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295    COLUMN    PLAY IT LOUD

KEEP IT DUBBED / BLUE KING BROWN
[VILLAGE AGAIN / VAAA-0003]
パンチの効いた女性ヴォーカルとロック・スピリッツ&レゲエの融合が魅力のバンドです。今作は敢えて自分達の姿を曝け出すダブ・アルバムに挑戦。それは必然。本能の赴くままにレゲエに磨きをかけました。パーカッション主体のミックス曲等、身体を内面から揺らし気持ちが沸き立ちます。エフェクト効果に頼る事なく、ライヴ感を重要視。レゲエ・ファンにはお馴染みの「No, No, No」のカヴァー収録。[輸入盤](磯野カツオ)
 
ILLEGAL IMMIGRANTS / URBAN DUB
[URBAN DUB MUSIC / UDUD964]
最早UKニュー・ルーツの枠を飛び越えたアーバン・ダブの新作です。1曲1曲変化に富んでいて脳内刺激満点。しかも焼き直しリズムを使用しないオリジナル・サウンド。創造、工夫、心意気がダブに生命を与えています。フリー・ジャズの様な行き先の予想が難しい、激しく、美しく、ストーリー性のある世界に惹かれます。根っこはレゲエですから、太い幹に支えられた枝葉は限りなく伸びて行く、好盤。[輸入盤](磯野カツオ)
  
OIL & WATER/ LONE ARK
[A-LONE PRODUCTIONS / FAK 055]
モダン・ルーツ発祥の地UKをも凌ぐ勢いで次々と新作を発表するEU勢。スペインを本拠地とする同レーベルが現地ヴォーカリストを多数起用し、全曲生音によるワン・ドロップを基調とした正統派ルーツをリリース。シングル・リリースされたロッド・テイラー「You 're Going Away」のオケを使用した女性ヴォーカルのA-3は是非シングル・カットを期待。Kenny Knotsも参加。同時発売のダブ・アルバムもチェック。[輸入盤](楳原豊人)
 
NON STOP MIX / LLOYD BROWN & PETER SPENCE
[DIRECT IMPACT RECORDS / DIR-1008]
この春、初来日をし話題となったL・ブラウンとUKレゲエ・ファンには御馴染みP・スペンスの技巧派2人による、全28曲をNon Stop Mix。トラックメイカーに旬のビティ・マクリーン等が参加しAswad「ウォリアー・チャージ」D.Brown「ブラディ・シティ」等のルーツなオケやロックステディオケを使用し、その独特なスタンスで人気のダイレクト・インパクトが緩急自在にMixした。まさにAll For Oneな作品。[輸入盤](楳原豊人)
 
MONSTERS OF DANCEHALL / NINJAMAN
[GREENSLEEVES / GRELCD610]
80年代後半に登場し、その恐るべき唇から弾丸の如きリリックを発し続けた正真正銘のバッドマン、ニンジャマンの黄金時代のチューンをまとめたベスト盤。ジャミー、ジョンジョ、ジュニア・リード、ガッシー等によるダンスホール然としたトラックに天才的なノリで応酬。今聞けば当然懐かしくもあるけれど、同時に新鮮さも感じた。若きラガマフィン達にはぜひに押さえておいてもらいたい曲ばかり。[輸入盤](大場俊明)
 
WHERE IS LOVE MANKIND / ROD TAYLOR
[GREENSLEEVES / GREWCD17]
遂に、私の大好きな、ロッド・テイラーの名作が復刻。プロデュースはヘンリー“ジョンジョ”ローズ、バックはルーツ・ラディックス、ミックスがサイエンティストとくれば、まさに完璧の布陣。通好みで終わるのはもったいない、声も歌も一度聴けば忘れないレゲエを歌うために存在するシンガーだ。こうして再び陽の目をみるグリーンスリーヴス17番、レゲエ・リスナーの皆さん、聴いて下さい。[輸入盤](磯野カツオ)
 
ファースト・ボーン/ファースト・ボーン
[ダイアモンド・エッジ/DECD006]
故デニス・ブラウンに見出された、南米ガイアナのルーツ・ヴォーカル・グループ実質上ベスト盤が日本初上陸。コンシャスな普遍的なメッセージを、チナ・スミス、ホースマウス、スライ・ダンバーらも参加のリズム隊が奏でるいい具合に力の抜けたミディアムTrkにのせる。説教臭さのないこのユルさは、9割以上が全人未踏の原始の地である国土から生まれた、彼らのスピリットの朴訥さそのものなのかも。(遠井なつき)
 
・ベスト・ウェイ・トゥ・ウォーク・イン・ザ・スカイ/リョウ・ザ・スカイウォーカー
[ワーナー/WPZL30066/7(CD+DVD)/WPCL-10435(CD)]
今のリョウは生き生きしていてとてもいい表情をしている。そうした内面の充実が作品に反映されているし、逆に充実した作品を産み出す事によっていい表情をしているのかもしれない。本作はタイトル通り『Come Home』(05年作)までの本人選曲によるベスト盤(DVD付盤も同発)。今現在のリョウへと至る道程を確認するのにも便利だが、そんなお勉強的聴き方ではなく、ガンガン聴き倒す方がいいに決まっている。(大場俊明)
 
レター〜おかんに贈る音の手紙/G2
[ジャムナッツ/DLJA-2001]
「レター...」で多くの共感を呼び、その名を一気に広めたレペゼン岐阜のG2が満を持してファースト・アルバムをドロップ。ミディアムからイケイケ・チューンまでマイクを握っていることへの熱意と喜び、そしてレゲエへの愛情がどの曲からも伝わってくる。客演、制作陣も地元東海系をメインに、コンビネーションも存分に披露(ステーブン・マクレガーも2曲参加)。大阪発のこの新レーベル共々、今後の展開が楽しみだ。(間みどり)
 
トライブ・コールド・ウェスト VOL.2“BUN BUN the MC”/BUN BUN
[ウエストライブ/SFレコーディングス/WST2]
全国区ではないにしろ、関西方面(のごく一部?)では正真正銘の“アングラ・スター”であると僕は信じるBun Bun。本作は本来ドラマーでもある彼がBush Of Ghostsや犬式など様々なバンドやユニットで“MC”としての魅力を発揮した数々の作品をコンパイルしたもの(新録も3曲収録)。ホントどれもがドロっとしてベタベタまとわりつくのだが、それがまた溜らない魅力なのだ。3万人には聴いて欲しいが限定千枚だと。(大場俊明)
 
サバービア・サウンド・システム・フォー・ミッドナイト・ラヴァーズ/V.A.
[ビクター/VICP-63939]
“午後”“夕べ”と来れば次は当然“真夜中”ということで、橋本徹監修/選曲による恋人たちに贈る本シリーズもこれにて完結でしょうね。アリワのラヴァーズ系に焦点を当てたコンピは星の数ほどあるけれど、確かに本シリーズのテーマは他と着眼点が違う分、トータル性という意味ではズバ抜けていると思う。実際にそれぞれのテーマの時間帯に各作品を聴いたけど、空気がガラリと変わるし、それがしっくりと来た。(大場俊明)
 
ジャマイカン・スカラーマ/V.A.
[ビート/BRPS052]
また激シブなところをひっぱってきましたね。ジャマイカン音楽の最初期よりシーンに多大なる貢献を果たしたフェデラル・スタジオ/レコーズ。そこの創始者であるケン・クーリーのケントーン・レーベルのショウケースを見事に再発。録音は64〜65年で、メイタルズやドビー・ドブソンなどが参加。リズム&ブルース的な曲も多くリズム的に過渡期だったのがよく分るが、どの曲もやたらとホットでイカしてる。(大場俊明)
 
プレイリスト/ベイビーフェイス
[ユニバーサル/UICL-9054]
2年ぶりの新作はレコード会社を移籍してのリリースに。カヴァー集となった本作には、ボブ・ディラン、ジェイムス・テイラー、ジム・クロウチらシンガー・ソングライターの巨人たちによる珠玉の名曲がセレクトされ、童顔氏のアコギと歌声により、カラリと乾きながらも濃密な音世界が展開される。これらの楽曲が氏の音楽の大きな部分を象ったであろうことは、数曲収められた新曲の溶け込み具合が証明している。(石澤伸行)
 
イヴォリューション・オブ・ロビン・シック/ロビン・シック
[ユニバーサル/UICS-9070]
ティーンの頃から楽曲提供を始め、以降も様々なアーティスト作品の裏方をこなしてきた白人男子によるソロ作。ファレル参加曲からラテン曲モロ使いに至るまで、トッポいプロダクションにまずは耳を奪われるが、シンガー・ソングライターとしての巧みが光るのは、生音が多用された一連のミッド曲の方か。そこに乗るマーヴィンやプリンスが舞い降りたかのようなファルセット・ヴォイスの響きも堂に入ったもの。(石澤伸行)
 
オーヴァートンズ&イニュエンドゥス/トリゾナ・マクレンドン
[Pヴァイン/PCD-23991]
シカゴ出身の女性シンガーによるデビュー作。ヒップホップ・テイストを盛り込んだアップに、シカゴ流儀のドライなメロウネスを宿したミッド、はたまたボッサ風味をまぶしたクラブ訴求タイプの小品と、各曲が描くサウンド・スケープは様々。しかしながら、そんな中にあって彼女の甘く朗らかな歌い口は、いつでも自らのアイデンティティをさりげなくアピールしてくるかのよう。カニエ提供の楽曲にも要注目だ。(石澤伸行)
 
バック・トゥ・ブラック/エイミー・ワインハウス
[ユニバーサル/UICI-9021]
UK本国ではその生き様やお騒がせ発言も含め、話題沸騰中の女性シンガーによるセカンド作。マーク・ロンソンやサラーム・レミが手掛ける、60年代ポップを強く彷彿させるレトロな風合いのサウンドが、本作のユニークな存在感を決めているが、そこを掻き分けるように歌い進む彼女の歌声は、それに輪をかけて迫力や凄みを増しているような。スペシャルズやトゥーツ&メイタルズ曲に挑むスタンスにも興味津々。(石澤伸行)
 
ポール・マック・イネス&T.B.O.I./ポール・マック・イネス&T.B.O.I.
[Pヴァイン/PCD-23990]
北欧をベースに活動していながら、そのキャリアにはアンドレ・クラウチらゴスペル畑での仕事も含まれる白人コンビ。時にズブズブとアブストラクトな黒い渦を巻くトラック捌きを見せつつも、そこに乗るヴォーカルは一貫してきっちりと歌い込まれるという作りは、確かにディアンジェロやドウェレあたりを思わせる。その拡張性を期待させる音楽性は、ジャイルズやパトリック・フォージらが注目するのにも納得だ。(石澤伸行)
 
マイ・ソウル/ジャックソウル
[ヴィレッジ・アゲイン/VAUR-0002]
カナダはトロントを根城に活動を展開するファンク・バンドによる新作。カヴァー集となった本作で繰り広げられる、サム・クック、テディペン、カーティス、スタカン、デヴィッド・ボウイ、スマパン、そしてレディオヘッドらを対象とした広範な参照行為は、荒削りを装いつつライト感覚もたっぷりのバッキングとリードのヘイデン・ニールによるしゃがれ声の味わいを伴って、一本の太い線が見えてくるかのよう。(石澤伸行)
 
RHYTHM'N' BASS / SUV + DON-E
[PLAYSIDE / PSCD001]
ロニ・サイズらとのリプラゼント以前からジャンルではないドラム&ベースの更新に挑戦してきたSuvによる新しいプロジェクト。登場が早過ぎたUKソウルのベテラン、Don-Eとのコラボによる“リズム&ベース”アルバム。ブラジリアンなテイストもある軽快なドラムンベースのトラックに、かつてのFresh 4やSoul II Soulを思わせるソウルフルなヴォーカルが、スムースな新しいR&Bサウンドを提示している。[輸入盤](飯島直樹)
 
CHICAGO, DETROIT, REDRUTH / LUKE VIBERT
[PLANET MU / ZIQ175]
ストイックなトラック物を追求したドラムンベース名義のプラグやアシッド・エレクトロ名義のKerrier District、そしてユーモアたっぷりのブレイクビーツ名義のワゴン・クライスト、その他の別名義もろもろを総括したような、ダンス、ミニマル、アシッド、ロック、アンビエント、モンド……が絡み合う集大成ともいえる作品。ジェフ・ミルズばりにオーケストラの指揮者のごとく音の関係性を操る点も天才的。[輸入盤](飯島直樹)
 
ラスト/ キング・オブ・オーパス
[タッド・サウンド / TBCB-3]
昨年再発された1stが大きな話題となったエキゾ・ダブ・テクノ・ブレイクビーツ・サーフ・ユニットの12年ぶりとなる2nd。盗んだ部品で全く新しいものを作り上げる、レゲエやヒップホップのマナーを感じさせつつ、下北沢の伝説のクラブZoo(後のSlits)で鳴らされていた音を体現するかのような、ノン・ジャンル(≠オール・ジャンル)でオリジナルなサウンド。またしても先を行っている気がするが、追いつけ!(飯島直樹)
 
ウーヴン/ ヨッシー・リトル・ノイズ・ウィーヴァー
[ファーラヴ / SPCDF-012]
元デタミネーションズのヨッシーとイッチーによる2nd。エゴ・ラッピンの中納良恵が参加したファンタジック・エレクトロな前作を踏襲しつつ、本来の持ち味であるレゲエ/ダブの要素を盛り込み、ニューウェイヴの香りもするグルーヴある作品に仕上がっている。先行シングルでもリリースされたジャッキー・ミットゥ、サン・ラ、ジャズ・スタンダード等のカヴァーも、恐ろしいまでにこの世界にマッチしている。(飯島直樹)
 
プレパレイションズ/ プレフューズ 73
[ビート / BRC-184]
MPC、ターンテーブル、サンプラーを使用した音楽の世界観を変えたプロデューサー、スコット・ヘレンのプロジェクト。リリース毎にフォロワーを生み出す独特の手法は健在で、今回もゲストをフィーチャーした曲がアルバムの印象を高めている。彼自身がA&Rとしてスカウトしたバトルズのメンバーで、ロック・シーンの敏腕ドラマーでもあるジョン・スタイナーの激しいドラムをカット&コラージュした曲が特に秀逸。(飯島直樹)
  
ディスコ・パルチザーニ!/シャンテル
[プランクトン/UNDECIDED]
プロデューサー/DJ/ミュージシャンとして、ルーツとなるバルカン半島〜東欧音楽の広まりに貢献してきた彼が制作した7年振りのソロ・アルバム。クラブ・サウンドに土着のバンドによる伝統音楽を取り入れるスタイルで一世を風靡した彼が、今回はトルコ、ギリシャ、中欧等にも視点の範囲を広げ、多彩なゲストも召集。聴き慣れない楽器とリズムに耳を委ねる内に、西欧〜合衆国主導の観念に喝を入れられてしまうかも。(飯島直樹)

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