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DERRICK BARNETT
Me, My Bass & I
 
Interview by Koji Yawata
 

デリック・バーネット——。80年代から90年代に掛けて、ジャマイカを代表するバッキング・バンド、サジタリアスのリーダーとして、イエローマンや数多くのトップ・スター達をサポートし、また幾多のビッグ・ショーで活躍した名ベース・プレイヤー。当時のショーは、一つのバンドをバックに、次々とアーティスト達が登場するやり方が主流で、サジタリアスは、809、ロイド・パークス&ウィー・ザ・ピープル等と共に欠かせない存在だった。「Reggae Super Bash」等で来日もしていたので、サジタリアスの事、そして右肩だけにベースのストラップを引っかけた、独特なスタイルでプレーしていたデリック・バーネットの事を覚えている人も多いだろう。また、デリック・バーネットは「歌えるベーシスト」で、加えて「踊れるベーシスト」でもあった。そんなデリック・バーネットがいるだけで、ステージ全体が華やぐ特別な存在感とオーラを持っていた。時として、「主役」を喰う程に。
 
 そのデリック・バーネットが自身初となるアルバム『Me, My Bass & I』を発表した。早速、ニューヨークに居る本人に話を聞いてみる事にした。

 
「父親がキダリストで、ミュージシャンになる事は自然な事だったんだ。ベースを選んだ理由は、ボリス・ガーディナーだ。14才の時に、彼がベースを弾きながら歌っているのを見て憧れたんだ。高校の時にはバンドを組んでたけど、プロになれたのはマイケル・イブー・クーパーのお陰だ。彼がサード・ワールドを結成する前、まだインナー・サークルに在籍していた時に、よく近所でショーをやっていて、いつも一番前で観ていていて知り合ったんだ。彼が色々と引き合わせてくれて、81年頃かな? 18才でプロになった。うん、その時からサジタリアスだったよ」
 
 「最初からバック・バンドだけを目指していた。色々なアーティストと仕事したかったんだ。イエローマンとは82年に知り合って、84年から95年までは専属として活動したし、彼以外のあらゆるアーティストとも仕事した。歌? 初めは歌うつもりはなかったんだ。TadsとかHawkeyeのレーベルが当時、色々なバンドのメンバーを集めてレコーディングしてて、自分も参加してたんだ。で、アーティストのためにラフのヴォーカルを自分が歌ったら、それが気に入られてリリースされるようになった、って感じなんだよ」
 
「95年かな、イエローマンのツアーを終えて、“Sting”に出た後に、バック・バンドとしての仕事は、もうやり尽くした気分になったんだ。次のステップに進みたくなった。プロデュースの仕事もしてたしね。で、家族もアメリカに居たし、拠点をニューヨークに移して、Double Bassっていう自分のレーベルとスタジオを作った。キマーニ・マーリーとか、色々な作品に携わっているよ。あとステイトメントというバンドも結成して、またショーの仕事もしてるよ」
 
 「一緒に仕事した中で一番のアーティスト? 難しい質問だな(笑)。まずはイエローマン、あとバウンティ・キラーとビーニ・マン。レディ・ソウも挙げておかないと怒られるな。でも、個人的な好みだけで言えば、間違い無く、デニス・ブラウンだ。最高のアーティストで、人間だったよ」
 
 「『Me, My Bass & I』は僕の初めてのアルバムだ。いつも時間が無かったからね。4年位前から作り始めたんだ。ダンスホール、ラヴァーズ、メッセージ・ソングと、これまで自分が経験して来たレゲエの全ての魅力を詰め込んだんだ。自分の歴史を表現したとも言えるね。自分には変な拘りとかは全く無くて、全てのタイプのレゲエが大好きなんだ。歌ったり、DJしたり、インストもあるけど、全部自分だよ。うん、カヴァーも多いね。カヴァー曲は全て好きな曲なんだけど、特にルー・ロウズの“You'll Never Find”は大好きなんだ。あと、“What's Your Sign?”はスカだ。スカタライツを聴いて育っているから、どうしてもスカをやりたくてね。アルバムの中で、特に思い入れの強い曲だ。このアルバムは、世代に関係無く誰にでも楽しめる作品だと思うから、是非皆に聴いて貰いたいね」
 
 「レゲエにおいて、ベースはドラムと共に基本だ。料理で言えば水みたいなもんだ。スカから現在のダンスホールまで、基本はそこにあって変わらないんだよ。ベースのストラップを右肩にしか掛けない理由? うーん、それが一番楽だから。それだけだ(笑)」
 
"Me, My Bass & I"
Derrick Barnett

[Formula / QWCF-10016]
 

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