Mule Train
Step Out
Interview by Takeshi Miyauchi / Photo by Akihisa Okumoto
結成11年目を迎えて増々その活動に拍車がかかっているmule train。今年3月にリリースされたジャズ・カヴァー集に続いて届けられたのは、2年ぶり3作目となるオリジナル・アルバム『Step Out』だ。待望の新作について、バンドの要、Doca(a.k.a Top D)とヴォーカルのKyozoに話を訊いた。
気付けば、もう結成11年目を迎えるというmule train。いくつかの波を乗り越えながらも、もはや中堅という表現では言葉足らずに思えるぐらいに着実なキャリアを重ねてきた。それだけじゃない。ここ最近の彼らは、3月に注目の女性ヴォーカリスト扇谷一穂をゲストに迎えたジャズ・カヴァー集『Favoritezz(フェイヴァリッツ)』をリリース。その印象も褪せぬうちに、3作目のオリジナル・アルバムとなる『Step Out』が完成と、その活動は勢いを増している。
「2枚目(『Caribou』)が出たのが2年前なんですけど、それからライヴをやりつつ、だいぶ曲が出来てきて、新曲もどんどんライヴでやっていって。で、満を持してフル・アルバムを出そう!と。その前に扇谷さんを迎えて作った『Favoritezz』に関しては、アレンジ力も高まっていい経験になりましたね」(Doca)
「そう。カヴァーはオリジナル曲と違って、アレンジだけに集中が出来たっていうのは大きかったですね。そこで経験したアレンジ観を、オリジナル・アルバムの制作にも反映することができて」(Kyozo)
ゲスト・プレイヤーにDouble Famousのパーカッション奏者=細窪洋介を迎えた本作は、これまで通りオーセンティック・スカに根差したサウンドが軸となりながらも、ロックステディやカリプソ、メント、ラテン、ジャズ……と、音楽性にグッと華やかさと色気が増してきたのが印象的だ。
「2枚目のアルバムは、50年代〜60年代の雰囲気を強くしようとして、あえてロックステディを抜いてみたんです。でも、今回は、アルバム全体としていろんな緩急をつけたいっていうのがあったんで。ロックステディはもちろん、カリプソの割合も多くなったよね」(Doca)
「それに今回は、曲調もいろいろなヴァリエーションがあるのがわかってたんで、アルバムとしての統一感を出すことに力を入れた感じですね。今までのレコーディングだと、ドラムやアンプを外に出したり、ホーンも一本ずつ録ったり、みんなで録ったり、いろんな録り方を試してましたけどね」(Kyozo)
「今回は、イメージとしてはスタワンの録音方法みたいな感じで、エアーのマイクが立ってて、全員で“せーの!”で始めるような。あとは、デジタルでちょっといじるぐらいで、基本は一発録りのイメージで。今いるメンバーでセッションする上で、細かくあーだこーだ言うことはないっていうか。バンド始めた当初と、今の11年目では確実に変わってるし、それぞれがいろんな音楽を聴いてきて吸収してきて……このバンドはこのバンドで好きなことをやる。オーセンティック・スカを踏まえた上で、今出来るウチらの色で、ウチらのアレンジで。今は、何やっても自分らの音なんで」(Doca)
『Step Out』
Mule Train
[P-Vine / PCD-25067]