10月14日、当日は良く晴れた。見上げれば井戸の底の様な官庁街のビルの合間に、切り取ってはめ込まれたかの様にポッカリ秋晴れの空が広がっている。取り敢えず間違いなく気持ちいい。世間じゃ21世紀にもなって戦争だ。せめてこの青空に祝福されたバビロンの井戸の底からは「魂の反逆」を叫ぼうじゃないか。そんな多くの人の想いが届いたのか「ソウル・レベル2001」では、用意された最高の舞台の上で、各々のベスト・パフォーマンスと言えそうなステージが相次いだ。

血圧上昇ライヴで火を付けた上に、前半のMCまで勤めて頂きました"御大"ランキン・タクシーにまず合掌を。大観衆を前に、歓びを全身で表して飛び跳ねた"湘南代表"ハンクンa.k.a.リトルキャット。渋い声で確実に鮮烈な印象を残していった"レペゼン広島"キー・ロック。都内を席巻する新世代超クルー的集団"カルチャー・ショック"からの刺客、マジマンが見せてくれた本気ぶり。"ザ・兄貴"パパ・ユージは盟友シンジロイを引き連れ、ミッド・テンポでのメッセイジ・チューンをじっくり聴かせる余裕のステージ。

コーン・ヘッド、ファット・D、ルードボーイ・フェイスの"ヤング・ジェネレーション"3人衆。縦横無尽に暴れ回るその様に、最早誰も彼等をただの若手だなんて言えないハズ。CDもリリースし、気合いも違った"仕事人"Hマンの登場に会場はジャンプ・アップし、前半のトリというタイミングで早くも姿を見せた"彼"のステージに野音は魅了された。446を従えての、いつもながらのヴァイブス漲るステージの合間に、三木道三は、いつもよりややトーンを落として、いくつかの言葉を語った。「戦争」のこと。「尊敬しあう」という心のこと。そしてそうした想いを込めて歌い上げた「Lifetime Respect」の後に尚、最後に残していった「明日の風」に、会場は更に強く強く横に揺れた。

サンセット、マイジャ、タクシー・ハイファイが、熱い"サウンドマン魂"を見せつけた後、ディア・チック、ダネット、ラヴ・ミルクが合体した"最強の女たち"からなるダンサーのステージから後半がスタート。ただエロなだけじゃない、姐さんたちの気っ風の良さにビゴップ! 後半の進行は"電波代表"のレゲエ伝道師、DJバナ。

そのダンディな出立ちと巧みなスキルに加え、自らギターまで抱えて名曲「Ready To Go」を聞かせてくれた"高速ライマー"パパ・B。冷水が一気に沸点まで上昇してしまう様な爆発力を見せつけたマイティ・ジャム・ロックが誇る"モンスターMC's"ジャンボ・マーチ、タカフィン、ボクサー・キッド。お馴染になったナンバーも、気の利いたアレンジで気持ち良く聞かせてくれた"ハッピー&フリーなニクいやつ"ムーミン。若干の声の不調も乗り越え、熱い想いを届けた"西向く侍"リョウ・ザ・スカイウォーカー。そしていつにも増して、その日、プシンは最高のステージを見せてくれた。とどまることを知らない"情感"が、"歌の力"が、レゲエを依り処とした"魂"が、会場に強烈な一体感をもたらす。バンドのメンバー紹介時に助っ人参加の森俊也のつま弾いた「イマジン」を聴きながら、誰もが世界を癒したいと願った。何も出来ないかも知れないけど、そう願った。レゲエで良かった。レゲエが良かったんだ。ふと我に返り、見渡せば、そこには3000人を越える「魂の反逆者」たちが居た。

 今年も働きまくったホーム・グロウンには本当にマキシマムお疲れさんを。フィナーレは、ありきたりの全員出演の「ワン・ラヴ」等ではなく、バナの音頭で、みんなでゴミ拾い。イヴェント終了後とは思えない程、驚く程にゴミの無くなった日比谷野音を後にした。来年へ。「ソウル・レベル2002」は確実に実現する。

Text by Naohiro Moro from Riddim 224