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Wayne Wonder
Foreva
  
Interview by Minako Ikeshiro / Photo by Jonathan Mannion
 

90年代の頭から活躍し、「頼りになるダンスホール・シンガー」として地位を確立したのがウェイン・ワンダーだ。新作『Foreva』は期待通りの仕上がり。気持ちよく聴き通せるうえに飽きさせない。歌声どおり、爽やかで温和な彼に、新作に対する思いを語ってもらった。
 
●タイトルの『Foreva』にはどんな思いを込めたのでしょう?
Wayne Wonder(以下W):俺の仕事はコレだ、と思って歌い始めてから、ずっと身を捧げてやってきた。これからもどこにも行かないで、心を込めて歌うつもりだから、このタイトルにしたんだよ。
 
●今回、何か新しいことにチャレンジしました?
W:いや、特に新しいことをするつもりはなくて、逆にいつものウェイン・ワンダーらしい音を高めるように心がけたんだ。「Take It Off」はトピックが今までとちょっと違う感じかな。ジャマイカの(ミスター・)チキンをフィーチャーしているんだけど、彼はなかなか才能あるよ。
 
●「Original Share My Love」がヴェテランらしくて特にすばらしいですね。
W:あれはリディム・フィンガーと一緒に俺が作ったんだ。本物の楽器を使っていて、いい感じでしょ。もう一つ、ヴァージョンがあるんだよ。
 
●「God Bless You Baby」の中であなたのファースト・アルバムのタイトル“Original Boom Shell”と言っていますね。そもそも、あれはどういう言う意味なのでしょう?
W:あれはウェイン・ワンダーが好きなスラングで、“最高!”っていう意味の褒め言葉なんだ。バウンティ・キラーの“カブーン!”みたいな感じかな。
 
●以前、「90年代の中頃に意識してカヴァーを止めた」と言っていましたが、トンプソン・トィンズの「Hold Me Now」をカヴァーしましたよね?
W:映画のサントラ用に最初から発注があったから歌ったんだ。ビジネスのためにやるけれど、自分のチョイスでカヴァーは絶対しないよ。そういう仕事がこなせるようになったのも、成長した点だと思うけど。
 
●なるほど。本作で力を入れた点は?
W:ほとんどの曲をコ・プロデュースしているところかな。スタジオでプロデューサーと一緒に座って作業に取り組んだ。レコーディングも自分でやってエンジニアリングも手がけている。エンジニアの作業は、前からもう出来るようになっているし、自分でやれば待つ時間が省けるでしょ。
 
●「No Letting Go」がビッグ・ヒットしてアメリカなどでも有名になりましたが、新人として扱われたことはありませんでした?
W:少しはあったけれど、「No Letting Go」を手がかりに俺のバイオをチェックして以前の曲まで聴いてくれる人も多かったから、すごく良かったと思う。
 
●自分と近い立場にいて、共感を持っているアーティストはいますか?
W:俺はみんなをリスペクトしているし、誰とでも仲良しだよ。共演の機会があったら誰とでもやるし。
 
●本作はいつに増してメロディーが立っている曲が多いですね。曲作りのパターンを教えてください。
W:トラックを聴いたらまずメロディーが浮かんで、そこからリリックを作るパターンが多い。いったん、浮かんだら後は早くて、わざわざ書き留めないで仕上げることも結構よくあるよ。
 
●現在のジャマイカのシーンはどう思っていますか?
W:俺は曲の質にすごくこだわるタイプだから、今みたいにそこそこの出来の曲が多いのはどうかな、って思っている。それもあっていい曲が自然と目立つようにはなっているけれど。
 
●前作から4年空きましたよね。実際の制作にはどれくらい時間をかけたのでしょう?
W:いつもスタジオに入っているから、計算しづらいなぁ。これはアルバムのため、とかわざわざ考えないし。今回、お互いの相性がよくて全体がまとまるように曲を選ぶのに4、5ヶ月かけたかな。
 
●今回もところどころサプライズ(彼のDJ名)が入っていますが、サプライズにスイッチするのは大変?
W:簡単だよ。DJのリリックを書くのは昔からやっているから。ブジュ(・バンタン)の「Deportee」や「Murderer」なんかをブジュとコ・ライトしたし、フリスコ・キッドにも曲を書いたし。ほかのDJに頼まずに自分でサプライズとしてやっちゃえば自給自足で簡単でしょ。
 
●サプライズとウェイン・ワンダーに違いはあります?
W:あるね。サプライズは俺の一部だけど、もっとハードコアなんだ。俺はキングストンの東部で育ったから、それがサプライズとして出るんだよね。日本でも結構人気あって、ダブ・プレートをやる時も「サプライズもちょっと入れてほしい」ってサウンドマンに言われるよ(笑)。
 
●ペントハウス時代を振り返ってどういう感慨がありますか?
W:今、振り返るとチャンスを与えてもらったし、アーティストとして育ててもらったところだから、ありがたいと思っているよ。まぁ、学校みたいなものだったね。ペントハウスを離れてからデイヴ(・ケリー)とやっていたんだけど、自分をもっと表現したくなって、離れたんだ。今はしょっちゅう話すという間柄ではないけど、ビーフがあるわけじゃないよ。
 
●最後に、この世界で最前線に立ち続けるのに必要なことを教えてください。
W:音楽ビジネスでは忍耐力が必要だ。働き者じゃないといけないし、完全に没頭して音楽を作れる資質が大事だね。
  
"Foreva"
Wayne Wonder

[Victor / VICP-63960]

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