トラック。中でもひと際輝きをみせる「No Peace No Life」。本作唯一のフィーチャリング・ディージェイ、Chozen Leeと共同制作したというこの熱きメッセージは既に巷で話題になっているようだ。軽快なダンス・トラックに乗る明確なリリックに納得し、次世代に勇気づけられる。どうしたってアゲられてしまう名曲が誕生した。
「平和について歌いたいっていうのがあって、平和のシンボル的な歌があったらいいなって。そしたらChozen君しかいないなって。昔から好きで、ダンスホールを聴かない人でもくると思うんですよ、あの人の言葉」
「ピースってスゴい深い言葉だと思うんですよ。同じ響きで欠片(Piece)と平和(Paece)。一人一人っていうPieceがあって、みんなの平和に繋がってるって」
プロローグから一貫したイメージのこの物語は中盤の変化球「スターオアダスト」で刺激される。仮想ビッグスター☆Mr.ナルシスター(笑)のストーリーがシニカルに語られる。興味を引くリリックの作りやギター&オルガンのうねり満載な黒きグルーヴィ・サウンドが非常に楽しませてくれる。
「今回のプロデュースはYozo(Rickie-G Band)と僕。だいたいこうなるだろうっていう予測がつく人が一人いてくれるって凄い作り易かったし、新しいものが出来たと思う」
同様のテーマを持ちながらも前出「No Peace 〜」と対照的なアプローチのリリック「Game」では辛口直球メッセージを投げながらも忘れがちな表現の自由に感謝。本作タイトルにも影響した“一日一生”という言葉や輪廻、そして物語の主題を深く考えさせてくれるカヴァー曲(原曲はサヨコ&D・ボーヴェル)「Born Again」でみせた新しい顔は実にアジア的だ。
「童謡っぽいのが好きなんですよね。日本の小・中学校に通っていたから、どっかで、音楽の授業とかで、好きなのって。簡単なああいうメロディってどっか残っていて、それに近いな」
タイトル曲「am 8:59」によりその物語は幕を閉じる。エピローグ的エンディング、見事なインスト「Close Your Eyes」の後、部屋には静寂が訪れていた。最高の演出ではないだろうか。巻末のあとがきを読むが如く、その読後感に浸り、作者の思いを考察する時間を持つ事ができる。というか、持たされる。なんて心地良いのだろう。
「自分から最初に出てきたモノはこれだから。思って来た何か、こう、気持ちであったり考え方や思想であったりとか、汚い部分も綺麗な部分も苦しみとかも全部、とりあえず出し切ってみました」
Rickieの歌の上手さは周知の事実だが、イケメン(?)シンガーの1stアルバム、どうせ甘ったるいんだろう、なんて高を括った自己を反省。そして感嘆、感謝。一つの作品としての完成度の高さ、そのサウンド、メッセージ、ヴァイブス…何をとっても極上ぢゃあないですか。am 8:59の人生観、彼ならではの優しさの詰まった物語。一冊の小説を読み終えたような、何かが心に残っている。Rickie物語、続編を心待ち♪
"am 08:59"
Rickie-G
[Riddim Zone / RZCD-45813]