Vader, Arm Strong, Dinosaur, 55Level
MIC Blast from West
Text by Takashi Futatugi
続いて、独自のアプローチでレゲエ道を突き進んでいる西の若武者たち、Vader、Arm Strong、Dinosaur、55Levelの4組がそれぞれ個性豊かな作品をリリースしたので、ひとつひとつ紹介していこう。
まずは“若手の番人”Vaderの2ndフル・アルバムから。アート・ワークからも伝わってくる通り、テーマは“バサラ”。つまり、戦国時代を生き抜く“ラガ侍”として、ストイックなまでに“レゲエ道”を説いたVanderらしいチューンが中心となり、そこにKenty Grossとの大食漢アンセム「炊飯器」等がスパイスとして加わった印象(他のゲストはPeter Man、Silver King、Ken-U)。声にも言葉にもフロウにも説得力が増し、理想的な進化を遂げている事は過去の録音作と比較してみればよく判る。大阪シーンの屋台骨の一つ、Aruz Stu-dioのZuraの幅のあるリディムも“主役”のストレートな魅力=男気を上手く引き出している。同研究所発のコンピ『ラガ侍』共々、“必聴”である。
「Vノ字斬り」
Vader
[Aruz / GNCL-1134]
“言葉の伝わり易さ”でも群を抜く存在である、泉州出身の豪腕DeeJay=Arm Strong。待望の1stミニ・アルバムは“Blazing Dog”からのリリース。お馴染みの「始まりの合図」のイントロから始まる全7曲は、“カエルスタジオ”や“Aruz”、“Gifted Childs”での既発を含みつつも、イキのいいブラン・ニューでガッチリ引き付ける、タイトルそのもののヴァブス満タンの一枚となっている。軽快に韻を踏みながらガッチリ温度を上げていく「MIC Jacker」、「Gattenだ!!」に、“俺は大阪一の呑んだくれ”とうたう和テイストの「のんだくれ」を聴く限り、絶好調そのもの。合い言葉は勿論「ヤーマン」だ。
「Strong Vibes」
Arm Strong
[Blazing Dog / BACD-1001]
2007年、7月7日発売、税込1,777円、全7曲入り、そのゲンの担ぎ方も徹底しているDinosaur。“ラバダブ一人旅”を経て更に男のレヴェルを上げた(?)彼のこの“ドクプロ”からの記念すべき初ソロ作は、7曲全てがコンビ物で絡んでいる連中も曲者ばかり(良い声女性シンガー=Cheeを除く)。中でもHibikillaとの「空耳☆ラガー」は腹筋がかなり危険…(焼サンマに〜というフレーズが特に)。芸人気質の根っからの喋り屋、という感じの彼は一人でも充分過ぎるほど“ヤバい”のだが、本作にはそんなツッコミにも対応できるように(?)、ボーナスとしてソロ曲も4トラック混じっていたりする。と言う事は全11曲入りって事? そんなサービス精神旺盛さも彼の魅力。買゛おー。
「Baddis Combination まぜるなキケン」
Dinosaur
[Dr.Production / DRCD-010]
ラストはこれまたいいタイミングでの登場となるナニワのミラクル5人衆=55Level(Mongo、Hi-Bread、Express、Zove King、Stereon)。これまでにも、現場だけでなくコンピやダブ・ミックス等の作品と、フット・ワークの良さを生かした活動で売ってきた彼らだけに、この初アルバムも満を持しての力作に仕上がっている。トラック・メイカーはビッグ・バーチ、セラーニにTakafin。ソロにコンビに、と様々なフォーメーションで攻めまくる“イキの良さ”を重視した真空パック的なまとめ方も彼らに似合っていると思う(緑化系ビッグ・チューン「Kansha」もココで聴ける!)。大ラスにRodem Cycloneによるミックスを配置する、というアイデアもナイスでしょう。
「Take You High Mission No.55」
55Level
[55Level / 55L-003]