一年を振り返る事、それは過去を懐かしむだけでなく未来を目指す事でもある。毎年恒例のジャパニーズ・レゲエ・コンピ『Di VIBES』の2006年版が完成した。現場を沸かせたビッグ・チューンだらけの本作をじっくり聴けば、2007年の動きもここから垣間みれるはずだ。

 今年も早いものであのコンピレーションCDのリリースの季節となった。『Di VIBES〜Japanese Reggae Selection 2006〜』。2006年のジャパニーズ・レゲエの現場を多いに盛り上げてくれたビッグ・チューンの数々を収録し2枚組だ。今回も選曲/監修そしてミックスを担当しているのは、ラジオ番組のDJとして、イヴェントのMCとして、そしてなによりもクラブなどの現場を湧かせるセレクターとして……様々な角度からレゲエを支えている存在のご存知、BANA。2001年からリリース開始されたこのシリーズも、早いもので本作が5作目に当たり、5周年という一つの区切り的な意味あいでも記念すべき作品と言える。
 今年も多数のメジャー、インディ作品がリリースされたジャパニーズ・レゲエ・シーン。本作の常連と言えるHome Grown、Pushim、Moomin、Ryo the Skywalker、Fire Ball、Mighty Jam Rock、Nanjaman、H-Man、Papa Bらに加えて今年目立ったのは、新しいアーティストの台頭だろう。特にJing Tengの「Sweet Sound」や「Up & Down」(Guan Chaiとのコンビネーション曲)やChehonの「みどり」はフレッシュな旋風を現場にもたらしてくれた。他にもRickie-G、Aara、Akane、Hibikillaといったアーティストたちもそのスキルを発揮し始め、そんな彼らの作品が本作に多数収録されている。そこも今回の聞きどころのひとつだろう。
 このコンピレーションが初めてリリースされた時、これほどまでにジャパニーズ・レゲエ・シーンが大きくなっていくと確信していた人は少ないかもしれない。ただ着実に、アーティストやサウンドマン、ミュージシャン、プロモーター、それ以外にも様々な形で携わってきた人たちが、着実に一歩一歩進んできたことによって、こうした結果が生まれたのだろう。本作も含めてこれまでの5作を聞けば、その歴史を知ることができるはずだ。そして更にこのシリーズが続いていくことに期待したい。




「Di Vibes〜Japanese Reggae Selection 2006〜」
V.A.
[Ki/OON / KSCL-1086〜7]