Raw Singles
Text by Takanori Ishikawa
Baby Cham / Conscience (Don Corleon)
快調なリリースが続く当レーベルの新作“Silver Screen”。映画『The Vagabound King』のサントラ曲調のメロがアクセント。全体には“Eighty-Five”にスピード感をプラスした様なサウンド。不毛な殺し合い、撃ち合いを批判するリリックス。
2. Assassin / Sissy (Don Corleon)
“Silver Screen”。オーケストラ・ヒットのリフと叩き付けるビートにガッチリとかみ合う彼のDJ。女性の様な服装や行動をする男性、男らしくない男を批判。このリリックスがウケるって事は、そういう男がいっぱいいるって事ですよね。今風のトピックです。
3. Vybz Kartel & Voice Mail / Play Thing (Baby G)
Tuff Gongから既発の“Gang War”で追加リリース。何時でも、どこでもかかってきやがれのBadmanチューン。ミリタリーなリズム上で主役はKartelなれど、Voice MailもDJパートを交え、存分に存在感をアピール。
4. Lady Saw & Demarco / Love Song (Baby G)
Akonの世界中でヒットした「Don't Matter」のカヴァ−。エフェクトかけまくったヴォーカル・パートもやり過ぎだけど面白いっす。それに対応するリリックスのSawのDJもヴェテランの味。盤石です。オリジナルのミディアム・トラック。ベースが良いです。
5. Vybz Kartel / Tight So (John John)
オリジナル・ジャグリン“Big Up”。伏線、ギミックなしのサウンドで剥き出しのビート。反復するリズムのこのクールネスはブラック・ミュージックの醍醐味っすね。ストレートな下ネタ・リリックスを卓越したスキルで。
6. Munga / When My Gun Rise (Heart Of Love)
ガンマン・チューン。一度、やる気になったら皆撃ち殺されるぜって感じの内容。バッドな自身をアピール。「When My Gun Rise〜」のコーラス・パートが耳に残る事必至。浮遊するキーボードとタイトなボトム。途中でビートが一瞬変化するのも激ヤバな“Atomic Bomb”。
7. Ward 21 / Mash Up (Slam)
まるでパーカッションなギター、キーボード、そしてズーンと響くドラム。プリミティヴなパターンを現在形のダンスホールに変身させたナイス・トラック“Top 100”。シンプルでパンチがあります。Bad Mind批判ソングをイケイケのコンビネーションでDJ。
8. Alozade, Kiprich, Chino / The Song (Enrapture)
オリジナルWickedジャグリン“Swizz Bank”。名前通り、Swizz Beats「Money In The Bank」のサウンドからインスパイアされたダンサブルな音作り。イントロはLil'Scrappy「Money In The Bank」似。Rihanna「Unfaithful」の替え歌Bad Manチューン。かなりカッコイイです。
9. Chuck Fender / Where Were They (Yellow Moon)
ルーツ系ミディアム・トラック“DST”。ほぼ全てが生演奏でしょう。ドラムはモロに70'sスタイルで、Mixもダブワイズ有りのオールド・タイミーな仕上り。味のあるノドを全開に力強いシングジェイ。本当に必要な事、大事な事は何なのかを人々に問う内容。
10. Junior X / Modern Day Pharaoh (Tiger)
哀愁系ルーツ・トラック“Ol Sittin”ヨーロッパのレベールらしいアレンジメントでメロディアスなキーボードが特徴。ゴリゴリとした感じは極力控えたサウンド。現代のファラオとはバビロンである、苦難の源もそこから産み出されている等々のコンシャス・チューン。
11. Da'ville / Don't Break My Heart (Washington Project)
以前紹介した“Cool & Deadly”リズム使用曲。ホーンもガンガン歌うメロウ・ミディアムなれど、リズムはビシっと締まっています。女性コーラスの美声がDavilleの歌を一層引き立てる。愛してるんだから、傷つけないでくれよとスムースに歌唱。
12. E-Dee feat. Irie Love / Revolution (Unseen)
紹介が遅くなりましたが…。現地FMパワープレイの1曲。Dennis Brownのエヴァーグリーンな“Revolution”リメイク・トラック。歌もカヴァーで、それにDJが絡む。ヘヴィーなオリジナルの魅力を引き継いだ素晴しい焼き直し。団結だ、革命だ、現状を打破する為に闘え…のメッセーゾ・ソングです、因みに。
13. Luciano / Mr.Shotta (Ras Heart)
ドラム&ベースはかなりR&B寄りのトラック“All Nation”。特にドラムはソリッドでファンキー。それにビンギドラム等、ルーツ・レゲエのサウンド要素をミックス。違和感を全く感じさせない上手な仕上げ。銃で人を傷つける奴らを題材にした切実な歌。
14. 2 Face / African Queen (MG45)
ナイジェリアのシンガー、ジャマイカでも人気のチューン。弾き語り調の歌とギターにドラムの打ち込みと極々シンプルな音作り。アフリカ色は皆無の曲だけど、このいなたさ、ストレートさはクセになりそう。今時こんなに純なラヴ・ソングも珍しい。スウィートです。