The Hello Works
THE HELLO WORKS ...... SCHA DARA PARR, SLY MONGOOSE, ROBO CHU ......
Interview by Hiroshi Egaitsu / Photo by Kenji Miura
スチャダラパー、スライ・マングーズ、そしてROBO宙。意匠からしてノベルティ、として敬遠する向きがいるのも分かる。なぜなら、2007年、ノベルティに金を払うほど誰もが余裕がないから。UBSに勤める人間から、僕の住む地域の商店街の人間まで。洒落た遊びとノベルティは違うでしょ。貰うんならいいけどさ。だから、ストレートフォワードなインタヴューになりました。是非最後まで読んでみてください。
●バンドにラップ、バンドとヒップホップ、ということに対して、どの程度の音楽的な目算があってこのプロジェクトは始まったのでしょうか?それとも仲間同士の自然な交流からスタートしたのでしょうか?
BOSE:やっぱり、タイミングがさ、自分たちのバンドが忙しいしさ、(コラボレーション)出来ない、出来なかった、というのが大きいかな。やりたいよね、って言ってたのは昔からなんだけど。
笹沼:方々で言ってるんだけど、スチャダラパーのライヴに俺がベースで参加したり、イベントで対バンになったりして、そういう時、せっかくだからお互いの曲2、3曲やってみようよ、っていうがあって、それが結構面白くて大きくて。
BOSE:関係ない(交流ない)バンドとフリースタイルでやったりする機会はあってさ、それとまたスライ・マングースとやる機会もあってさ、そうすると、やっぱりマングースの演奏って凄い!ことに気がつくわけ! 他の人のバンド、ラップとバンド、まぁ、いいよね、ってなるわけだけど、でもスライ・マングースでやると全然かっこいいものになるわけ。他の人のバンドだって優秀な人が集まってやっているわけなんだけど〜、全然、感じ違うジャン、っていうことになるから。
●それはラッパーお二人だけではなく、サウンドをSDPで担当されているスィンギング・シンコさん的にも容認出来る感じだったのでしょうか?
SHINCO:去年のアルバムから笹沼氏とは一緒にやってるんだけど、打ち込みの音をバンドで忠実に(笑)やってみようって……僕の作っている音楽って、すかすかの音楽だから、それを生演奏でやると、聞いたことのない音楽になるんですよね。
笹沼:音楽的な、ミュージシャン的なこだわりってなくて、そういう大学で音楽勉強したような人たちとは違ってさ。バンドでリズム・マシーンに徹したりするのが、面白がれる方だから。普通にやるのは出来ちゃうんだけど。“抜きの美学”だったり、そういうところが好きだから。で、音楽の定義を壊すとかそういう大仰なこと考えてやっているわけではないんだけど、現時点で出来るのものをさ、自分たちの思い込みも含めて、それをずばっと録音するっていうことだからさ。で、それが作品として出てくるまでに2、3ヵ月の時間があるから、その間にも考える訳、“こうしたかった、ああしかった”とかさ、でもさ、それも現時点での思い込みであってさ。
●ウディ・アレンのインタヴューを見ていたらね、ロンドンに移住する前ぐらいのものだと思うんだけど、“俺の今まで作った映画は1本も好きじゃない、でも、作り続けていくしかないんだ”っていうのがありましたけどね。
BOSE:〆切とかさ、色々なプレッシャーもあってもさ、何がなんだか分からないけど、出しちゃった、っていうのが重要でさ、結局何も出さない人は、始まらないでしょ?……その結果、“うわ、やっちゃった!”っていうのはあるんだけど、それも含めて重要。
笹沼:いや、一時はね、本当にさ、これ以上恥の上塗りをするのか、とかさ。みんなそうだと思うんだけど、でもさ、それを払拭するには、次にいいのを作るしかないからさ。
ANI:ないね〜。
BOSE:それはそう。人前でラップしたかどうかは大事。それで作品が残ると、もう続けていくしかない。
笹沼:今はね、面白いバンドもいるし、そのなかでやっていくのは大変。自分たちは面白いと思っても、海外で流行ってたりするかも知れないから。明らかな引用とは違ってさ。
●THE HELLO WORKS、タイトルが“PAYDAY”ということも関係ありますが、大人のヒップホップという言葉について……Q-ティップもかっこいい大人の代表の1人だし。
BOSE:それ考えるとさ、DJケオリのCDオリコンで1位なんでしょ? 今度和物作ったんだよね? 大人のヒップホップっていうかさ、大人? XXXX?のヒップホップが一番凄いっていうかさ!
●あなたそんなこと面と向かって言えるんですか? ケオリさんは偉いですよ!
一同:偉い、偉い(噛み締める感じ)。
●今でも昔のよしみで取材とかさせていただく時も優しく接してくださるし……でも、まだニューヨークに住んでた時に自宅に遊びに行ったときは、いじめられたな〜。
BOSE:あっちはもうばーんって感じでいいな、と。男が30代になってもじもじしている場合じゃないのにさ。僕たちが、本当はああいう感じでいかなきゃいけないのにさ、選曲とかも含めてね。
●(再び)ケオリさんは偉いですよ。
一同:偉い、偉い。
BOSE:ヒップホップというか、僕たちがどういう音楽をやるのか?っていうことだと思うんだけど。
僕はTHE HELLO WORKSがレコーディングしている時にセッションを1回見ている。“ブルースロック”みたいな単語も出ていたはず。単純化すれば、20代で成功するのはすごくいいことだと思う。そして、問題なのはその後どう生きるか、だ。なぜなら死なない限り、どの20歳も40歳になるのだから。知ってましたか? 今20歳の方? このアルバム、大音量で聞いてね。
"Payday"
The Hello Works
[Tearbridge / Avex / NFCD-27063/B]